簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

四国遍路 土佐・高知の駅で

2010-06-30 | Weblog
折角ここまできているのだから、天気さえ良ければ、予定の札所までバスで廻ると言う
選択肢も有った。
しかし、平地ばかりなら兎も角、山道や階段の昇り降りがあれば間違いなく難儀を来たす。
もう、無理をすることも無いだろう。
昨夜「明日で打ち切ろう」と結論を出していた。



翌日になっても雨は止んで居なかった。
雨の降る中、痛い足を引きずるように野市の駅まで歩き、そこから電車に乗った。
昼少し前、高知に着いた。



駅は、「土佐・龍馬 であい博」で賑わっていた。
スタッフが何人も案内のためコンコースに立っている
足が痛くないのであれば、ゆっくり見て廻りたいところだが、残念ながら歩き回る
元気は残ってはいない。





駅で昼食を済ませ、歩き回る事もできず喫茶店で時間を潰していると、大阪から来たと
言う一人歩きの男性とバッタリ出くわした。
26番・金剛頂寺の宿坊で、夕食時一緒に円卓を囲んだ男性だ。

聞けばやはり足が痛くて歩けなくなったと言う。
「26番からバスと電車を乗り継いで取り敢えず27番と28番を済ませてきた。
これから帰るところだが、バスが満員で3時の便しか取れなかった」とか。
食事時、足にマメが出来、痛くて適わないと言っていたがやはり彼も駄目だったようだ。

みやげを買い、昼過ぎの特急で高知を後にした。
残念ながら今回はここでリタイアだ。

悔しいけど仕方が無い。また毎日しっかりと歩こう。
階段の昇り降りなどで鍛え直して出直しだ。
それにしても、足の裏はどうやって鍛えれば良いのだろうか・・・・?(四国遍路 完)


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四国遍路 高知黒潮ホテルと龍馬の湯

2010-06-28 | Weblog


電車が野市の駅に到着する少し前、右手に今晩泊るホテルが見えていた。
駅からはそんなに遠くは無く、本来なら充分に歩ける距離である。
しかし、足の裏の痛さはさすがに限界を超えている。
この寒さと、本降りになった雨もあり、今は歩く気力が完全に萎えている。



足の裏のつぶれたマメの手入れにはガーゼがいるので、駅前のスーパーで買い求める。
買い物を済ませ、店を出ると丁度運よく玄関先に空車が一台停まって居たのでそれに
乗り込んだ。
「近くて申し訳ないが、足にマメが出来て歩けないので・・・」と断りを入れ、ホテル名
を告げると運転手は愛想よく応えてくれた。



タクシーは、5分もするかしないうちに「高知黒潮ホテル」の玄関前に到着した。
本当なら明日泊まる予定の宿だ。
ここは、予約時に遍路を名乗ればお得なパック料金で宿泊が出来、その上ありがたいこと
に、併設する「黒潮温泉・龍馬の湯」の無料券も付いてくる。



疲れた身体に広々とした温泉は有りがたい。
心地良い湯にドップリとゆっくりと浸かり疲れを癒す。
しかし残念ながら足の痛みまでは取ってくれない。
明日以降、「さて、どうすべきか・・・」湯船に浸かりながら思案するのである。

風呂上り、夕食を摂りながら相棒と相談した。
今回の計画では、高知市内の竹林寺を経て、33番・雪蹊寺か、出来ればその先の種間寺
まで行けたら良いと考え、宿もそのように手配していた。
しかし、どう考えてもこの先を歩き通すことは出来そうに無い。
「足もこんな状態だから、もし明日、天気が回復しなかったらここで打ち切ろう」と。(続)


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四国遍路 ママチャリ遍路

2010-06-25 | Weblog
神峯寺からの下り道の途中、自転車を押して登ってくる青年と出会う。
聞けば東京から1週間ほどかけて来たと言う。
フェリーで四国に入り、順打ちで八十八箇所を廻り、その後東京に戻るのだと言う。



「この自転車で・・?」と、馬鹿な事を聞いてしまった。
まさかとは思ったが、目の前に自転車を押す青年が要るのだから紛れも無くその通りで
あるから驚きだ。



「学生さん?」と聞くと「いや、普段はトラックの運転手をしている。休みを取ってきた」
と言う。
「これから登りは益々きつくなるから・・自転車を置いて登ったら?」と勧めて見ると
「帰りはこの方が楽だから・・」と屈託もなく笑って答えた。
成る程その通りだ。
この坂なら自動車程のスピードで駆け下りてしまうだろう。

