百田尚樹著『風の中のマリア』 講談社2009.3.3 第1刷 1,500円+tax
オススメ度:★★★★☆
自然界で最強のハチと言われるオオスズメバチ。その一匹のハタラキバチ=ハンターであるマリアの眼を通して語られる、あるオオスズメバチ帝国の興亡を描く異色の虫小説である。
登場する虫たちを擬人化した点では童話と言えるのであろうが、内容はオオスズメバチだけあって弱肉強食、冷酷無比のジャングル・ルールのみ存在するハード・ボイルドな世界である。
とにかくこの世界の過酷さのディテールが凄い。著者である百田氏はよほどオオスズメバチの世界を取材、調査したのかが伺われる。
一番驚いたのは、一匹のハタラキバチの命は成虫してから約30日間しかないということ。女王蜂はもっと長生きするのであるが。
ナチュラルボーンキラーとして生まれた本編の主人公マリアはこの限られた短い生のあいだ、女王を守り妹たちを養う為に容赦ない殺戮を繰り広げる。
圧巻は西洋ミツバチの巣を襲いその巣にいるミツバチの全てを、また女王蜂をも屠り、その幼虫全てを略奪する様は戦慄的である。更にオニヤンマや大蟷螂との死闘も見ものである。
帝国の存亡をかけてのキイロスズメバチとの死闘など、まさに戦争小説を読んでいるようだ。
かくも過酷なサバイバル戦を繰り広げる虫たちの世界に比べると我が人類の世界などまだまだ甘いともいえる。
人類はやがて自らの過ちで自滅するやも知れないが、虫たちはしっかり子孫を残し生き延びることだろう。自然界の厳しさと荘厳な営みをシンプルに受け止めながら。
オススメ度:★★★★☆
自然界で最強のハチと言われるオオスズメバチ。その一匹のハタラキバチ=ハンターであるマリアの眼を通して語られる、あるオオスズメバチ帝国の興亡を描く異色の虫小説である。
登場する虫たちを擬人化した点では童話と言えるのであろうが、内容はオオスズメバチだけあって弱肉強食、冷酷無比のジャングル・ルールのみ存在するハード・ボイルドな世界である。
とにかくこの世界の過酷さのディテールが凄い。著者である百田氏はよほどオオスズメバチの世界を取材、調査したのかが伺われる。
一番驚いたのは、一匹のハタラキバチの命は成虫してから約30日間しかないということ。女王蜂はもっと長生きするのであるが。
ナチュラルボーンキラーとして生まれた本編の主人公マリアはこの限られた短い生のあいだ、女王を守り妹たちを養う為に容赦ない殺戮を繰り広げる。
圧巻は西洋ミツバチの巣を襲いその巣にいるミツバチの全てを、また女王蜂をも屠り、その幼虫全てを略奪する様は戦慄的である。更にオニヤンマや大蟷螂との死闘も見ものである。
帝国の存亡をかけてのキイロスズメバチとの死闘など、まさに戦争小説を読んでいるようだ。
かくも過酷なサバイバル戦を繰り広げる虫たちの世界に比べると我が人類の世界などまだまだ甘いともいえる。
人類はやがて自らの過ちで自滅するやも知れないが、虫たちはしっかり子孫を残し生き延びることだろう。自然界の厳しさと荘厳な営みをシンプルに受け止めながら。
返事が遅れまして大変申し訳ありませんでした。百田さんがご活躍された「探偵!ナイトスクープ」は私が関東在住の為みることが出来ませんでしたがなかなか面白かったようですね。
さて、同じく放送作家やテレビの脚本家出身で遅咲きの大作家となった方と言えば、稲見一良氏と隆慶一郎氏を思い浮かべます。
お二人とも本当に素晴らしい作品群を残してくれ敬愛する作家さんですね。
百田さんの作品は、意外に読者が知らないものに焦点を
当てるからなのか、物語のおもしろさとともに、
取り上げられた物事に詳しくなった感じがして、
一挙両得・・・(笑)
きっと下調べとかすごんでしょうね~。
百田さんの性格に違いない。
http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm
遅咲きですが、相応の役割は果たせるそうです。
しかし適職まで30年はかかるなんて。
百田さんご自身も、大変なんですねぇ~。
オオスズメバチ、キイロスズメバチ、セイヨウミツバチ、ニホンミツバチ、それぞれの生態の違いがこれほどよく理解できるとは…。
植物や昆虫に興味のある大人は、ぜひ読むべきだと思うのですが、ばらっとページをめくると「なんだミツバチマーヤみたいな話か…」とバカにする人がほとんどでしょう。