min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

司馬遼太郎著『坂の上の雲』

2009-12-07 06:38:58 | 「サ行」の作家
司馬遼太郎著『坂の上の雲』 文春文庫 2009.11.5 第37刷 638円+tax
オススメ度:★★★★☆

ここ数年の私の関心事は明治維新を遂げ近代国家として誕生した新生【日本】がいかに右傾化し第二次世界大戦に参入していったのか、にある。
なかでも、1900年初頭から第一次世界大戦にかけての諸事情に「飢えている」と言っても過言ではない。
実際、この時代を描いた小説というのは意外に少なく、わけても当時の海軍や、日英同盟の裏事情などは極めて情報量が少ない。唯一参考になるのがC.W.にコルが描く小説「盟約」や「遭敵海域」などのシリーズ作品においてのみと記憶する。

さて、この「坂の上の雲」であるが、恥ずかしながら今までは司馬遼太郎氏の一連の「時代小説」のひとつであると信じて疑わなかった。
それが今般、NHKでドラマ化したのを契機に、実は日清、日露戦争の時代に生きた四国松山出身の三人の男たち(日本陸軍、海軍で活躍した秋山兄弟と歌人正岡子規)を描いた物語と知った。
この第一巻を読み始めると、実に私の知りたかった時代背景と内容ではないか!
この物語の主人公が薩長いづれかの出身であったなら興味は半減したのだが、幕藩体制の下、明治維新では賊軍の汚名を着せられた藩の青年たちが味わう「悲哀」といったものがよくわかり、それでも負けん気で自らの運命を切り開こうとした青年たちには共感を覚えざるを得ない。

余談であるが、NHKがTVドラマ化をするにあたって、第一回目を観ただけの感想では、かなり原作に忠実であることが感じられた。
TVのほうが進展が早いので、このままでは直ぐに追い越されそうだ。



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