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言の葉

2008.11.28 開設
2022.07.01 移設
sonnet wrote.

女4人木曽路旅 4

2011年07月29日 | 

旅館「藤乙(ふじおと)」に着いたのは午後4時近かった。
いかにも日本旅館といった感じの風情のある建物である。
通されたのは2階の奥の部屋で二間続き、池のある中庭と男垂川に面した二方が窓の明るい部屋だった。
町の店や施設は5時には閉まるということなので明日観光することにした。
そうでなくとも靴を脱いで畳の上に脚を投げ出したら、あらためて出かける気力は残っていなかった。
お風呂でウォーキングの汗を流し、6時の夕食まで部屋でのんびりした。
エアコンよりも窓を開けて入ってくる風の方が涼しくて気持ちいい。
聞こえてくるヒグラシと川音も夏の夕暮れを演出して何とも心地よい。
 

夕食は1階の大広間で。
地元の食材をふんだんに使ったメニューで、どれも美味しかった。
旅館の方が写真を撮り、それをプリントして記念にいただけるということでハイ・チーズ
ちなみに向かって左側が上戸組、右側が下戸組。
特筆することでもないが…

食事を終え部屋に戻ると布団が敷かれてあった。
「まだ8時過ぎたばかりよ。眠れるわけないわよねぇ」
と、持ち帰った飲み残りの冷酒で再開。
私は奥の間の布団の上で伸びをしたらそれっきり眠ってしまった。
翌日聞くと、みんなも9時前後には就寝したらしい。

早く寝たせいで夜中の1時半頃に目覚め、それから眠れなくなった。
仕方なくそっと起きて、音を立てないように座椅子と座布団を廊下に持ち出し、常夜灯の下に置いた。
紙コップに持参したインスタントコーヒーを入れ、mさんの買ってきた週刊誌を読むこと2時間。
それも読み尽くし、することがなく無理しても寝ようと部屋に戻り布団に入ると、隣のmさんが「山の中だから電波の具合が悪くて…」とイヤホーンを差し出してきた。どうやらラジオの深夜放送を聴いていたらしい。
暗闇でもできること、携帯画像を整理したり自宅のパソコンに送信したが、それもすぐに済んだ。
眠る努力をしたが目は冴えるばかり。
何度かカーテンをめくっているうち、ようやく外が白んできた。
向かいの山に朝霧がかかって幻想的な風景である。
二度寝を諦め早朝の散歩をすることに決めた。

旅館の人もまだ起きていない午前5時、玄関の内鍵をそっと開け表に出ると朝刊配達のおじさんとかち合った。
じかに新聞を受け取って玄関に置き、通りに出た。
長袖でも肌寒さを感じる清冽な大気の中、妻籠宿はひっそりとしてまだ目覚めていなかった。

                 ……to be continued.