簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

しろばんばの里(JR乗り潰しの旅)

2015-04-29 | Weblog


 下田市郊外の山間に蓮台寺温泉や河内温泉があり、河内温泉には一軒宿・金
谷旅館がある。
二千坪の敷地に立つ旅館で、ここの売りは伊豆では一番広いと言われている木
造の内湯、混浴大浴場「千人風呂」である。
洗い場を含めると畳40畳分と言う広さがあり、日帰り入浴も楽しめる。
木造りが醸す湯屋の雰囲気がとてもよく、余りの居心地の良さに、すっかり寛ぎ、
長湯をしてしまったほどだ。





 このしわ寄せが、楽しみにしていた湯ヶ島を素通りと言う結果に成ってしまった。
旧下田街道には所縁の文人も多く、多くの名作の舞台にもなっている。
川端康成の「伊豆の踊子」、松本清張の「天城越え」を初め、少年時代を湯ヶ島で
過ごした井上靖の自伝的小説「しろばんば」や「幼き日のこと」などが知られている。



 北海道の旭川で生まれた井上靖は、父の従軍に伴い、母のふるさと伊豆に移り
住むことに成る。
そして始まった祖母との土蔵暮らしのそのあたりの経緯はこれらの自伝的小説に
詳しく書かれていて、その舞台がこの湯ヶ島近辺である。



 残念ながらこの湯ヶ島の地はいまだに訪ねたことがない。
ここには井上靖旧宅の跡や文学碑・詩碑などが整備されているらしい。
洪作少年が駆け巡った「しろばんばの里」を、何時かは一度、ゆっくりと尋ねてみ
たいと思っている。



 (閑話休題)
河津でさくらまつりを楽しんだ後、再び河津駅に戻る。
伊豆急で終点の下田を目指し、そこからはバスに乗り継いで、伊豆の西海岸に向
かうのがこれからの予定である。その下田へは伊豆急で15分ほどの行程だ。(続)





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浄蓮の滝(JR乗り潰しの旅)

2015-04-27 | Weblog
 伊豆半島の中央、天城の山々に囲まれた地に、有名な「浄蓮の滝」が有る。
何年か前、レンタカーで訪れたのは雨模様の夕方近くで、山間地の日没は意外
に早く、辺りが少し暗くなりかけた、暮れの肌寒い日であった。



 無料駐車場が完備した浄蓮の滝観光センターから、土産物店が建ち並ぶ谷沿い
の遊歩道を、雨の降り始めを気にしながら下っていく。



 これが結構厳しく、200段ほどの下りの階段道である。
足元を気にしながら10分近く歩くとやがて、原生林が薄暗く生い茂った山中に、
その静寂を破るように激しい水音が聞こえてくる。



 狩野川の上流に位置し、落差25m、巾7mの大滝は、伊豆第一の名瀑で「日本の
滝100選」にも選ばれている。
数々の歌や、小説でも知られる浄蓮の滝は、美しい女郎蜘蛛が住んでいたという
伝説の伝わる滝でもある。
滝壺近くには、演歌歌手石川さゆりのヒット曲「天城越え」の歌碑が建てられている。





 伊豆急のドリームパスには、河津から、途中河津七滝、天城峠、浄蓮の滝、湯ヶ
島を経て、修善寺温泉や土肥温泉に向かう「山葵路ルート」(通用3日 6,500円)も
発売されている。



 このパスの名前の由来は、沿線の車窓から伊豆特産の山葵畑を何か所も目に
することが出来るルートを行くからだ。
この付近にもわさび田が有り、周辺にはわさびの専門店もある。
最近ではわさび丼が人気を呼んでいるらしいが、そのほかにも、わさび漬け・わさび
アイス、わさびで染めた小物などわさびに関連したお土産が多く並べられている。(続)




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天城峠(JR乗り潰しの旅)

2015-04-24 | Weblog
 『道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨足が杉の
密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。』
 川端康成の小説「伊豆の踊子」の書き出しである。





 かつての下田街道は、半島の南部に立ち塞がる天城山の峰々を超えるのは、街
道の難所中の難所で有ったと言う。そんな山越えの峠道にトンネルが開通するのは
明治37年のことであった。旧天城山隧道である。



