「下津井軽便鉄道」の会社はその後「下津井電鉄」と名称を変えるが、茶屋
町と下津井間の鉄道の廃止後は電鉄事業がなくなりバス会社となった。
がその名称はそのまま社名に残されてきたこともあり、地元では「シモデン」と
の愛称で呼び親しまれている。

そんなこともあって下津井電鉄廃線跡に整備されたサイクリング・ウォーキン
グロードも、正式名称は「茶屋児島自転車道1号線」であるが、通称「下電メルヘ
ン街道」と呼ばれている。

JR宇野線の茶屋町駅西口を出て、「茶屋町の鬼」の像の建つ広場を通り抜け、
左手に進むと蒲鉾屋根をした縦長の建物、駅に併設された駐輪場が見えてくる。
丁度この前あたりから南に延びる細い道が廃線跡である。

しかしこの辺りには鉄道の遺構を示す痕跡はどこにも残されてはいなくて、
それと説明するサインの類も何も無いので一見すればただの自転車・歩行者専
用道路にしか見えない。
しかしよくよく見れば、僅かにその道幅と、その直線区間と、そのゆったりとし
た曲り具合に、鉄道線らしい往時を偲ぶことは出来そうだ。

沿線はここから先が1キロに余る桜並木になっている。
45年ほど前の廃線後、専用道の整備と共に植えられたものと推察するが、所々
で古木となった桜が見事なトンネルを作っている場所もあり、花見時の美しさ
が目に浮かぶ。

周辺は干拓された田畑の中に用水路が幾本も走り、そんな中に所々住宅地が
密集している土地だけに、近隣住民の自転車路として、散歩道としての利用も
多いようである。(続)

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