min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

浅田次郎著『勇気凛凛ルリの色』

2008-11-21 09:01:28 | 「ア行」の作家
浅田次郎著『勇気凛凛ルリの色』講談社文庫 1999.7.15 1,500円+tax

オススメ度★★★★☆

以前からこの浅田次郎なる作家に対しては「胡散臭いおっちゃんやなぁ」と思っていたのであるが、この本を読んでみて「やっぱりなぁ」と妙に納得がいった。本作はエッセイで、初出は週刊現代(94年4月から95年9月にかけ連載)だそうで、当然?僕は読んでいない。
95年に「地下鉄(メトロ)に乗って」で吉川英治文学賞新人賞を受賞し、97年「鉄道員(ぽっぽや)」でやっと世に知られる作家の仲間入りをしたと思われることから、本作品を連載していた当時はまだまだ知名度は低かったであろうことは本人自ら作中で書いている通りであろう。

さて、浅田次郎氏が若かりし日に自衛隊に入っていたことは噂程度で知っていたが実際2年間入隊していたという。ま、自衛隊に入ったことは別に「胡散臭い」ことではない。しかし、除隊後本人が書いてある通り一種のネズミ講の幹部をしてあぶく銭を稼いでいたり、そうとうやばそうな「貸し金屋」に雇われて闇の世界に足を突っ込んでいた時期がある、というくだりを読んで「ああ、なるほどこの辺りから発する臭いなのか」とひとり合点した次第。
本人はいかにも「抱腹絶倒物語」風に書いているが、時に命に関わる状況もあったと吐露しているからそれなりの強烈な人生経験であったのだろう。
とまれ、青春期に自衛隊と準ヤクザ稼業をしていたという経験はこの作家の「肥やし」になったことであろうことは確かだ。

多くの作家の中で抜群に面白いストーリー・テリングの才がある浅田次郎氏の背景を知る一助になる興味深いエッセイ集となっている。

ちなみに本編のタイトル、『勇気凛凛ルリの色』ってどういう意味かわかります?若い読者にはまず何のことか分からないでしょう。僕の世代?でやっとわかるかも。しかし、僕も最初はわからず、このフレーズの前にある[ぼ ぼ 僕らは少年探偵団♪]を聞いて初めてガテンがいった次第。
昔々のテレビドラマ『少年探偵団』の主題歌だったわけです。