簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

藩主の館“御花” (JR乗り潰しの旅)

2013-01-30 | Weblog


 明治18年、この柳川でも一二を争うような酒造業を営む名家に生まれた北原白秋は、
多感な時期(19歳まで)をこの町で過ごし、自然豊かなこの町で詩心を育んだと言われ
ている。明治・大正・昭和の時代を生き抜いた白秋の業績を紹介する記念館は、白秋の
生誕百年を記念して建てられた。そこには生まれ育った生家(昭和44年に復元)も残さ
れている。







 その生家からほど近いところに有るのが“御花”である。
江戸時代この柳川を治めた立花家の別邸で、当時の地名花畠から地元の人々が愛着
を込めて“御花”と呼ぶようになった。



 七千坪に及ぶ広大な敷地の四方に堀を巡らし、その内に贅を尽くした別邸を構え池を
掘り、多くの松を配した庭園を作り遊息の場としたと言う。
その庭園は“松濤園”と言い、国の名勝に指定されている。



 当時の殿様や奥方の居室であった部屋は今そのまま料亭として使われていて、その
座敷からは庭を一望することが出来る。
以前訪れた折には、この座敷で有明海の郷土料理を頂きながら、目の前の園池で群れ
遊ぶ沢山の野鴨の姿を見る事が出来、感激したものだ。



 一際目を見張るのが正面の“西洋館”で、鹿鳴館時代の特徴を表す建物は、明治時代
に立花家の迎賓館として建てられ、現在では結婚式場として使われている。
この他にも立花家400年に渡る歴史で受け継がれてきた収蔵品を見せる“立花家資料館”、
や宿泊施設等を備えていて、柳川観光を代表する施設に成っている。(続)


    写真満載 ホームページ
「柳川お堀めぐり」写真集をアップしました
      ここをクリック  

  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柳川のお堀めぐり (JR乗り潰しの旅)

2013-01-28 | Weblog
 この町の売り物は、何と言ってもどんこ舟で行く“お堀めぐり”である。
市内には総延長500キロにも上る掘割があり、その内の西鉄柳川駅近くから、観光の
中心地、“御花”の近くまでの川廻りを楽しむ事が出来る。



 乗合船を運航する業者は、何社も有り関連施設などでの特典を付けるなどをして、
各社が差別化をし、集客を競っているようだ。

 西鉄の柳川駅からは、歩いても10分程度で行けるところに、5社もの乗船場が有る
が、各々自社の乗船場までは無料の送迎バスも出ている。乗合船は人数が揃えば
何時でも発船するので、待つことも少なく、料金も各社で統一されているようなので、
安心して利用する事が出来る。





 船頭の名調子を聞きながら、竹竿一本で操るどんこ舟は、水面を滑るように進む。
舟一艘がやっとと思うほど狭い堀や、まるで抜け穴のような狭く低い橋の下を、側に
当てる事も無く吸いこまれるように潜るのが船頭の竿捌きの見せどころと言う。
水量によっては、下げた頭ギリギリの時も有るらしい。





 川筋には、明治の時代に建てられたレンガ造りの並倉、旧戸島家住宅、数々の文
学碑やナマコ壁の倉などがあり、また川辺に咲く草花や樹木も、道路よりも更に低い
視線で見るので、違った趣も有り、70分余りの舟下りは飽く事も無い。





 運行業者によって多少の違いは有るようだが、おおむね柳川観光の中心的な場所
で下船することに成る。
帰りも柳川の駅まで無料のシャトルバスが運行されているので便利である。(続)




    写真満載 ホームページ
「柳川お堀めぐり」写真集をアップしました
      ここをクリック  

  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水郷・柳川 (JR乗り潰しの旅)

2013-01-25 | Weblog
 水郷・柳川に立ち寄ってみる。
鹿児島本線の船小屋からはバスで20分ほどと近く、同沿線の久留米からは、西鉄の
電車でもアクセスが可能だ。



 また長崎本線の佐賀駅前のバスセンターからは、概ね1時間に2本程度、路線バス
の運行があり、50分ほどで到着する。
このバス路線は途中筑後川を渡り、作曲家・古賀政男の故郷であり、家具生産日本一
を誇る「家具の町」、大川町を通り抜ける。



