簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

85番札所・八栗寺(四国遍路の旅)

2014-11-28 | Weblog


 85番札所・八栗寺は背後に聳え立つ五剣山に守られるよう建っている。
五剣山の名は、五つの峰が剣の尖のように聳え立っていることに由来するが、今で
は一峰が豪雨や地震で崩れ、半分ほどになり4剣半と言ったところか。



 山門を潜ると境内が広がっている。
岩峰群を背に本堂が建ち、左に歓喜天を祀る立派な聖天堂がある。
聖天尊は商売繁盛の仏様らしく、商業を営む人々の信仰を集めていて、そんな事
も有ってか、境内には遍路や団体のみならず、観光地並みに家族連れの参拝も
多いようだ。



 本堂前を右手、ケーブル駅の方に進むと大師堂や朱塗りも鮮やかな多宝塔など
が、巨木と岩肌に隠れるように並び建っている。

 そこに向かう参詣道の途中に何故か、天津甘栗を売る屋台が一軒だけ店を広げ、
香ばしい匂いを辺りに振りまいていた。
その栗が寺号に因んでいるのかどうかは定かではない。



 そういえば内陣ではこの日、霊場開場1200年記念事業として「招福ぜんざい」の
お接待が行われる。それはもしかして「栗ぜんざい」であろうか。
少し気になったが、10時からのお接待開始までにはまだ30分以上も時間があり、
待つ時間も惜しいので後ろ髪ひかれる思いで寺を後にした。



 ここからは230mの五剣山の中腹からひたすら山を下り、瀬戸内海の志度湾に
面して建つ志度寺を目指すことに成る。
結願へのカウントダウンもいよいよ三寺を残すのみである。(続)






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参道の「よもぎ餅」 (四国遍路の旅)

2014-11-26 | Weblog
 宿を後に国道11号を歩き、琴電屋島駅の横で遍路道に合流する。
左手に見える琴電の屋島駅は、昭和4年に建てられた駅で、名駅舎の誉れも高い。
 軒の出が浅い緩勾配のスレート屋根、出入りの無い平面的な外壁、切り込まれた
縦長の窓、モダンな印象の駅舎は完全なシンメトリーだ。



 昭和の初期、ケーブルと共に屋島観光を支えた玄関駅は今では無人駅となった。
平成21年には経産省から、近代化産業遺産に認定されている。





 途中、洲崎寺やうどんの有名店を見ながら、細い道を緩く上っていくと道はやがて
八栗ケーブルの乗り場に行き当たる。
その横に大きな鳥居が建ち、それを潜ると八栗寺への参道が延び、それを暫く登る
と「よもぎ餅の本家」の看板を掲げる茶店がある。



 ここは近頃ではテレビなどでも取り上げられる有名店である。
店は百年以上も続く老舗で、今の店主は三代目と言う。



 ここの売りは何と言っても近くの山で摘んだ新鮮なヨモギと、地元産に拘った米と
もち米を合わせた粉で作った餅生地だ。
「出来立てを味わってほしいから・・・」と作り置きはせず、注文を聞いてから一つず
つ餡を包んで丸めてくれる。

 一口頬張ると柔らかなお餅の食感が何とも優しい。
きな粉の香ばしさ、餡の甘み、ヨモギの僅かな苦味が口いっぱいに広がり、得も言
われぬ美味しさである。



 「男はつらいよ・寅次郎の縁談」で香川ロケの際、わざわざ寅さんが食べに来たと
言う。「寅さん、その日調子がすごく悪くて・・、それでもここに座って食べて行ったよ」
もっと話を聞きたかったが、奥で電話の呼び出し音が鳴り、話は中断した。(続)




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84番札所・屋島寺 (四国遍路の旅)

2014-11-24 | Weblog


 屋島は高松市の東北に位置する文字通り屋根のような形をした島である。
江戸時代に埋め立てられ陸続きとなったが、今では相引川で唯一陸地と引き離さ
れ、島であったその面影を留めている。



 島は標高293mの南北二つの峰にわかれていて、その間は細い尾根で結ばれて
いる。山頂付近は平らで開け、屋島寺はその南嶺にある。
島全体が観光地で、ドライブウェイの登り口には四国民家博物館や屋島神社が、
山頂には水族館(2015年度中の閉館が決定)等がある。





 屋島寺の境内は広く開放的で、堂々とした伽藍配置を見せている。
山門を潜ると四天王を安置する中の門があり、それを潜ると正面に朱塗りの柱も
鮮やかな本堂が建ち、その右に大師堂や千躰堂、三躰堂が並び、左手には立派
な宝物館が建っていて、世に名高い源平合戦所縁の品などを展示している。