 トンネルはアーチ形の入り口を初め、内部に至るまで切石積で作られている。
全長445m余り、幅員4.1mの石造り道路トンネルとしては日本に現存する最長の
ものだ。

『暗いトンネルに入ると、冷たい雫がぽたぽた落ちていた。南伊豆への出口が前
方に小さく明るんでいた。』





 山肌にぽっかりと口を開けるトンネルの入り口の石積には苔が生え、その歴史
を感じさせる。アスファルトの剥がされた地道を歩いてトンネルに入るとヒンヤリと
冷たい空気が体を包み込む。
中は小さな明かりが点々と続き、その先に半円の明かりが出口を知らせている。



 河津からは15キロほど、国道414号線は下田街道最大の難所、天城山を1970年
に完成した800mの新トンネルで簡単に潜り抜けていく。
新トンネルが開通し、天城越えのメインルートから離れた旧トンネルは、今は観光
客やハイカーが立ち寄る観光名所として人気の場所だ。
 こんなトンネルは、国の重要文化財に指定され、山深い木立の中にひっそりと佇
んでいる。(続)




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下田街道(JR乗り潰しの旅)

2015-04-22 | Weblog
 ここ河津の町中を流れる、「河津桜まつり」の会場にもなっている河津川を遡つ
た山中に河津町梨本(河津七滝のある辺り)と言うところがある。



 ここから南に下り、小鍋峠を越えれば道は伊豆半島先端の下田に出る。
又北に向かい天城峠を越えると、湯ヶ島から韮山を経て、東海道の三島宿に至る。
このルート古くは下田街道と呼ばれていて、現在の国道414号線とほぼ同じである。



 伊豆急のお得なパスには、こんな旧下田街道の名所旧跡を巡る「山葵路ルート」
と言うのもあるが、「黄金路ルート」には旧下田街道を行くルートは含まれていない。



 今回の旅は「伊豆ドリームパス・黄金路ルート」を使っているが、伊豆急の沿線だ
けを見て回るなら、何も特別なフリーパスを購入する必要はない。
起点の伊東駅で終点の下田駅までの切符を購入すれば、伊豆急線は途中下車が
出来るので、駅々で下車を繰り返し、見所を訪ね歩くと言うことも出来る。
(フリーパスではないので、戻ることは出来ない。)
これなら電車の片道切符だけで、沿線各地の観光が出来るので断然お得である。



 何年か前、4人で伊豆半島を訪れた折は、熱海でレンタカーを借り、伊豆半島の
東海岸を南下し下田に向かい、そこから国道414号線で天城峠を超え、浄蓮の滝
に立ち寄り、修善寺温泉に向かった。



 3~4人揃っての旅行なら、この方が時間的な余裕もでき、負担も重くは無い。
伊豆半島の観光は見所も多く、それを巡る交通機関の選択肢も多いので、十分に
吟味し、楽しみたいものだ。(続)






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河津桜まつり(JR乗り潰しの旅)

2015-04-20 | Weblog
 さすがに「原木」の周りには人が多い。
狭い町道に見物のマイカーが溢れ、大型の観光バスも行き来している。
そんな車と、木の周りや、道路の反対側から全景をカメラにおさめようとする人々
が錯綜し、整理のガードマンの怒声も響いて騒然としていた。



 畑を横切って河津川の土手に出てみると、そこには川の両側に植えられた河津
桜で見事なトンネル道が出来ていた。
 艶やかなピンクの帯が続き、その根元には黄色の菜の花も咲き誇り、そのコント
ラストが実に美しい。
そんな土手道を行く人々の乱れた波で、歩くのもままならない程込みあっている。
あちこちでカメラを構える人との小さな衝突も見られるほどだ。





 道縁にはお店や屋台も並び、酒やビールを売り込む店員の声が響き、たこ焼き
や、焼き鳥、焼肉の香ばしい匂いが道一杯に広がり客を誘っている。



 河津川に架かる橋々からの眺めもまた素晴らしい。
冬枯れでまだまだら模様の伊豆の山々を背に、桜の濃いピンク、土手の緑、川辺
の白、水の色が何層も塗り分けられた帯のようで、まるで一幅の絵を見るようだ。
 橋の上を渡る風が早春の香を含んでいて心地いい。





 祭りの期間中には、地元商店の出店や、「伊豆の踊子」との記念撮影や、夜間の
ライトアップなどのイベントも用意されていて毎年大勢の花見客を集めている。(続)