「結構自動車、多いから気をつけて」
「頑張って!」と励ます。
疲れている様子も見受けられない青年は、「がんばります」と元気に力強く笑顔で答えた。

ねじり鉢巻に、この寒いのに半そでのシャツ一枚。
前籠に荷物を満載した赤い“ママチャリ”を再び押しながら、坂を登って行った。

幸い今は雨も止んでいる。
後姿を見送りながら「若いねぇ~」「元気が良いね」と二人で感嘆しきり。
それに比べ、我々の足取りの重いこと。



1時間ほどで山を下り、土佐くろしお鉄道の高架を潜る頃、雨はまた降り出していた。
キャンセルした東谷の民宿を横に見ながら、唐浜駅に向う。



一日予定を早めた宿は野市にある。
ここから電車に乗れば40分ほどで到着する筈だ。(続)


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四国遍路 「真っ縦」神峯寺

2010-06-23 | Weblog
暫くは田畑の中を緩やかに登るが、次第に道はカーブも大きく、勾配もきつくなる。
ところどころ車道と分かれる遍路道がある。
距離は短いが、その登り角度はことのほか厳しい。
息を切らし登る急坂は、「真っ縦」と呼ばれ、土佐の難所として知られている。



雨は激しさを増し、寒い日にも関わらずカッパの中は汗まみれ。
額からは汗が滴り落ち、メガネが曇る。
聞きしに勝る厳しい登り道だ。
休もうにも雨を避ける所も無く、ただ下を向いて黙々と登る。
足はもう痛さのピークを過ぎたのか、麻痺をしているのか、山登りの苦しさが勝っている
のか、痛みはさほど感じない。
痛く無いわけではないのに、不思議と痛さを感じない。



40分ほどでようやく山門にたどり着いた。
雨と汗とカッパの蒸れでビショビショに濡れたシャツが体温を奪い寒い。
早く着替えたいところだが、先ずはお参りが先。
しかし、山の斜面に建てられた本堂や大師堂にお参りするためには、急な階段を上り下り
しなければ成らない。
階段歩きはこの痛い足には厳しい。
手摺に掴まりながら、身体を持ち上げるように一歩、また一段と慎重に登る。



納経を済ませ、その前の小部屋を借りる。
奈半利の駅から、我々の少し前を歩いていた女性二人連れの遍路が、「どうぞ使って
ください」と言って入れ違いに出て行った。
彼女たちに比べるとどうやら1時間近く遅れて到着したようだ。

シャツを着替え、遅い昼食を摂り、ヤットどうにか生き返った。
暫く休憩の後、山門を後にする。
幸い雨も小康状態で小降りになってきた。
この間に急いで山を下ることにしょう。(続)

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四国遍路 計画の変更

2010-06-21 | Weblog
相棒は足にマメは出来ていないものの、右足小指の爪を痛めている様子。
足の疲れも若干あるようだ。



お互いの足の状態からこの先何処まで歩けるかは全く解らない。
唯一つはっきりしている事は、計画の35キロはとても歩けそうにないと言う事。
よしんば27番を打ったとしても、その後28番・大日寺までは40キロを歩くことになる。
とてもこの状態では歩けないだろう。

相談した結果、ここは無理をせず、バスか電車で明日予定している宿まで行こうと言う
こととなった。
急遽、野市に予定した宿に、一日早く泊まれないかと変更の電話を入れる。
幸い空いていた。
部屋が確保出来たのを確認して、今度は今晩予定した宿にキャンセルの電話。
「足を痛めたので計画を変更した」のでキャンセルしたいと申出ると、先方も心得たものだ。
「大変ですね。気をつけて。また次の機会に使って」と。

これで宿の始末は付いたものの、初めての屈辱的なドタキャンに気分も沈みがち。
しかし、無理をして、完全に足を痛めてしまっては元も子も無い。
情け無いけど背に腹は変えられない。



雨も本降り、気温の上がらない寒い日となり、時々強い風も吹く荒れ模様の天気も歩こう
と言う意識を完全に萎えさせている。



安田のバス停で雨への備えを固め、神峯寺まで4キロ余りの山登りに挑む。
薬師の集落で国道を離れ、町中の道を山に向って緩やかに登る。
鉄道の高架橋を過ぎ、暫く行くと神峯寺の鳥居があり神域に入る。
これを潜り、いよいよ最後の力を振り絞り、標高430メートルの寺に向う上りにかかる。(続)


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四国遍路 再びバスで

2010-06-18 | Weblog
霧のような雨の降る7時過ぎ、宿坊を後に、27番を目指す。
広い駐車場を横切り、遍路道に分け入る。
昨夜からの雨で地面は濡れているものの、ぬかるむほどで無いことが救われる。