 山門の横から、本坊の前を通り、お土産物屋さんが軒を連ねる一角を抜けると、
「獅子の霊巌」と呼ばれる眺望地に出る。
ここは眼下に高松の市街地が広がり、五色台や瀬戸内海に浮かぶ瀬戸大橋など
が見渡せ、中々の絶景である。夜景が素晴らしいと言うのもうなずける。
名物は「かわら投げ」で、源平合戦で勝った源氏の兵士が陣笠を投げて勝鬨を
上げたことに因んでいるのだとか。



 屋島の麓に宿を取っているので、遍路道を下る。
この道は地元の人々のウオーキングコースになっているらしく、多くの人が上り下
りしているが、その足取りは驚くほど軽やかだ。
聞けば、ほとんどの人が「二三十分も有れば登れますよ」と言う。
山道で気息奄々、息切れ状態の身には信じられない神業に思えてくる。(続)




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屋島ケーブル (四国遍路の旅)

2014-11-21 | Weblog
 84番札所・屋島寺まで13.6キロ、高松市の中心市街地を抜けて行く。
目指す先は市のシンボルとも言える屋島で、札所はその山上に建っている。



 県道172号を歩き、高松自動車道を越えたあたりで、国道11号に入る。
行く手には緑も濃い名勝栗林公園の借景である紫雲山が見え始め、右手遥か前
方には薄黒く、屋島の山影が町並みの隙間から見え隠れしている。



 途中の瓦町は賑わいの中心地で、さすがここら辺りまで来ると人も車も多く、デ
パートや、スーパーや色々な商店が軒を連ねている。
中でもうどん屋の賑わいには目を見張るものがある。丁度昼時と言う事も有るが、
どこも多くの客で込み合っている。
さすが「うどん県」を自負するだけのことはある。





 岡山市民にとってここ高松はなじみ深い町である。
瀬戸大橋を挟んで一つの経済圏・商圏で論じられることも多く、テレビ放送なども
総合乗り入れの様相で、両県の話題は良く報道されるし、「岡山・香川の天気予報」
などと報じている。

 この地には、良く遊びに来た。
20代後半の頃は、たまたま付き合いのあった女性が愛媛在住で、週末二人が会う
のはこの高松であった。家族旅行やドライブでも何度も訪ねている。
 そんなことで、高松の様子はかなり承知しているつもりであったが、あの屋島の
ケーブルカーが、もう10年も前に廃止になっていることをここに来て初めて知った。





 昭和の歴史と共に歩み、ドライブウェイが開通するまでは唯一の登山手段として
活躍をしていただけにその廃止は残念でならない。
今はシャトルバスが山上までその代行をしている。(続)




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地獄の釜の音 (四国遍路の旅)

2014-11-19 | Weblog
 翌朝、心配した足の痛みは和らいでいた。
多少両足のふくらはぎに違和感は残るものの、歩けなくはいので、慎重に、ゆっく
り歩を進めれば何とか行けそうだ。
両足に「こむら返り」が起きた時には、一瞬あの伊予三島での悪夢が甦っていた。
ここまで来てリタイアでは余りにも虚しい。





ここから83番札所・一宮寺までは凡そ6キロの道程で、途中高松自動車道を潜り、
市街地の賑わいを見ながらの道中である。

 札所は讃岐の国の一宮・田村神社の別当寺で、向かい合ったところに仁王門を
構えている。
境内は広く正面に本堂があり、右手前に納経所、その奥が大師堂である。



 本堂の前に薬師堂がある。
お堂と言うよりも小さな祠と言った方がぴったりの石造りで、石の扉が付いている。
このお堂は「地獄の釜の煮えたぎる音が聞こえ、悪いことをした人が頭を入れると
石の扉が閉まり、抜けなくなる」との言い伝えがあって、昔それを聞いた近所に住む
意地の悪いお婆さんが試してみると扉が閉まってしまった。
 そこでお婆さんは涙を流し謝り、過去を悔い改めることを約束すると、扉が開い
て頭が抜けたと言う。



 到着したばかりの団体が、先達からこんな説明を聞き、この前に一人ずつ跪き、
恐る恐る頭を入れている。誰か扉が閉まるのではと心配して見ていたが、頭を抜
いて笑顔を見せながら、「うん、聞こえた、聞こえた」と語り合っていた。皆善人ばか
りらしい。





 この釜の音を某テレビ局が取材に来て収録をして帰ったが、後で聞いてみると音
は何も入っていなかったと言う。そんな不思議な祠である。(続)