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河津桜の原木(JR乗り潰しの旅)

2015-04-17 | Weblog
 河津桜の開花時期は一定ではなく、予測が付け辛いらしいが、開花に合わせ
おおむね二月の上旬頃から一か月間にわたって「河津桜まつり」が開催される。



 駅を出た人々は、桜並木と土産物店が軒を連ねる線路沿いの道を、河津川に向
かう。しかし折角ならこの地に残る河津桜の原木をまず見てみたい。





 人の流に背を向けて、伊豆急線のガードを潜り、町道を原木のある役場近くの
個人宅に向かう。
道の途中には河津桜の苗木を売る店なども有り、そんな中に、ひときわ目を引く
「かじやの桜」と呼ばれる大木が凛と立っている。



 少し濃い目のピンクの花を、枝一杯に付け、こんもりと広がる姿は見応えが有る。
この桜は、町内で接ぎ木による苗木の生産が始まった初期のころの苗が成長した
もので、地元では一期生の桜と呼ばれている。



 さらに進むとその先には、大勢の人々に囲まれて誇り立つ巨木が見えて来る。
樹齢60年余りと言われ、町の天然記念物に指定されている「原木」である。
 少し高くなった盛り土から延びる主幹回りは100センチを超え、樹高は10m、樹幅
も10mという堂々としたものだ。
地際から枝分かれした何本もの幹も、主幹に絡むように枝を広げ、艶やかなピンク
の花を一杯つけていて周り一面をピンクに染めあげている。



 花付は「かじやの桜」の方が多いように見受けられるが、「原木」も決して負けて
はいない。これは何れも、けだし銘木である。(続)




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熱川から河津へ(JR乗り潰しの旅)

2015-04-15 | Weblog



 「流れる温泉 あそべる広場 熱川ほっとぱあーく」の前に立地する温泉旅館に
泊まった翌日、花の便りの聞こえ始めた河津を訪ねてみた。
 夜中にかなり激しく雨が降っていたようだが、この朝は目の前に広がる太平洋を
朱に染ながら朝日が昇った。どうやら絶好の花見日和となりそうだ。





 土産物店を冷やかしながら、温泉街をのんびり歩き熱川の駅まで出た。
ここから伊豆急線で河津に向かう。

 家族連れやお年寄りのグループ、カップル等で車内は結構な込み様で賑やかだ。
どうやら花見客のようだ。



 普通列車で凡そ15分ほどで到着した河津駅のホームからは、早くも満開を迎え
た河津桜が見下ろせる。咲き誇った赤紅色の花の帯に、花見の期待は盛り上がる。
「歓迎 河津桜まつり」の横断幕が掲げられたホームに降り立った人々は、お弁当
の包みやカメラを抱え、足早に出口の階段に殺到する。



 河津桜とは、この地で偶然発見された新種の早咲きさくらのことで、カンヒザクラ
とオオシマザクラの自然交雑種と考えられている。
その桜の名前の由来となった町では、桜の増殖をすすめ、町中を流れる川岸を
中心に桜並木を整備し、今から30年余り前から厳冬の最中に咲き誇る桜を売りに
「さくらまつり」を開催するようになった。



 河津町は伊豆半島の南端に近い東海岸に立地している。
町の玄関口は伊豆急線の河津駅、その駅の近くの河口から河津川に沿って上流
へ3キロ余り、桜並木が続いており、そこが「河津さくらまつり」の会場となる。(続)




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熱川温泉・高磯の湯(JR乗り潰しの旅)

2015-04-13 | Weblog
 太田道灌の像を後に、海沿いの道を暫く進むと熱川温泉の北の外れ、穴切海
岸の波打ち際に立ち寄り温泉「熱川温泉 高磯の湯」がある。
ここは公共の露天風呂(600円)で、夏には隣接したプールの営業も有るらしい。





 入口で利用料金を払い、プールの脇を奥に進むと、大きな石を幾つも使って作ら
れた丸い男女別の露天風呂がある。
湯船は広く開放的で、20~30人程度は入れる大きさだ。
中央の丸い石からやや熱めの弱食塩泉が湧き出ていて、ここは紛れもない源泉か
け流しの湯である。





