笹本稜平著『グリズリー』 徳間書店 2004.8.31 第1刷 1,900円+tax
ススメ度:★★★★★
敵はアメリカ合衆国。元エリート自衛官が牙を剥く、たった独りの闘い!
首都東京でたった独り、日本の警察を翻弄し、アメリカの在京CIAを手玉に取り、本国合衆国からの刺客シールズの分隊をも屠った男の最終的な戦闘の場は今や世界遺産となった北海道知床半島の突端に設定された。
詳細ストーリィはアマゾンの紹介文を参照されたい。↓
「元北海道警SAT狙撃班の城戸口は、今では斜里警察署の山岳救助隊員だ。ある日、知床連山最高峰の羅臼岳に登山をしていた城戸口は、中肉中背で顔じゅうに髭を生やし、縮れた長めの髪をバンダナでまとめている男と出遭った。髭や髪に白髪が混じっていないことから、さほど年配でもなさそうなその男は言った。「城戸口通彦。五年前は道警SATに所属していた。俺の心の友を射殺した男だ」薄ら笑いを浮かべるその顔にはたしかに見覚えがあった…。SAT狙撃班時代、札幌市の消費者金融に二人組の男が侵入した。そのうちのひとりは城戸口が射殺。そして、今ここにいるのが、生き残った元エリート自衛官・折本敬一だったのだ―。城戸口と折本ふたりの邂逅は、極限の知床で始まる壮絶な闘いの序章に過ぎなかった。」
常軌を逸したと思われる思考と行動をとるテロリスト“グリズリー”の犯行理由及び実行の方法論に関して、読者側から賛否両論が出るのは当然であろう。
現実の世界情勢、社会状況からすれば非現実的と思われがちだが、冒険小説世界においてはこのくらいのプロットを展開しなければ面白くも何ともないではないか。
たった独りの闘いが世界を変えることなど決してないのは分かりきっているが、このような“熱い男”を描くには必要なプロットなのである。
たとえそれらが“青臭い”とか“非現実的”だとか、フィービとの恋愛描写が甘々すぎるとかの謗りを受けようが「冒険小説」には必要な要素なのである。
ところで、作中に出てくる「Nプラン」であるが、この計画を実行する物語のほうが現実味があるかも知れない。
日本の国家もマスコミも大方知っていて、知らないふりをしている「米軍による核の日本持込」の事実を白日の下に晒す絶好の“プラン”であろう。
今般、「原子力発電」の政府並びに電力会社の絶対安全神話が崩壊したように、日本における核兵器の存在についても、実在する事実を満天下に知らしめ、日米両政府による欺瞞をあばいてほしい。
作中、横田米軍基地内に秘蔵されている戦術核の一発も国会議事堂に打ち込んでくれれば、いかに多くの無知蒙昧な日本国民にも現実がわかろうというものだ。
アメリカ合衆国以上に戦前・戦中・戦後の日本の政治家は全てが万死に値するほど腐り切っている。
ところで本作品も実は今回再読したものであるが、またもディテールはすっかり忘却の彼方。よって改めて新鮮な思いで読むことが出来た次第。
笹本稜平氏の作品では『太平洋の薔薇』に次ぐ傑作であるが、現在警察小説ジャンルに迷い込んでしまっておるようで、再び熱き冒険小説の世界へ戻って欲しい、という“ラブコール”の意味を込めて★5つとさせていただいた。
ススメ度:★★★★★
敵はアメリカ合衆国。元エリート自衛官が牙を剥く、たった独りの闘い!
首都東京でたった独り、日本の警察を翻弄し、アメリカの在京CIAを手玉に取り、本国合衆国からの刺客シールズの分隊をも屠った男の最終的な戦闘の場は今や世界遺産となった北海道知床半島の突端に設定された。
詳細ストーリィはアマゾンの紹介文を参照されたい。↓
「元北海道警SAT狙撃班の城戸口は、今では斜里警察署の山岳救助隊員だ。ある日、知床連山最高峰の羅臼岳に登山をしていた城戸口は、中肉中背で顔じゅうに髭を生やし、縮れた長めの髪をバンダナでまとめている男と出遭った。髭や髪に白髪が混じっていないことから、さほど年配でもなさそうなその男は言った。「城戸口通彦。五年前は道警SATに所属していた。俺の心の友を射殺した男だ」薄ら笑いを浮かべるその顔にはたしかに見覚えがあった…。SAT狙撃班時代、札幌市の消費者金融に二人組の男が侵入した。そのうちのひとりは城戸口が射殺。そして、今ここにいるのが、生き残った元エリート自衛官・折本敬一だったのだ―。城戸口と折本ふたりの邂逅は、極限の知床で始まる壮絶な闘いの序章に過ぎなかった。」
常軌を逸したと思われる思考と行動をとるテロリスト“グリズリー”の犯行理由及び実行の方法論に関して、読者側から賛否両論が出るのは当然であろう。
現実の世界情勢、社会状況からすれば非現実的と思われがちだが、冒険小説世界においてはこのくらいのプロットを展開しなければ面白くも何ともないではないか。
たった独りの闘いが世界を変えることなど決してないのは分かりきっているが、このような“熱い男”を描くには必要なプロットなのである。
たとえそれらが“青臭い”とか“非現実的”だとか、フィービとの恋愛描写が甘々すぎるとかの謗りを受けようが「冒険小説」には必要な要素なのである。
ところで、作中に出てくる「Nプラン」であるが、この計画を実行する物語のほうが現実味があるかも知れない。
日本の国家もマスコミも大方知っていて、知らないふりをしている「米軍による核の日本持込」の事実を白日の下に晒す絶好の“プラン”であろう。
今般、「原子力発電」の政府並びに電力会社の絶対安全神話が崩壊したように、日本における核兵器の存在についても、実在する事実を満天下に知らしめ、日米両政府による欺瞞をあばいてほしい。
作中、横田米軍基地内に秘蔵されている戦術核の一発も国会議事堂に打ち込んでくれれば、いかに多くの無知蒙昧な日本国民にも現実がわかろうというものだ。
アメリカ合衆国以上に戦前・戦中・戦後の日本の政治家は全てが万死に値するほど腐り切っている。
ところで本作品も実は今回再読したものであるが、またもディテールはすっかり忘却の彼方。よって改めて新鮮な思いで読むことが出来た次第。
笹本稜平氏の作品では『太平洋の薔薇』に次ぐ傑作であるが、現在警察小説ジャンルに迷い込んでしまっておるようで、再び熱き冒険小説の世界へ戻って欲しい、という“ラブコール”の意味を込めて★5つとさせていただいた。
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