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min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

新保裕一著『ボーダーライン』

2016-02-27 13:58:15 | 「サ行」の作家
新保裕一著『ボーダーライン』集英社 1999.9.10第1刷 1,700円+税

おススメ度:★★★★☆

米国ロスアンジェルスの日系信販会社で調査課の探偵として働くサムこと永田修の元にある日本社筋から一件の依頼があった。
それは本社の重要な取引先の社員のご子息を探す依頼であった。サムは送られてきた隠し撮りと思われる写真を見て、何か違和感を覚えた。違和感は写真だけでなく捜査を開始してすぐにただならぬ相手ではないか?という疑問が彼の知り合いを通じて感じ取れたのであった。
結審前で留置されている彼(サニーと呼ばれた)の部下らしき人物からサニーの潜伏先を暗に示唆されるところまで成功して、サニーを探しに出た。教えられた場所の家に近づいたところへ一台の車が近づいてきた。
窓を下ろし「あんたが俺を探しているという探偵かい?」と満面の笑みを浮かべるなり突然手にした拳銃の全弾を打ち込んできた。
サムの車は幸いにも防弾ガラスとドアを補強していたため致命傷は免れたものの、若干の肩の負傷と何より精神的に大きなダメージを受けたのであった。
サニーという男はまるで握手をする感覚で平然と銃を発砲し人を殺して平気な人間であったのだ。

そんな彼の病的人格崩壊は既に日本で明らかになっており、これ以上日本にはおられずに米国へ逃れたものと思われた。そして数年経過した今、再び犯罪者としての噂が立ち始めた彼を追い、彼の父親が所属会社に知らせることなく単身渡米してきた。その目的とは?
人は生まれついての犯罪者というものが存在するのであろうか?タイトルのボーダーラインとは通常の国境の意味ではなく、人と、人であることから大きく逸脱した人間とのボーダーラインを意味したのである。
また本編のサイドストーリーから、米国人と日本人そして男と女の間に横たわるボーダーラインとも呼べる大きな境界線が存在することを、重厚なタッチで綴っている。相当に重いテーマを追求している作品であるが最後の展開でカタルシスを感じることが出来ほっとした。

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