min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

石田衣良著『逝年』

2008-11-17 08:58:29 | 「ア行」の作家
石田衣良著『逝年』[call boy Ⅱ] 2008.3.30 1,400円+tax

オススメ度★★★☆☆

タイトルだけみると何の物語かまるで分からない。しかし、副題をみて、「ああ、そういえば前に娼夫の物語があったよな」と思い出した。
ストーリーの断片はかろうじて憶えているのであるが、最後はどうなったか忘れてしまった。
本編はあの物語「娼年」の続きであり、主人公リュウがスカウトされた‘秘密クラブ’は彼の大学の同級生の女の子に警察にタレ込まれクラブは閉鎖。経営者であった御堂静香は逮捕され、更にHIV感染者であったことから警察の病院に収監されていた。
彼女との約束通りリュウは一度大学に戻ったものの、かっての同僚のアズマと静香の娘と3人でいつの日か必ずクラブを再開しようと決心していた。
そして彼らは新たに「クラブ・パッション」を再スタートさせたのであった。

正直、この手の内容は不得手である。登場する人物たち、セックスをサービスする側もされる側も、にはほぼ無縁に生きてきたわけだから。
ただ世の中にはひょっとしてこんなサービスを必要とする金持ちで病んだ魅力的?な女性たちもいるのかも知れない。

作品内容からいえばかなりキワモノ的素材を扱っているのであるが、石田衣良氏にかかると何故かいやらしさが消滅してしまう。既成の概念、ありきたりの道徳観に囚われることを拒否する同氏の姿勢が最後まで貫かれ、この作品を単なるスキャンダラスなエロ本の類から遠ざけている。