 車窓からは多くの家具作りの工房や、販売店の並ぶ賑やかな町並み目にすることが
出来る。また、筑後川を渡る折には、国の機械遺産である「筑後川昇開橋」も望む。



 柳川は筑後平野の南西部、有明海に面して位置する町で、人口7万人余りの商業の
町であると同時に、有明海ではノリの養殖もおこなわれる。
 市内には掘割の流れが多いことから“水郷の町”とも呼ばれ、その資源を生かした
観光の町でもある。また旧柳川藩立花氏の城下町として栄えた歴史を持ち、日本の
近代文学を代表する詩人・北原白秋の故郷としても知られている。



 有明海の豊富な魚介類に恵まれ、どじょうを入れた「柳川鍋」、ウナギの「せいろ蒸し」
などは良く知られている。また、ムツゴロウなど珍しい魚介類を使った料理や、中には
イソギンチャクのから揚げや味噌煮を食べさせる店もあるらしい。
 市内にはこういった店が多くあるのでぜひ立ち寄ってみたいものだ。(続)






    写真満載 ホームページ
「柳川お堀めぐり」写真集をアップしました
      ここをクリック  

  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

錆びた鉄色の温泉 (JR乗り潰しの旅)

2013-01-23 | Weblog
 久大本線の終着駅・久留米からJRで南に4つ程下がると“船小屋”と言う駅が有る。



 九州新幹線の開業に合わせ“筑後船小屋”駅が設けられた事で、その駅舎の前に
新しい在来線の“船小屋”駅が造られた。
駅舎間は50m程離れていて、全く別の建物に成っている。



 新駅は従来の在来線の駅からは500m程南に下がった位置であり、ホームに上がると、
北の方にその旧駅を見る事が出来る。

 駅前からバスで10分ほどの処に、知る人ぞ知る“船小屋温泉郷”がある。
矢部川を挟んで、10軒ほどの旅館がある小さな温泉町ではあるが、この温泉の特徴は、
高濃度の含鉄炭酸泉の冷泉で、血行を良くし、疲労回復・関節痛・筋肉痛・リウマチなど
に良いとされている。





 町の中心部には、“船小屋鉱泉”と言う洒落たレトロ調の建物が有り、ここでは天然の
高濃度含鉄炭酸水を飲む事が出来る。
 硫黄臭のする飲泉は、錆びた鉄を舐めたような味で、決して美味しいとは言えないが、
慢性の消化器系の疾病や貧血、痛風などには効果が期待されると言う。



 近くに有る“すずめの湯”は、気軽に入れる立ち寄りの湯である。
男女分かれてはいるが、脱衣所は入口のすぐ横で狭いし、浴槽も畳み3畳ほどと広くは
無い。決して設備の整った浴場とは言い難いが、泉質は天然自噴の含鉄高濃度炭酸泉
で、やや温め、特徴のある濁り湯だが、これはじっくと浸りたい至福の湯でもある。(続)






  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女性に人気の町 (JR乗り潰しの旅)

2013-01-21 | Weblog
 湯布院は大分からは特急で50分足らず、普通でも1時間10分ほどと近い。
また博多からも特急で2時間10分余りと言う事も有り、交通の便は悪くない。



 九州の軽井沢”と言われる“ゆふいん” は、湯の町別府の奥座敷とも呼ばれている
温泉の町でもある。九州の中でも人気の観光地である事は間違いなさそうで、特に女性
客には圧倒的に支持されているようだ。



 駅を降りれば辻馬車や、スカ―ボロと呼ばれるクラッシックカ―、人力車からレンタ
サイクルまで多彩な乗り物が観光客を待ちうけているので、町めぐりの選択肢も多い。



 町のいたるところから、豊後富士と呼ばれる由布岳の優しい姿を望む事が出来る。
その西麓に広がる由布盆地に開けた町中には、金鱗湖から立ち上る幻想的な朝霧が
ロマンチックな情景を醸しだし、全国でも有数な湧出量を誇る温泉郷が華を添える。







