簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

キャラは七福神(JR乗り潰しの旅)

2011-06-29 | Weblog
 東北本線の宇都宮から西に向かう日光線が盲腸線なら、その先の宝積寺から東北本線
と別れ、東に延びている盲腸線も有る。
 宝積寺を起点に、ここから終点の烏山までの20.4Kmを8駅で結ぶ烏山線だ。
運行は大凡一時間に一本で、宇都宮を発着とする列車が多く、烏山までは1時間程だ。
また、宝積寺-烏山間の区間で運行されているものも日に何本かある。



 宝を積む寺から始まるこの路線の中ほどには、大金(おおがね)と言う駅が有る。
この駅前には大金神社もある。



 更にこの路線のイメージキャラクターは七福神で、各駅にはおのおの一神がメイン
キャラクターとして割り当てられている。
その地名や、土地柄、地域の特色、名産などに因んで割り当てられているようだ。

 こんなわけで、特にこの「宝積寺→大金」間の切符や、これらの駅の入場券がお金に
纏わる縁起物として人気を集め、持て囃されているとか。
こんなことから、最近ではこの縁起物にあやかろうと、このローカル線を訪れる人々が
増えていると聞いた。

宝積寺では勢ぞろいした七福神に見送られ、二両編成のワンマン気動車、キハ40形は
出発する。
この路線を走る気動車には、七福神の一人がそれぞれメインキャラクターとして割り当
てられている。
ホームに到着した車両には、“恵比寿神”が割り当てられていた。



「地図のいらない宝探しを烏山線がご案内します」
始発の宝積寺では、こんな看板が旅立ちを見送ってくれる。(続)


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日暮しの門(JR乗り潰しの旅)

2011-06-27 | Weblog
 その先、階段の上で一際威容を放つのが国宝の陽明門。
建坪が10坪余りの楼門で、別名を日暮しの門と言う。
何時まで見ていても飽きる事が無いことから名付けられたらしい。
江戸・寛永年間の建立時には、大工は延べ127000人余りが動員されたと言う。



 廂の下の八方・四方睨みの龍の細工や柱の虎、古事や逸話に因んだ人物や、子供や
聖人、賢人など彫り物の数は500を超えると言う。

 楼門を支える12本の柱の内の1本は模様が逆で、逆柱と言われている。
日本に古来から伝わる木造建築の俗信の一つで、魔よけの意味が有ると言う。

 金色や極彩色の施された彫り物などを眺めていると、色々と想像を掻き立てられ、
首が痛くなるほど見上げていても見飽きる事は無い。



 有名な左甚五郎作と言われる「眠り猫」の彫り物は、奥の院に向かう坂下門の長押
の上にある。
 眠りながら前足を立てている姿から、いざと言う時に家康を守ろうとしている、或い
は奥の宮を守っているとか、牡丹の花と居眠りする猫で温かな日の光、すなわち日光を
表しているとか、表現の解釈については諸説が有るらしい。
そもそも左甚五郎の作であると言う説も後世の作り話だとも言われている。



 花鳥の彫り物で飾られた回廊や御本社、唐門、神輿舎や薬師堂の鳴き龍などを見て
回り、煌びやかな建造物群や彫り物の数々を堪能する。
 俗に「日光見ずして結構と言うなかれ」と言われる日光東照宮の社殿建築群は誠に
見応えがあり、すっかり魅了されてしまった。(続)




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日光東照宮へ(JR乗り潰しの旅)

2011-06-24 | Weblog
 山の天気は変わり身も早い。
激しく、叩きつけるように降った雨も10分程で上がると、何事も無かったかのように
薄い日差しが射してきた。

 再びホテルの前からバスに乗り、途中中禅寺湖バスターミナルで日光行きに乗り継ぎ、
いろは坂を下る帰路、世界遺産日光東照宮に立ち寄ってみる。
西参道でバスを降り、深い木立に囲まれた広い砂利道の参道を表門に向かって進む。

 さすがに観光客が多い。
外国人のグループ、家族連れ、カップル、修学旅行生など、都会の雑踏のような人の
群れが、皆同じ方に向かって流れている。



 日光東照宮には、凡そ40年ぶりの再訪に成る。
「日光に来た」と言う記憶は有るが、当時の事は殆ど何も覚えていない。
こんな参道を歩いたと言う記憶も無い。

 黒田長政公が寄進した九州産の石で造られた重文の石鳥居を潜ると、左手に朱も鮮や
かな五重塔が見える。
いわゆる神仏混淆と言われるかたちで、神社にある鳥居の脇にお寺の五重塔が建つ組み
合わせが面白い。