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百百家旅館 (四国遍路の旅)

2014-11-17 | Weblog


 「随分早い到着ね」
「うん、足を痛めたので、タクシーで来た」
「それならすぐに風呂の支度をするから・・」
出迎えてくれたおかみさんと、そんな会話をしながら、痛む足を引きずるようにして、
植木の町・鬼無の駅前に建つ百百家旅館に転げ込んだ。





 中々湯が入らないと思ったら、大きな浴槽である。
20分ほど待って湯につかり、両足の三頭筋群を十分に伸ばし、前脛骨筋と共に
ゆっくりと両手で揉み解す。
しかし、何時もに比べるとふくらはぎはまだまだ固い。それに抑えると痛みも残っ
ている。それでも丹念に揉み解すと、かなり柔らかくなり、痛みも和らいでくる。



 この日宿の泊り客は三人である。大広間で夕食が始まった。
残り一人は、白峰寺に向かう県道で、「一緒させてもらっていいですか?」「ゆっくり
だけど良ければ」「自分も足を痛めているので・・」と追いついて声を掛けてきた青年だ。
 見れば左足のテーピングが痛々しい。
痛み止めを飲んだ事も有ると言う足を、心なし引きずるように歩いている。
同じ宿と聞いて、「それなら飯付に変更します」と言って、歩きながら電話をしていた。





 今日で三十数日、もう三日ほどで終わらせたいとここまで歩いて来た。
長年勤めた会社を辞め、何かを求め歩き始めたと言うが、ここに来て苦悩が解き
ほぐれた様子も、心の渇きがうるおされた様子も見受けられず、「終わるのが少し
怖いです」と現実への回帰を危惧している様子だ。
この三十代半ばを過ぎたと言う、柔和で人当たりの良い好青年に、何が有ったのか
知らないが、残された道程で何かを掴んでくれることを願わずにはいられない。(続)




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初めての代参 (四国遍路の旅)

2014-11-14 | Weblog
 10分ほど待つとタクシーがやってきた。
「よくタクシーの電話番号がわかったなぁ?」と聞くと、「うん、119番に電話した」と
言う。先ほどの会話はそう言うことであったのか。



 相棒が「鬼無の駅前まで・・」と告げるのを「いや、待って、その前に82番に寄って
くれる」と訂正する。未だに両足に小さな痙攣が繰り返し起きているのに、頭は至っ
て冷静である。ここに来て82番札所・根来寺を飛ばすわけにいかない。



 この地は、昔から霊地と言われるところで、そこに香木で観世音像を刻んで安置
した。この香木の根の香が余りにも高いのでそれが寺名になったと伝えられている。
またこの香りが川に流れて香ることから「香川」の県名が付いたともいう由緒ある
古刹だ。



 5分も走らないうちにタクシーが山門前に到着した。
然し、車窓からその佇まいを見て愕然としてしまった。

 堂々たる山門を構え、その先に本堂に向かう参道が延びている。
鬱蒼と茂る木立に覆われた参道は一旦下り、その先で再び登ると言う珍しいものだ。
平坦な境内なら、足を引きずってでも納経をしようと思ったのだが、これではとても歩
けそうにない。ここはもう相棒に代参を願うより仕方がない。





 「これもお接待かな?15分だけメーターを止めるから。これも吸いたいし」と二本
の指を口の前に持ってきた。そう言残して、タバコがどうしても止められないと言う
タクシードライバーが下りて行った。



 一人残された車内で、本堂の方に向き、静かに頭を垂れ、いつの日か、必ずこの
足でお参りすることを誓うのである。(続)




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SOS(四国遍路の旅)

2014-11-12 | Weblog
 異変は、何の前触れも無く突然やってきた。
何が引き金でその瞬間が起きたのか、今思い出そうとしても良く覚えていない。



 白峯寺を打って、1時間余り歩いたところで短い休憩を取った。
これから先は五色台スカイラインと書かれた県道を歩くことに成る。
道はヘアピンのような大きなカーブを重ねながら、かなりの勾配で登っている。



 歩きはじめた今朝がた、遥か右手前方の山頂に見えていた電波塔が、すぐそこ
に近づいている。登りは、丁度そのあたりまでで、そこから先はフラットからやや
下りに転じているようだ。異変はそのサミット辺りで突然襲ってきた。