 素晴らしいロケーションである。
海岸より少し高い波打ち際に作られているので、海を見下ろすと目の前で時折白い
波しぶきが立ち上がる。
海に近いので、危険防止の鉄柵が設けられていて、波の高い日には営業が出来な
い事も有ると言う。





 湯船に身を沈めると目線の先には180度大海原が広がり、碧く煌めく太平洋と一
体になって見え、海に浸かっているような錯覚さえ覚える。
 周りには屋根も何もないのでどこまでも開放的な空の元、遮るものもなく広がる
海を見ながら浸かる湯は格別で、その野趣あふれる絶景は一級品である。
天気が良ければ遥かに伊豆七島を望むことも出来るらしい。

 熱川温泉には、ここ「高磯の湯」の他に熱川温泉旅館の風呂が2か所入れるお
得な「湯めぐりチケット」(1200円・半年有効)も販売されている。(続)




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熱川温泉と太田道灌(JR乗り潰しの旅)

2015-04-10 | Weblog


 熱川の駅を降りると駅前に白い湯気に包まれた源泉櫓が見える。
この町のシンボル的存在で、温泉街を中心に16か所も有ると言う。
ここ熱川の温泉は殆どが自噴で、その温度は100度にも及ぶらしい。



 櫓の下に「湯の華ぱあーく」が有る。
ここはすぐ脇にある源泉の湯が掛け流しの足湯で、無料で利用出来るので、列車
待ちに立ち寄るには丁度良い。



 大小温泉旅館が犇めく狭い道路沿いには、名物の干物などを売るお店も混じり、
そんなお店を冷やかしながら海岸に向けて坂を下ると赤い欄干の橋向こうに「流れ
る温泉 あそべる広場 熱川ほっとぱあーく」が有り、ここでも無料の足湯を楽しむ
ことが出来る。



 その脇に、猿を従えた太田道灌の像が建っている。
熱川温泉はその昔、太田道灌が発見したと伝えられていて、天城山での巻狩りの
帰りに、湯気が上がる濁川の河畔に傷を癒している猿を見つけた。



 自らも狩りの疲れを癒そうと湧き出る温泉で湯あみをすると、たちどころに全身に
生気が漲った。
この恵みに感謝した道灌は、この熱い湯の川を「熱川」と名付けたと言う。



 太田道灌と言えば、江戸城を築城したことが知られている。
神のご加護が篤いこの地を見て、天城山の溶岩流で出来た海岸にある岩石を切り
出して江戸城の築城石にすることを決意したと言う。
伊豆半島からは、多くの石垣用の石が切り出されたらしい。(続)

    表紙写真更新しました。 


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伊豆急行線(JR乗り潰しの旅)

2015-04-08 | Weblog
 「伊豆ドリームパス」は「らんの里堂ヶ島」「土肥金山」「小室山観光リフト」「下田
ロープウエー」など半島内の提携する観光施設で提示すれば割引が受けられる。



 パスは通年発売と言うから使いやすいが、発売場所が限られている。
伊東線を利用するならパスの購入は終点の伊東で列車を降り、一旦改札を出て
構内左側にある「東海バス案内所」に行くことに成る。



 したがって、伊豆急線に直通する列車で、伊東での停車時間中に急いで購入と
言うわけにもいかない。また、当駅で伊豆急線に乗り継ぐ待ち時間でと言う場合も、
20分ほどは見ておかないと慌ただしい。



 ドリームパスの購入のため、下田行の電車であったが一旦ここ伊東駅で降り、
構内の東海バス案内所を訪ねてみる。



 購入後、暫く待って次の伊豆急線に乗り熱川を目指す。
伊豆急行線はJRの伊東から先、半島東部の海岸線に沿って南下し、先端部の下
田まで行く45.7Kmの私鉄の路線で、終点の下田までは1時間余りの行程である。



 伊豆半島は太古の昔は太平洋にできた火山島で、プレートの移動によって本州
に衝突して出来た半島らしく、この地の植物は南方系が多いと言われている。
又元々が火山島で有ったことも有り、沿線には川奈、北川、熱川、稲取などの名の
知れた温泉も多い。



 伊東を出ると城ヶ崎海岸、伊豆高原と続くが、駅の標高は、伊豆高原より城ヶ崎
海岸の方が高いと言うから面白い。(続)

    表紙写真更新しました。 


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