足はしっかりテーピングしているものの潰れたマメは痛さが増し、そんな足の裏を庇って
歩み続けているので足全体にダメージが広がりつつある。
腿の付け根、膝関節にも痛みを感じ始めている。



40分ほどで山を下り、再び国道55号に出る。
暫く国道を歩いてバス停を見つけ、時刻を調べているとタイミング良くバスが通りかかり、
急いで手を上げバスを止め乗り込む。

金剛頂寺から27番札所・神峯寺までは35キロ余り。
今晩の宿はその上り口、東谷の民宿を予約している。
だから、最悪は、お参りが明日になっても構わないが、それ以前にこの足の状態では1時間
に3キロほど歩くのがやっと。
それだけでも歩ければ良いのだが・・・
全て歩けば宿に何時つけるかも知れないので、今日もまた暫くの間バスのお世話になるこ
とにた。

潰れたマメの手入れにどうしてもカットガーゼが欲しく、ドラッグストアがあるだろうと
思われる奈半利までバス行く事にした。



8時過ぎ、奈半利の駅前でバスを降りる。
しかし、こんな早くから開けているドラッグストアも有ろう筈も無く、暫くはこのまま
歩くより仕方ない。

この頃になると雨は本降り、肌寒い最悪の天気に成っていた。
国道を走るトラックが風を巻き上げ、水しぶき振りまいて通り過ぎていく。
そのたびにポンチョが捲れ上がり始末が悪い。
既に靴が濡れ始めている。



奈半利から5キロ余り、1時間10分ほど歩いて安田の集落に到着した。
安田川を越えたところに屋根付きのバス停を見付け、そこで暫く休憩をする。(続)


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四国遍路 宿坊の夕食

2010-06-16 | Weblog


風呂は先程の玄関脇に有るので、そこに行くにはこの道程を、痛い足を引きずるように
引き返さなければならない。
大きな団体が入る前に、入浴も洗濯も済まさなければならないから猶予は無い。



痛い足を引きずるように風呂に向う。
脱いだものを全部洗濯機に放り込んだ。入浴中に洗濯を済まそうという魂胆だ。
足の裏は沁みるが風呂はやはり気持ちが良い。



風呂から上がり、乾燥機で乾かしていると団体が到着し、ロビーが俄かに騒々しくなった。
随分大勢居る。
入浴も洗濯も早く済ませておいてよかった。

6時から楽しみな夕食になった。
広い食堂には数十人分の料理が並べられている。
席は決められていないから、6人ほど座れる円卓には他人同士が並んで食事を摂ることになる。



中央の回転卓には豪華な刺身の盛り合わせ、季節のお寿司、漬物などが並べられている。
他にもてんぷら、茶碗蒸し、酢の物などが所狭しと並べられ宴会料理のようで評判通りだ。
大きな団体も一塊になって食事が始まった。

知らない人々と遍路談義に花を咲かせながら料理を突き合うのは楽しい。
あっちこっちで声高な話し声が聞こえ、時折大きな笑い声が起きる。

凡そお寺の宿坊とは思えない雰囲気だ。
お接待のお母さんたちがてんてこ舞い。
「ちゃんと、ビールの本数記録しているのだろうか・・?」
誰かが心配すると「ここはお寺だから、全て会計時に自己申告、誤魔化すのは居ないよ」
と言う。
再び三度ビール、お酒を求める声がする。
どのグループも今夜はことのほかアルコールが進むようだ。



テレビの天気予報が明日の雨を告げている。
どうやら雨は本降りで気温も余り上がらない荒れ模様の天気に成りそうだ。(続)

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四国遍路 26番札所・金剛頂寺

2010-06-14 | Weblog
納経所で「国道に戻ると遠くなるから、門前を右に曲がって町中を抜ける方が良い」と
教えられた通り、少しでも近い道を迷いも無く選択する。
暫く進むと国道に合流するが、そのまま横切って、並行してはしる旧道を行く。
26番札所・金剛頂寺までは4キロほどの長閑な町中を行く。



小さな元川を渡って右折。山に向う自動車道を少しずつ登る。
途中、大きく右に曲がる自動車道とは別に、直進する遍路道の看板がある。
自動車道なら40分、遍路道なら15分とある。



人家の間の道は、登るほどに狭くなり、やがて地道の山登り道となり、次第に厳しさが
増す。



アスファルトと違って足元の柔らかさは有りがたいが、足の裏の痛い身にはこれが堪える。
痛いところでデコボコした地面を踏もうものならズキンとした痛みが全身を走るから始末
が悪い。
今回は、アスファルト道が多いことも有って靴は軽登山靴をやめ、スニーカーを履いてきた。
これが地道では仇となっている。



