min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

月村了衛著『機龍警察 暗黒市場』

2015-12-20 18:15:59 | 「タ行」の作家
月村了衛著『機龍警察 暗黒市場』早川書房2012.9.20 第一刷

おススメ度:★★★★☆

第二作目では2足歩行ロボットの搭乗員3名のうちの一人、ライザ・ラーナーの過去が語られたが今回はもう一人の外国人搭乗員ユーリ・オズノフ警部の過去が語られる。
ロシアでモスクワ民警の刑事であった人間が何故に龍機兵となったのかは先のライザ・ラードナー警部同様、大いなる疑問であった。
前二作で断片的にユーリに何があったのかは語られるも詳細はわからない。彼が警察組織に裏切られ捨てられたものらしいのだが、ユーリの警察組織に対する不信感は国が違えども徹底的していた。
物語は彼がどのような家庭環境に生まれたか、その時の社会状況はどうであったのかから始まり、幼少時代にあった出来事、あった友人、更に父親の後を追うように刑事になったこと。そして若き日のユーリ・オズノフが上司に命令され潜入捜査官になったこと。
そこで起きた事件、その事件を取り巻く人物像。いくつもの多元的なプロットが展開され、やがて徐々に収斂されていく様は見事としか言い様がない。彼が辿った道のりの過酷さはライザのそれと比べてもその比類なき過酷さは甲乙つけがたいほどだ。第一作から二、三と読み終えた今、しばし呆然とする感じだ。もう一作短編があるようだが一休みさせていただく。

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