 中心街を少し離れれば、高原特有の爽やかな風が吹き渡り、豊かな田園風景が広が
っている。町は“アートの町”としても知られていて、キャラリーや美術館、個性的な
品揃えのショップやお土産屋さん、レストランや飲食店など、多彩なスポットが多く、
店先を冷やかしながらのぶらり町歩きも楽しくこんなことも人気の秘密かもしれない(続)





  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

久大本線 (JR乗り潰しの旅)

2013-01-18 | Weblog
 日豊本線の大分から、西に向かって九州を横断するように、鹿児島本線の久留米へ至る
路線が、ゆふ高原線の愛称を持つ141.5キロの久大本線である。
 大分川、筑後川の流れや雄大な由布岳など、自然豊かな車窓が楽しめる路線でもある。



 沿線には、特に女性客に人気が高いと言われる湯布院や、九州の小京都と呼ばれ、古い
町並の残る天領・日田などが代表的な観光地である。
また、日田彦山線の起点駅・夜明が“男はつらいよ、寅次郎紙風船”でホームが使われたこ
とや、ロマンチックな駅名として鉄道ファンには知られている。



 本線を通して運行される普通列車は殆ど無く、大分からは由布院へ、久留米からは
日田へ、それぞれの区間運転がおよそ1時間に一本程度運行されているが、由布院と
日田の間となるとその本数は極めて少なく成り、時間帯によっては数時間普通列車が
無い時も有る。



 しかし日田や湯布院などの他にも沿線には湯平、杖立、黒川など著名な温泉地が数
多くあることや、博多が比較的近いこと等も有り、博多と大分(一部由布院)を始発・着
する観光特急が導入されている。



 特に“ゆふいんの森”は、ヨーロピアングリーンが、森の妖精とも言われるリゾート特急で、
開放的な車窓が楽しめる車両や、ビュッフェを備えている。
残念ながらまだお目にかかった事も乗車したことも無いが、機会が有れば、一度は乗って
見たい列車である。(続)




  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日田の祇園 (JR乗り潰しの旅)

2013-01-16 | Weblog
 日田にはもう一つ代表する祭りが有る。
天領に成り町に勢いが出て、町人文化が発達し、町衆が巨万の富を築き上げると、
地元に氏神様を寄進し山鉾を奉納するように成る。今から500年も前の事だそうだ。





 その後山鉾を飾る装飾も充実され、町中を巡行し、次第に祭りとしての形態を整え
て行く。大松を輪切りにした四本の輪を土台にして、そこに四本柱を立て、それらに
歌舞伎や浄瑠璃の一場面を表す人形、館、自然の情景を飾り付ける。
 文化・文政の頃、その高さは何と4~6丈(12~15m)にも及んだと言う。



 こんな豪華な山鉾は、隅町にある“日田祇園山鉾会館”で常設展示されているので、
真直に見る事が出来る。



 日田の山鉾の特徴は、何と言っても“見送り”と呼ばれる豪華な緞帳(垂幕)である。
“見送り”とは山鉾の背面を飾る垂れ幕の事で、猩猩緋と言われるラシャ地に、著名
な画家の描いた虎や龍の下絵を、金糸銀糸の刺繍、象牙、ギヤマン等で描き、飾り
たてた豪華なもので、古い物は天保年間のものも残っていると言う。
 祭りでは、山鉾の周囲を飾る水引幕と対で付けられる。



 明治に入り町に電灯線が張り巡らされ、山鉾の高さが抑えられる時期も有った
ようだが、現在では、八町から高さ6~11mの山鉾が引き廻されると言う。
 祭りは平成に入り、国の重要無形民俗文化財に指定されている。(続)



 


  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日田のおひなさま (JR乗り潰しの旅)

2013-01-14 | Weblog


 白壁の古風な店構えが連なる通りの一角で、“雛御殿”と書かれた江戸時代のお駕籠を
模した看板を掲げた店を見つけた。
入口の脇には「醸造元 味噌醤油醸造元 創業天保十四年」とあるので、味噌や醤油を売
る店である。試食の出来る店の奥が、古今のひな人形を見せる有料の施設に成っている。