 進めていた右足が突然何かに引っ張られるように縺れ、激痛が走った。
ふくらはぎの痙攣、「こむら返り」が起き、転び、腰から崩れ落ちてしまった。



 膝関節を伸ばし、相棒の手も借りて足関節を背屈位にして硬直したふくらはぎの
筋群(腓腹筋と言うらしい)を伸ばす。
暫くこの姿勢を続けるとやがて痛みは和らいでくるが、ゆるめると、再び激しい痙攣
が起きる。
 そんなことを繰り返している時どうかした拍子に、あろうことか今度は左足まで「こ
むら返り」を起こしてしまった。
 しかもこちらの方は、脛骨に沿う前脛骨筋までがカチカチに固まり、太ももから足
の付け根辺りまで走る劇痛で、やりきれない。



 こんな様子を見兼ねた相棒が電話を始めた。
「・・・・」「・・救急車・・・?」「・・・タクシー・・・?」
断片的に聞こえてくる会話が終わると「タクシーを呼んだ」と相棒が告げた。(続)




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81番・白峯寺(四国遍路の旅)

2014-11-10 | Weblog
 右手に「かんぽの宿・坂出」が見えてきた。
以前遍路道で出会った宝塚のFさんも勧めてくれた宿だ。



 前面が開けた高台に建つ宿で、ここからの眺望は素晴らしい。
眼下に坂出の町並み、番の州工業地帯が広がり、その向こうに瀬戸大橋の橋脚が
並び立ち、瀬戸内の碧い海と緑の島々が点在する光景はなかなかのもので、特に
夜景が素晴らしいらしい。ここも遍路の間では比較的評判のいい宿である。



 白峰パークセンターの建物を左に見て、県道を右に曲がり坂を下りた先に、古い
石造りの十三重の塔が二基建っている。
源頼朝が崇徳天皇の菩提のため建立したと伝えられる塔で、鎌倉中期と末期に建
立されたものだ。国の重要文化財に指定されている。



 81番・白峯寺に到着した。
ここは五色台(青峰、赤峰、白峰、黒峰、黄峰の五岳)の西に位置する白峯(標高
336.9m)にある札所である。



 杉や檜の古木、老松に覆われた山中に、寺域を構えている。
小さな石橋を渡り、潜る山門は高麗門形式の塀重門で、「七棟門」と呼ばれている。
護摩堂の前を進むと正面に勅額門があり、ここを入れば崇徳天皇の廟所・頓証寺殿、
その裏山には御陵もある。
勅額門の手前、右手の石段を登るとそこに本堂とお大師堂が建ち並んでいる。



 境内のこの辺りにはカエデなどの紅葉樹の大木が多く、気の早い木が既に赤く色
づいている。紅葉の頃はさぞ美しく彩られるであろう。
その見ごろは京や鎌倉の有名寺院を凌ぐ光景を見せてくれることに違いない。
そんな風情を感じる、閑静なお寺である。(続)






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またしても「遍路ころがし」(四国遍路の旅)

2014-11-07 | Weblog


 国分寺の駅前から80番札所に向かう通りに人の姿は無く、閑散としていた。
門前にある、地元シルバー人材センターのボランティア有志による接待所も、その
先の「おへんろの駅 こくぶ」にも人の姿は無く静まり返っている。

前回この地で打ち終えた日は日曜日と言う事も有り、駐車場には大型のバスや
乗用車が何台も停まり人々で溢れていた。



 駅前の通りを外れ左折、これから目の前に立ち塞がる山に向かうことに成る。
畑や住宅が密集する狭い道を抜けると右手に墓地が広がり、そこから道は登りに
転じて行く。所謂「遍路ころがし」と言われる急坂道の始まりである。



 平坦道ならなんてことも無いのに、ここのところ、地道の上り坂になると何ともふが
いない。たちまち息が上がる。
休み、登り、休み、登る。
その登る時間がだんだんと短くなり、反対に休む時間が長くなる。



 「もう一息」「あと少し」
登山道を覆う木々に下げられた札に励まされ、国分寺町を見下ろす絶景に心は洗
われるものの、これらには体力を回復させてくれる効力は残念ながらありはしない。



 老化による心肺機能の低下なのか、上り坂での消耗には激しいものがある。
結局3キロにも満たない上り坂で、予定の時間を30分もオーバーし、やっとの思い、
疲れ果てて県道に合流する一本松に到着した。



 ここで研修中の中学生の一団と遭遇、エールを交換する。
少しばかり体力を回復したような気になり、これから先、左手に陸上自衛隊の演習
地を見ながら、アップダウンを繰り返す舗装道をひたすら歩く。(続)

  写真満載 ホームページ「国内の旅行」
    「北海道JR乗り潰しの旅」
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