 表門を潜り境内へ入ると正面に三神庫が煌めいている。
どこかで見たような・・と思ったら、正倉院の校倉造を模したものとの説明が有った。
春秋に行われる渡御祭「百物揃千人武者行列」で使用される馬具や装束類が収められて
いる庫だそうだ。



 その前の、一団と人だかりの多い建物が、神厩舎。
皆一様に上を向いて、中には指さして何か囁き合っているその先の長押には、有名な
猿の彫り物が有る。
「見ざる・言わざる・聞かざる」の所謂三猿の彫り物だ。
昔から、猿は神馬を守るとされているらしい。(続)




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光徳牧場(JR乗り潰しの旅)

2011-06-22 | Weblog
 バスで光徳牧場に向かう。
国道120号を10分ほど走り、国道を別れ1.5キロほど入ると光徳地区がある。
バスは、日光アストリアホテルの前で停まる。



 光徳温泉と言われるこのホテルは、森の中の一軒宿を売りにしている。
ここにも日帰り入浴施設が有るが、入浴料は1000円だから、矢張りこれがこの辺りの
相場なのかも知れない。
ここの湯も湯元温泉の源泉からパイプで引いているらしい。

 ホテルから、暫く歩くと木の柵で仕切られた広大な牧場に出る。
この牧場の広さは約3万平方メートルと言われている。
ミズナラやシラカバに囲まれた青々とした広大な牧草地には、牛や馬が放牧され、
のんびりと草を食んでいる。



 牧場の柵に沿って奥に進むと、その行きあたりに売店やレストランの有る一角に出る。
この時期、ここはハイキングや登山の基地に成っているようで、ハイカーや、登山か
キャンプでもするのかリュックを背負った学生の一団が多く見受けられる。

 売店・コートクコラールでは、多くのハイカーや観光客が品定めに余念がない。
この売店の人気は、矢張り新鮮な牛乳やアイスクリームらしい。
売り場には行列が出来ていた。



 そしてその辺りには買い求めた牛乳やアイスクリームを持った人々が行き交い、ベンチに
座って、また広場に屈みこんで味わったりしている。

 突然雲行きが怪しくなってきたかと思うと、あたりが暗くなり、突然大粒な雨が激しく
降り出した。
人びとが一斉に売店に飛び込み、たちまち広場に人はいなくなった。
無人のアスファルトを、雨が激しく叩いていた。(続)



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湯元温泉(JR乗り潰しの旅)

2011-06-20 | Weblog
 湯ノ湖は火山の噴火によってできた堰き止め湖で、周囲が3キロ程の小さな湖である。
魚類が豊富で、太公望の間では、特にマス釣りが人気とか。

 湯ノ湖畔に沿った国道120号は、この先で金精峠を越え、群馬県に向かう。
そんな国道から外れ、遊歩道を20分ほど歩くと湖畔に広がる湯元温泉に到着する。
龍頭の滝からここまでは、3時間半ほどの行程だ。



 湯元温泉は、標高1481メートルの高所にある温泉地。
広々とした道路に沿って、木立の中にゆったりと旅館やホテルが15軒程立っている。
周りに賑々しい店構えのお土産屋さんは少なく、歓楽地と言うよりは、保養所と呼ぶに
ふさわしい、落ち着いた雰囲気を持っている。
 青森県の酸ケ湯温泉、群馬県の四万温泉と共に、昭和29年に国民保養温泉地の第一号に
指定されている事に納得。

 バスターミナルの近くには足湯“あんよのゆ”も有る。
なかなか立派な施設で、この日も大勢の人々が足を湯に浸けていた。



 ホテル山月に併設された日帰り立ち寄り湯に寄ってみる。
900円は少し高いような気もするが、首都圏に近い温泉場ならこんなものかとも思ったり
もする。



 天然硫黄泉で少し濁った湯が特徴だ。
二階にあるので、露天風呂からは緑に包まれた温泉街を眺める事が出来る。
この日はほかに入浴客もいないので、貸し切り状態で湯を楽しむ事が出来た。
お食事処も併設されているので、湯上り後、一杯飲みながらの食事には丁度良い。(続)




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湯川を遡り湯滝へ(JR乗り潰しの旅)