 朱塗りの煌びやかな門を潜ると、館内の棚や、畳敷きの広間には緋毛氈が敷かれ、
その上に数えきれないほどの“おひなさま”が並べられている。
 その数3000体とも3500体とも言われる“おひなさま”の中には、250年前の享保
年間の内裏雛や、洋装をした変わり雛、きせかえ雛から豪華な段飾り雛、それらに
付属する雛道具、貝合わせ等が所狭しと並べられ、なかなかに見応えが有る。





 これらはこのお醤油屋さんのコレクションらしく、こう言った雛のコレクションは、他にも
「日本丸」と言う古い薬屋、日田の旧家・広瀬資料館、大分県の有形文化財に指定され
ている草野本家などでも見る事が出来る。



 幕府の直轄地「天領」となったこの地には、華やかな町人文化が花開いた。
裕福な町屋では、高価な雛人形等を競って飾り合い、そのために当時の文化の中心で
あった京や江戸から取り寄せたり、土産として持ち帰ったりした。



 そんな江戸から明治大正にかけての古い雛が、旧家には伝えられ、今日の“日田
おひなまつり”に引き継がれているのだと言う。(続)


  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天領・日田 (JR乗り潰しの旅)

2013-01-11 | Weblog
 日田の町中の見所は、久大本線を挟んで南北に広がっているので、町をめぐるには、
駅に併設された観光案内所で、レンタサイクル(一日700円)を借りるのが良いだろう。



 北側に有るのが“豆田町エリア”で、江戸時代の御用商人の商家や蔵屋敷が立ち
並び、春には“日田おひなまつり”が行われるなど、日田を代表する名所である。
 
 南側に広がるのが“隅町エリア”で、鵜飼いが行われる三隅川の北岸に立ち並ぶ
温泉旅館を中心に、比較的新しい町並や施設が続いている。


 
 日田は昔から良質な井戸水に恵まれたところらしく、薫長酒造、老松酒造、いいちこ、
ビール等の酒造関連の工場も多く立地していて、中には見学できる施設も有る。

 駅を出て久大本線を潜り、広い道を花月川に突き当たるまで真っ直ぐに進むと、その
川縁に蔵元・薫長酒造が有り、併設された資料館や酒蔵を見学する事が出来る。





 工場にはレンガ造りの煙突が、シンボルのように聳え建っていて、それを取り巻く様に
蔵が立てられている。



 元禄時代に建てられた一番古い蔵もそのまま残り、他の四棟の酒蔵も建設された当時
の姿をそのまま残している。 300年以上続く老舗の醸造元では、現在もそれらの施設を
使って清酒や焼酎の製造を行っていると言う。



 蔵元には、ショップやカフェも併設されている。
お酒が少しブレンドされた“吟醸アイスクリーム”は事の他美味しいと評判だ。(続)





  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

九州の小京都 (JR乗り潰しの旅)

2013-01-09 | Weblog
 小倉・日田を直行する日田彦山線の列車の数は少なく、多くは田川後藤寺で乗り
換えることに成る。ここからは、およそ1時間に1本程度の運行しかなく、たった一両の
ジーゼルカーが、ローカル線らしさを演出する。







 田川後藤寺を過ぎると沿線は、次第に山が近くより深く成り、その先には英彦山の
厳しい登りが待ち構えている。
 修験者の道場として知られる霊山・英彦山と英彦山神宮の門前駅・彦山を過ぎて、
長いトンネルを抜けると筑前岩屋、ここは平成の水百選に選出された「岩屋の湧水」が
知られている。



 路線はここから下りに転じ、宝珠山で福岡県境を越え、大分県に入る。
更にその先暫くすると久大線に合流する夜明に到着する。
 沿線には三隅川(筑後川)が寄り添い、周りを千メートル級の山々が取り囲む日田盆地
へと入り込むように、列車はそのまま本線を走り、二駅先の日田が終着となる。



 大分県の北西部に位置する日田は、古くから三隅川での漁業や、山間部での林業を
中心にした産業が盛んで、豊臣家の直轄地から始まり江戸時代には幕府の天領となった。
 筑後川の河川交通が発達し、他の地方と活発な交流が行われ、京や大坂や江戸の
文化を積極的に取り入れる事で、町人による文化で町は繁栄した。
この町は、その古き良き時代の面影を今に残す「九州の小京都」と言われる観光の
町でもある。(続)



  にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする