佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙―更衣ノ鷹(31,32)』 双葉文庫 2010.1.10 第1刷 各648円+tax
オススメ度:★★★★★
このシリーズでは珍しく、というか初めての上下巻の作品となっている。これは何らかの作者が意図するところがあるのだろうか?と思い読んでみたら確かに「あった」。
次期将軍徳川家基の即位を巡って、家基の暗殺を目論む田沼意次一派とそれを阻止せんとする尚武館道場(佐々木玲圓とその後継磐音)との対決がいよいよ山場を迎えようとする。
田沼一派は家基が日光に詣でる途中に大掛かりな暗殺計画を練り実行したのであるが、佐々木親子の強固かつ縦横無尽な警護にあってことごとく失敗したのであった。
次に磐音に対し当代名うての剣客を次々に繰り出し彼の命を狙ったのであるがこれも大方失敗し、残るは妖しい術を使う丸目高継の孫娘ひとりとなっていた。
形勢悪しとみた田沼一派が目を着けたのは何と“おこん”を人質にとることであった。また、家基が鷹狩を好むことから「狩場」での暗殺を目論んでいた。
だが一連の襲撃計画の影には更に真の「暗殺計画」が隠されていようとは誰も知る由もない。最後の衝撃的結末を磐音はもちろんのこと誰一人予見できた者はいなかった。当然我々読者もだが。
先日、あるテレビ番組で役者の児玉清が作者である佐伯泰英の書斎がある箱根の別荘を訪れ、長時間に渡りインタビューを行った。
そのインタビューの中で佐伯泰英氏は、今回の同作品に関し気になる発言をしていたのを思い出す。
曰く、「かって私は、このシリーズは50回まで書くということを勢いで放言したことがあるが、本作で私は読者のみなさんに投げかけてみることにした。これで果たして本シリーズを続行するべきなのかあるいは終焉させるべきなのかを」と。
いやはや、まさにその言葉の通りの結末となってしまった。私は一読者の立場から言わせてもらえば、是非やって欲しいと言いたいのだが。
一方、読者側のカタルシスを得る為には「歴史を捏造」するしかないのも明らかで、そこまでしての続行は望まない。
オススメ度:★★★★★
このシリーズでは珍しく、というか初めての上下巻の作品となっている。これは何らかの作者が意図するところがあるのだろうか?と思い読んでみたら確かに「あった」。
次期将軍徳川家基の即位を巡って、家基の暗殺を目論む田沼意次一派とそれを阻止せんとする尚武館道場(佐々木玲圓とその後継磐音)との対決がいよいよ山場を迎えようとする。
田沼一派は家基が日光に詣でる途中に大掛かりな暗殺計画を練り実行したのであるが、佐々木親子の強固かつ縦横無尽な警護にあってことごとく失敗したのであった。
次に磐音に対し当代名うての剣客を次々に繰り出し彼の命を狙ったのであるがこれも大方失敗し、残るは妖しい術を使う丸目高継の孫娘ひとりとなっていた。
形勢悪しとみた田沼一派が目を着けたのは何と“おこん”を人質にとることであった。また、家基が鷹狩を好むことから「狩場」での暗殺を目論んでいた。
だが一連の襲撃計画の影には更に真の「暗殺計画」が隠されていようとは誰も知る由もない。最後の衝撃的結末を磐音はもちろんのこと誰一人予見できた者はいなかった。当然我々読者もだが。
先日、あるテレビ番組で役者の児玉清が作者である佐伯泰英の書斎がある箱根の別荘を訪れ、長時間に渡りインタビューを行った。
そのインタビューの中で佐伯泰英氏は、今回の同作品に関し気になる発言をしていたのを思い出す。
曰く、「かって私は、このシリーズは50回まで書くということを勢いで放言したことがあるが、本作で私は読者のみなさんに投げかけてみることにした。これで果たして本シリーズを続行するべきなのかあるいは終焉させるべきなのかを」と。
いやはや、まさにその言葉の通りの結末となってしまった。私は一読者の立場から言わせてもらえば、是非やって欲しいと言いたいのだが。
一方、読者側のカタルシスを得る為には「歴史を捏造」するしかないのも明らかで、そこまでしての続行は望まない。