2011-06-17 | Weblog
 戦場ヶ原を流れる湯川、そこに広がる湿原。
この湿原は当然この川の水の恩恵かと思っていたが、どうもそうでは無いらしい。
湯川は、この先の湯本温泉から湯滝と成って流れ落ちる、と同時に戦場ヶ原から湧き出
る水をも集めて中禅寺湖に流れ落ちていると言う。
何だか不思議な感じがする。

 川沿いに咲く”ホザキシモツケ”の群落では多くのカメラマンが撮影に余念がない。
木陰に陣取ってキャンバスに向かう人の姿もある。
木道から湿原を良く見ると、紫色や黄色、白色など小さな花を付けた草々が数多く見ら
れる。



 赤沼から1時間ほどで泉門池に到着する。
ここは夏でもマガモ住みつき繁殖している池だが、残念ながらこの日はマガモの姿を見
ることは出来なかった。



 その先からは、湯川の河原上に設けられた木道を歩く。
この道は木陰でもあり、低くて水に近いだけに格段に涼しくて気持ちが良い。
ここから湯滝までは、あと数百メートルほどだ。



 やがて滝音が聞こえだすと、木々の先に豪快な湯滝が見え始める。
高さ約70メートル、最大幅25メートルの滝は、溶岩流の岸壁を、轟音を轟かせ、豪快に
流れ落ちている。
こんな迫力ある滝を、観瀑台からは間近に見ることが出来る。



 滝の横の急な階段を、息を切らせながら10分ほど登ると、湯滝の駐車場に出る。
その先に湯ノ湖が見える。
湯ノ湖畔には、湯元温泉を経て湖を一回りする遊歩道が有る。
ここで戦場ヶ原をめぐる遊歩道とは別れ、湖畔を巡る遊歩道で湯元温泉に向かう。(続)


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戦場ヶ原(JR乗り潰しの旅)

2011-06-15 | Weblog
 翌朝、戦場ヶ原を歩く。
龍頭の滝から始まる戦場ヶ原は、豊かな森林と清らかな水の流れが有り、湿地植物が咲
き乱れる自然の宝庫。
道や標識は良く整備され、余り厳しい高低差も無いことからハイカーの人気の場所だ。



 龍頭の滝は、湯元温泉の湯ノ湖に端を発し、数キロにわたって流れ下ってきた湯川が、
中禅寺湖に流れ込む少し手前に位置する滝である。
「竜頭」の名前は、二枝に分かれた滝を正面から見た姿を龍の頭に見立てたものとされ
るが、どう見れば良いのか、なかなかそうは見えない。
矢張り、龍頭観音が祀られていたからと言う説に軍配が上がりそうだ。

 散策路は、滝を側面から眺め、水音を聞きながらユックリ、少しずつ登る。
林の中を20分ほど歩くと突然散策路の前に柵が現れる。
獣たちが市街地へ行くのを防ぐためかと思ったが、どうもそうでは無く逆らしい。
これは、戦場ヶ原をシカの食害から守るために環境省が設けたものだ。
特にワタスゲの食害が多いと言う。



 「戦場ヶ原」の名前は、その昔中禅寺湖を巡る領地争いで、アカギの神(赤城山のこ
と)は大ムカデに、ニッコウの神(男体山のこと)が大蛇に化けてここで戦った戦場で
あるとの言い伝えに由来する。
 現在では、2005年にラムサール条約に登録された湿原で知られている。



 滝から1.3キロほどで赤沼、小田代ケ原の分岐地点に到着する。
ここらあたりに繁る特徴のある木は「ズミ」と言う木らしい。
木道を歩くと時々木立の切れ目から、形の良い男体山が姿を現す。(続)




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湖畔の湯(JR乗り潰しの旅)

2011-06-13 | Weblog
 滝見物の後、幟旗に引かれ、茶店を訪ねてみる。
“名物 けごんだんご””究極のカレーパン”など目移りしたが、お腹が空いていた事
もあり、見た目の大きいカレーパンで腹ごしらえ。
腹が落ち着いたところで、湖畔にある立ち寄り湯に向かう。



 滝から、湖畔に向かって5分ほど歩くと日光レークサイドホテルが有る。
明治23年創業の老舗ホテルが新たに整備した、天然温泉「湖畔の湯」は気軽に日帰りで
立ち寄る事が出来る。
この湯の源泉は12キロ先の「日光湯元温泉」、そこからパイプで引湯していると言う。



 天然の硫黄泉は、空気に触れ、浴槽に溜まると色が変わる。
エメラルドグリーンの温泉はかけ流し。
山小屋・ログハウス風に造られた浴室の大きな窓からは、中禅寺湖が見通せるから解放
感もあり、心身の疲れを癒すには何よりも御馳走だ。