歩き始めて1時間半、遍路道が途絶えた。
厄除けの石段を登ると山門があり、その先に広い境内がある。



今日はここの宿坊で泊る。
ここは、「料理が素晴らしい」と聞いていたので、今晩は期待できそうだ。
宿坊では、「今日は大きな団体が入って・・・」と忙しく振舞う住職婦人が出迎えてくれる。

「本館は団体が使うから・・・」と、部屋は広い信徒会館の一番奥になった。
長い廊下を、階段を上り下りしながら案内され広い部屋に着いた。
珍しく部屋にテレビが有った。面白いことにこれがチャンネルの旧式だ。
今時珍しい。それでも三局ほど入るから有りがたい。
今日は新聞からもテレビからも隔離された世界から開放されそうだ。(続)


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四国遍路 野根まんじゅう

2010-06-11 | Weblog
相棒が一軒のお店に入っていった。
暫くして小さな袋を提げ出てきたので、「何?」と聞くと、「饅頭を買った」と言う。
見ると“野根まんじゅう”だ。



20代初めの頃、足摺から室戸を見ての帰り道、甲浦(だったと記憶しているがもしか
したら野根だったかも知れない)でバスを降りた。
少しあった乗り換え時間を利用して、町を歩いていて、とあるお土産屋さんを見つけた。
ユースホステルの食事以外、グルメどころか、ろくすっぽ昼食も食べていない貧乏旅行の
身には店先に並べられた饅頭が空腹を刺激した。



店先で散々迷った挙句、思い切って中に入り一番小さな包を一つ買い求めた。
その店先でしゃがみ込んで貪るように食べていると、暫くしてお店の人がお茶を持って
きてくれた。
五つ六つ入っていた包だったと思うが、あっと言う間に胃袋に落ちた。

お茶を出してくれた事が嬉しくて、食べ終わると再び店に入り、少し大きな箱を一つ
お土産に購入した。
恐らく、湯飲みを唯返すだけに気が引けたことも有ったのであろう。
当時はこんな気弱な青年で有った。



「これは天皇陛下(昭和)に献上された有名なお饅頭だ」と言って、両親にお土産を
渡すと、明治と大正生まれの信心深い両親は「勿体無い」「有りがたい」と封も切らず、
先ず仏壇にお供えし、すぐには食べようとしなかった。

こんな懐かしい思い出の有る“野根まんじゅう”は、それ以後、四国に来る機会がある
度に必ず買い求めるお土産の定番になった。(続)


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四国遍路 25番札所・津照寺

2010-06-09 | Weblog
旧道を抜け、再び国道55号に合流する。
最御崎寺から25番の津照寺までは7キロ弱、2時間ほどの道のりだ。
昨日とは違って今度は左手に海が広がって見える。



1時間ほどで“海の駅 むろと”に到着、ここで休憩、昼食を摂る。
尾崎の女将が“お接待だ”と言って出掛け渡してくれた心づくしのお弁当だ。







おにぎりに、バナナ、みかん、乳酸飲料、それに僅かばかりのお菓子が添えられていた。
栄養バランスを考えた女将の心遣いが嬉しい。

変哲も無い国道を更に40分ほど歩くと、左手に室津港が見えてくる。
土佐山之内藩の家老野中兼山が苦労をして改修した港らしい。
港を開くにあたり、兼山の部下、普請奉行の一木権兵衛は人柱になったと言う。
港はそんな悲しい話を秘め、エメラルド色の水を湛えている。



そんな港の先、広い道路を隔てた反対側に何軒かのお店が連なり小さな門前町が見える。
どうやら25番札所・津照寺に着いたようだ。

土地の人から“津寺”と親しまれている寺は、山門を入るとすぐ右の平地に大師堂と
納経所がある。
足が痛い身にはここだけでお参りが済めば有りがたいが、この場所だけが境内ではない。
正面に延びる120段余りの石段の先に本堂はある。



足の痛さを堪えながら手摺に掴まりゆっくりゆっくり石段を登ると、僅かばかりの平地に、
小さな本堂があった。
お参りを済ませ、振り返ると、木立の間から眼下に広がる室戸の町並みと青い海が見える。
茂りすぎて若干視界は悪いが素晴らしい眺めだ。
心地良い風が、そっと頬をなぜていく。



これはきっと、痛い足を我慢してここまで登ってきたご褒美だ。(続)



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