穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

芥川賞「ニムロッド」書評

2019-02-10 20:29:13 | 妊娠五か月

  本日書店を徘徊中文芸春秋今月号に「芥川賞発表」とあったので久しぶりに贖いました。

 それで久しぶりに選考委員の書評の書評をしてみました。まず「ニムロッド」ですが、芥川賞にしてはずいぶん長いですね。つまらないから長く感じるのかもしれない。

  全部で70ぺージほどある作品の最初の20ページを読んだところで書評をします。私は途中書評をしています。現在のポジション・レポートは文芸春秋三月号374ページまで読みました。

  さて、本文を読む前にざっと選考委員の選評をまず読みました。絶賛の羅列といってよろしい。ケチをつけている委員はいないようです。

 これってIT企業(きれいに言えば)中小のサーバー屋に努める文系職員の勤務ぶりの紹介と、同じ会社の同僚でヒコーキマニアのlineでのやり取りが交互に出てくる体裁ですが、たいした趣向も感じられない。

  文系職員の職場紹介は素人向けの取説的だし、ヒコーキ・マニアの「ダメな飛行機」という連載にもマニアの蘊蓄と感心させられるものはありません。彼の言う「ダメな飛行機があるから今日の進歩がある」というのを選評委員のだれかは気の利いた深遠な哲学的、文明論的な名句だと思っているらしい。これって、よく言われる試行錯誤というどの分野の技術進歩にもつきものの当たり前のことではありませか。

  途中から田久保さんというミッドサーティというかハイサーティの「職業婦人」との交情が出てきますが、描写は平板ですね。

  さて、あと50ページ頑張って読んでみます。読み切れるかどうか。