何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

白血病で友を失ったことがありますか?

2005-09-13 18:15:09 | Book Reviews
「2ちゃんねる」の書き込みから、骨髄ドナー体験が本に (朝日新聞) - goo ニュース

 中学生のときに、野球のバッテリーを組んでいた友人が死んだ。彼はピッチャー、自分はキャッチャーだった。今思えば、野球の実力はたいしたことなかったのかもしれないが、彼はコントロールが良く、気持ちで投げるタイプだった。ストレートしか投げちゃいけないルールだったから、コースを投げ分けるか、スピードを変える程度しか、打ち取ることはできないんだけど、ミットを構えて、お互い意思がピッタリ合うと、彼は「俺もそこに投げようと思っていたんだ」といったふうに、それはうれしそうな顔をした。

 その彼が、トシちゃんが、ある日死んだ。 白血病 だったと、後から聞いた。どういうタイプの白血病だかは知らない。知ってもしょうがない。とにかく、急にいなくなってしまった。

 ある日、彼が、母親と口論している場面をチラと見た。たわいもない内容だったと思う。口のきき方は自分と同様で、どこの家庭でもあるんだなぁ、と子供心に思った。彼とオレは、何も変わりがない。同じ中学生、同じ人間。なのに、彼はいつのまにか、オレに何のことわりもなく、知らない世界に逝ってしまった。さぞかし無念だったろう。もう1回、せめてキャッチボールでもしたい、と思ってくれただろうか。その時握った軟球が、やけに重かった気がした。

 彼がいなくなってあっけにとられる一方、自分にも入試やら、さまざまな生活の変化があったけど、白血病だとか、骨髄ドナーだとか聞くたびに、トシちゃんのことを思い出す。ミットを構えた時に見せてくれた笑顔。今だったら、彼にだったら、骨髄を分けてあげたいと思う。HLAのタイプが合わないかもしれないけど。

 骨髄穿刺って、かなり危険だとか、痛いとか聞いているので、ビクビクしているのだが、いつまでもそんな気持ちじゃ、トシちゃんはズックで石でも蹴っ飛ばして「ヘン、いいよっ・・・」ってどこかに行ってしまうだろう。そうしたら、本当に会えなくなっちゃうようだ。

 『骨髄ドナーに選ばれちゃいました』 石野鉄・著 小学館 1050円

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