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言の葉

2008.11.28 開設
2022.07.01 移設
sonnet wrote.

女4人木曽路旅 2

2011年07月27日 | 

馬籠のお蕎麦屋さんを出発したのは正午を少し回ったところだった。
馬籠・妻籠間は7km~9kmとサイトによってまちまち。間を取って8km、所要時間3時間ということにしよう。
道幅の狭い急峻な坂をひとしきり上り、急な坂を下りるとお蕎麦屋の前から伸びたアスファルトの道路に出て思わず苦笑した。
いやいやいいのだ。我々は江戸時代の旅人と同じ中山道を歩くのだ!
その車道を横切って再び山道に。いにしえの旅人が草鞋で踏みしめた石畳を私たちはトレッキングシューズで歩いていった。
所々、道の脇の山肌に湧き水が流れ出る竹の樋があった。首に巻いたタオルはすぐにぬるくなって、見つけるたびにタオルを浸した。

しばらく行くと民家があり、同年代の男性が作業をしていたので、挨拶をしてしばし休憩させていただいた。
母屋と作業所の間の庭に赤いオープンカーを停め、古民家の梁だったという太い木材に跨ってノミをふるっていた。
仕事を辞め、知人の別荘だったこの家を買い、住んでいるのか長期滞在だったか、ともかくスローライフを満喫しているようだった。
「きついのはあと10分ちょっと。それから先はずっと下りだから。」
別れ際にそう言われて元気を取り戻し再び歩き出した。

ところが10分以上過ぎても登り坂。「話が違うよ~」とぼやいていると十返舎一九の歌碑に着いた。
横に広い東屋があり全員ベンチに座って休憩。
木々を抜けてそよ風が吹き渡り、その気持ちよかったこと!
一九の碑は判読できなかったが、後で調べると、
  渋皮の むけし女は 見えねども
  栗のこはめし ここが名物

と記されてあったらしい。
一九の作品は歴史の暗記で「東海道中膝栗毛」しか知らないが、中山道も旅して「木曽街道膝栗毛」を書いているそうで、その中にある狂歌らしい。
しかし渋皮の剥けた女(あか抜けた女性?)が見当たらないとは何とも辛口。名物の栗を挙げてもらうのはうれしいだろうが、地元の女性からのブーイングはなかったのか?(笑)
長い休息もかえって疲れる。5分ほどで立ち上がり先へ。

ようやく峠の集落が見え、その入口に御頭(おかしら)の碑があった。
安政三年、この集落の牛方(牛を使って荷物を運ぶ人)と中津川の問屋(荷物の取り次ぎ)が運賃の配分をめぐって争い、牛方が勝利した。
そのリーダー牛行事(頭)の今井氏を讃えた碑らしい。
道の両側にある建物は、江戸時代末期のものだとか。
一軒の玄関から身を乗り出していた犬も、昔からずっとそこにいたのでは?と思わせる佇まいだった。
ところでこの辺りは熊が出没するらしく、そちこちに注意を促す看板があった。
熊よけの鈴もレンタルしていたが、Zさんが自宅からホイッスルを持参していたというので借りなかった。
彼女が一番元気でいつも先頭を歩いていくので安心!
私は写真を撮ったりでいつも最後尾。
あ、背後から来るって事もあり得たか…animal3
看板の他に、人が通っていることを熊に知らせる鐘もいくつかあって、そのたびに鳴らした。
 
  
10分ちょっとと言っていた男性宅から約30分後、ようやく馬籠峠の頂上に到着!
茶屋の横に正岡子規の句碑があった。
この句の出典は、紀行文「かけはしの記」だそうで、句の前の文も書き出しておく。
馬籠峠の麓に来たり。馬を尋ぬれどもおらず。詮方なければ草鞋はき直して下り来る人に里数を聞きながら上りつめたり。此山を越ゆれば木曾三十里の峡中を出づるとなん聞くにしばしは越し方のみ見返りてなつかしき心地す。
    
   白雲や青葉若葉の三十里


句碑の画像情報を見ると撮影は13時17分だった。
馬籠を出発してから1時間とちょっとかかっている。
これまでは距離は短いが登り坂だった。
距離的には中間地点とは言えないが、ここからは下り坂のみ。
時間配分は上々と言っていいだろう。

                ……to be continued.

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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (かん子)
2011-07-27 08:01:21
ウ~~~ン、十辺舎一九の句はそうであったのか?!

ベンチに腰を下ろした瞬間の風は、実に爽やかでしたねぇ。

しかし、「あと10分」の言葉は、必ず10分以上ですねっ! わかってはいたが・・・・(笑)
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Unknown (羽衣あられ)
2011-07-27 09:15:14
きゃっ!

凄い、充実の旅日記。

楽しみだぁ。
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Unknown (sonnet)
2011-07-28 22:30:54
かん子様

汗かいて歩いたからこそ感じたあの爽やかな風!

羽衣あられ様

楽しみにしていただいてありがとう!
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