min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

月村了衛著『機龍警察』

2015-11-25 11:07:26 | 「タ行」の作家
月村了衛著『機龍警察』ハヤカワ文庫JA 2010.3.19第一刷

おススメ度:★★★★☆

今年、同氏による「土漠の花」を読みえらく感動した。その巧みなストーリーテリングと戦争アクション映画を観ているような映像感覚溢れる描写にすっかり惚れ込んだ。
その旨当ブログに書いたところ、読書仲間から一斉に「機龍警察」を読んだのか?という声が上がった。
「機龍警察」というシリーズの存在は知ってはいたが、ロボコップか?という独断と偏見を抱いたせいで無視してかかっていた。今般ようやく読む機会を得て第一作にとりかかった途端、魅入られるように読み進んだ。
読了する前に第二作、第三作をアナゾンで手配した。これは面白い!ロボコップのような半分ロボットではなく、かつエヴァンゲリオンに登場するロボットほど巨大かつ強力でもない。
似たようなロボットといえばかってエイリアンの何作目かで女主人公が宇宙船内で荷物荷卸し用のロボットに乗ってエイリアンと戦ったのを覚えているだろうか?
あの時のロボットをはるかに高等化、戦闘能力増強化したものと考えると近いかも知れない。
近未来の世界は大量破壊兵器が衰退し、戦争・犯罪面で重用されたのは二脚歩行型機甲兵装有人ロボットであった。これらの機甲兵装ロボットに対しては通常の警察力では対処することが出来ず警察庁内部に「特捜部」を新設し、二足歩行機甲兵装ロボットの中でも最高峰の出来具合である「龍機兵」と呼ばれる3体のロボットを所有した。
このような前代未聞の部署を警察内部に新設したこと自体非難の的となったが、「龍機兵」を操縦するメンバーの顔ぶれを見て、警察内部から猛烈な反感が噴出した
ひとりは元傭兵で世界の紛争地を渡り歩いた日本人姿俊之。ひとりは元北アイルランド軍に属したテロリスト。そしてもうひとりはモスクワ警察にいた元刑事。それぞれいわくのある過去を背負い、警察官にはほど遠い犯罪者の匂いが濃厚な3人だ。
彼らの眼前に現れたのは3台のコップゴブリンという密造型二足歩行型機甲兵装ロボットであった。彼らは何と日本警察のSATの殲滅を目論んでいたのだ。戦闘場面は本当に臨場感あふれる筆致で迫力満点。完璧にハードボイルドの世界観に酔いしれる。
戦闘場面ばかりではなく、警視庁、公安、神奈川県警など警察内部の対立、そして深い闇を抉り出し、特捜部内部メンバー個々人の心の闇をも照射してゆく。やはり「土漠の花」のヒットはまぐれでもなんでもなかったのだ。
近未来警察小説という枠を遥かに超える小説世界が出現した感じだ。続編を楽しみにしている。



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