東 直己著『半端者』 ハヤカワ文庫JA 2011.3.15 第1刷 各780円+tax
オススメ度:★★★☆☆
“ススキノ野探偵”シリーズの前日譚で“俺”がまだ北大に在学していた頃の物語である。
本シリーズは一応完結した?ものと思われるので、東氏が現時点でこのシリーズの前日譚を上梓することに対してはうなずけるものがある。
本シリーズの読者の大半は若き日の“俺”はどんなヤツで、一体どのような生活をしていたのか?なんでまたススキノにどっぷりと嵌ってしまったのか?
そのあたりの事情を知りたかったことであろう。
さて、その若き日の“俺”であるが、基本的にはその後の“俺”と変わりはない。作中既に24才と記しているからまともに進級したものとは思われず、何回生とは分からないもののドッペっていたことは確かであろう。
ほとんど講義に出ることもなく、北大に顔を出すのは、高田から空手を教えてもらう条件として週に一度脇本教授から「失楽園」の英語の講義を一緒に受けることであった。
あと、家庭教師を週に3件かかえていたのだが、これは意外?と真面目にやっていたのには笑える。
しかし、遊びの金や生活の足しにする資金稼ぎは、この頃ススキノの一部富裕層で流行っていたギャンブル「オール」であった。
いずれにしても“俺”が何故大学をまともに出て就職しようとしなかったのかは明確ではなく、単にサラリーマンに直ぐになるよりは現在の気ままなグータラ生活を続けたいからとしか解釈出来ない。
ま、人それぞれの人生であるからして別段文句はあるはずもない。
作中事件らしい事件もないのであるが、桐原との邂逅場面をつくる為にこしらえたプロットはその後の二人の関係を理解する上ではそれなりに納得できると言える。
納得出来ないのはフィリピーナとのかかわりで、作中の“俺”よりも作者である東氏のはかない願望と妄想が生み出したストーリィで、その色仕掛けの展開には苦笑を禁じえなく、また彼女の正体が明らかになった時点では苦笑する前に呆れかえってしまった。
オススメ度:★★★☆☆
“ススキノ野探偵”シリーズの前日譚で“俺”がまだ北大に在学していた頃の物語である。
本シリーズは一応完結した?ものと思われるので、東氏が現時点でこのシリーズの前日譚を上梓することに対してはうなずけるものがある。
本シリーズの読者の大半は若き日の“俺”はどんなヤツで、一体どのような生活をしていたのか?なんでまたススキノにどっぷりと嵌ってしまったのか?
そのあたりの事情を知りたかったことであろう。
さて、その若き日の“俺”であるが、基本的にはその後の“俺”と変わりはない。作中既に24才と記しているからまともに進級したものとは思われず、何回生とは分からないもののドッペっていたことは確かであろう。
ほとんど講義に出ることもなく、北大に顔を出すのは、高田から空手を教えてもらう条件として週に一度脇本教授から「失楽園」の英語の講義を一緒に受けることであった。
あと、家庭教師を週に3件かかえていたのだが、これは意外?と真面目にやっていたのには笑える。
しかし、遊びの金や生活の足しにする資金稼ぎは、この頃ススキノの一部富裕層で流行っていたギャンブル「オール」であった。
いずれにしても“俺”が何故大学をまともに出て就職しようとしなかったのかは明確ではなく、単にサラリーマンに直ぐになるよりは現在の気ままなグータラ生活を続けたいからとしか解釈出来ない。
ま、人それぞれの人生であるからして別段文句はあるはずもない。
作中事件らしい事件もないのであるが、桐原との邂逅場面をつくる為にこしらえたプロットはその後の二人の関係を理解する上ではそれなりに納得できると言える。
納得出来ないのはフィリピーナとのかかわりで、作中の“俺”よりも作者である東氏のはかない願望と妄想が生み出したストーリィで、その色仕掛けの展開には苦笑を禁じえなく、また彼女の正体が明らかになった時点では苦笑する前に呆れかえってしまった。