 火照った身体を冷ますべく、暫く町を散策する。
さすがに有名観光地だけあって、日光名物・ゆば料理の店や、土産店が何軒も軒を連ね
ている。
そんな土産店先を良く見ると、不思議な光景に気付く。
どこの店先にも必ずと言って良いほど、犬が繋がれている。
「看板犬?」店主に聞くと、「いや」と言って、目の前の駐車場の先を指さした。



 駐車場と山裾の境辺りには、高さ2メートル程のフェンスがぐるりと廻らされている。
そのフェンスに沢山の野猿が群がっていた。
「やつらが、店先の土産品を狙っているので、それの見張り」だと言う。
この野猿、時には窓の空いているマイカーの中まで襲うらしい。(続)


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中禅寺温泉へ(JR乗り潰しの旅)

2011-06-10 | Weblog
 駅前で20分程待っているとバスが来た。
乗り込んで1分程で、東武日光駅前のバス停に到着する。
何と言う違いだろうか、僅かな距離しか離れていないのにまるで別天地。
駅に人は流れ、駅前に構える店々も活気が満ちている。
JRが、宿敵東武に完敗の構図が良く分かる。



 バスは10分足らずで大谷川に架かる日光橋を渡り、左折する。
東照宮への入口は、さすがに人が多い。
神橋の赤い欄干を左に見て、国道120号線を行く。



途中、馬返からは第二いろは坂と言われる一方通行の道を行く。
昔男体山は、女人禁制、牛馬禁止の山であったため、ここで牛馬を乗り捨てた事がその
名残だと言う。



いよいよ山登りと成り、急なカーブとかなりの勾配が続く。
明智平のロープウェー乗り場などを経て、秋には紅葉の名所として、人気の日光の山々
と深い谷を車窓に見ながら、中禅寺温泉バスターミナルに到着する。

バスターミナルの回りは賑わっていた、と言っても賑わっているのはバスターミナルで
は無くその先の華厳の滝に向かう人の流れ。
路線バスで訪れるのはどうやら少数で、ほとんどが観光バス、マイカーのようだ。

人の流れに従って、滝見物をする観曝台へ向かう。
大きなエレベータを降り、ヒンヤリとする長いトンネルを進むとやがて目の前が開けた。
風向きなのか、水しぶきがすごい。



夕暮れで、逆光でもあり、水煙で滝が良く見えない。
それでも時折風の吹きようで霧が割け姿を見せる。
高さ97メートル、落口幅7メートル、毎秒3トンの水を落とす華厳の滝はさすがに迫力が
ある。(続)


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名駅舎・日光駅(JR乗り潰しの旅)

2011-06-08 | Weblog
 併走する国道121号線を「例弊使街道」と言うらしい。
車窓からは、その街道の有名な杉並木が見える。
 江戸時代には、日光東照宮参拝の諸侯がその届け出をし、心身を清めた場所と言われ
るのが今市。



 列車はここからは、25パーミルの最後の急坂を登りにかかる。
宇都宮からは凡そ40分、男体山や日光の山々が近づいてくると、日光に到着する。

 ホームに着いてまず目につくのが貴賓室。
かつて大正天皇が御用邸を訪れた時、休憩に使われた部屋だと言う。



 駅は、明治23年の開業、現在の駅舎は大正元年に改築された木造の名建築として知ら
れている。
 白を基調に、緑の立てラインがモダンな「ネオ・ルネッサンス」と呼ばれる洋風建築
で、まだコンクリートが一般的で無かった事も有り、地元産の大谷石がふんだんに使わ
れている。
夜はライトアップされる事も有ると聞いた。


 
 駅前に活気はない。
二三台のタクシーが、手持無沙汰に客待ちをしているが、利用する程の客が列車からは
降りてこない。
バス停にもバスの姿は無く、二人連れの外人観光客が、バスの到着時刻を調べていた。



 標高533mの看板の立つ、ロータリーの向こう側に立ち並ぶ、みやげもの屋さんの殆ど
が、閉めたガラス戸にカーテンを引いている。
そんな土産物屋さんの前にも、駅前にも人の姿が殆ど無く、閑散としている。
世界遺産、国際観光都市、日光の観光拠点とはとても言えない光景に唖然とする。
綺麗に整備された駅前が、何だか空々しく虚しくて寂しい。(続)


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