丸山健二著『落雷の旅路』文藝春秋 2006.10.30 第一刷 2000円+tax
オススメ度 ★★★☆☆
「星夜」
「海鳴り、遙か」
「夢の影」
「牙に蛍」
「もっと深い雪」
「直下の死」
「波も光も」
「桜吹雪」
「対岸の日溜まり」
「落雷の旅路」
の10編からなる短編集。
先ず一作目の「星夜」を読み出したとたん圧倒させられる。
芥川賞を23才の若さで受賞したという著者の「文学者」としての語彙の豊富さ、表現力の深さ、多様性、に驚愕の念を禁じ得ない。言葉の魔術師とも言うのであろうか。
多分、自分が高校生くらいの若さで読んだとしたら、男の魂の叫びの内容は理解できないかも知れないが、魂の咆哮とも言える文章の表現力に自らの魂も根こそぎ揺さぶられる快感に酔いしれたかも知れない。
だが、もう還暦を目前とした今の自分にはこれらの文章を味わう「体力」が失われてしまったのを自覚する。(著者の丸山氏のエネルギーにただただ感服するのみ)
「海鳴り、遙か」「夢の影」と読み進めるに従い疲れの度合いが増し、「牙に蛍」で多少息を継いでほっとしたものの、もう次からいけない。
「自分はこのような純文学を受け付けない体質になってしまったのか」と独りごち、ほとんど丸山健二氏の世界に浸って味わおうという姿勢ではなくなっている、いやむしろ執拗なまでに抉られる人間の魂の奥底の表現に疲れ果てる。
最後の「落雷の旅路」を読んでがっくりと疲れを感じ、「ああ、こんな読み物はこれだけにしよう」と思う自分がいるのを発見する。
短編集の出来不出来から言えば十分に秀作なのであろうが、他人様に敢えて「読んでみて!」とは言えない気持ちが正直なところであろう。
オススメ度 ★★★☆☆
「星夜」
「海鳴り、遙か」
「夢の影」
「牙に蛍」
「もっと深い雪」
「直下の死」
「波も光も」
「桜吹雪」
「対岸の日溜まり」
「落雷の旅路」
の10編からなる短編集。
先ず一作目の「星夜」を読み出したとたん圧倒させられる。
芥川賞を23才の若さで受賞したという著者の「文学者」としての語彙の豊富さ、表現力の深さ、多様性、に驚愕の念を禁じ得ない。言葉の魔術師とも言うのであろうか。
多分、自分が高校生くらいの若さで読んだとしたら、男の魂の叫びの内容は理解できないかも知れないが、魂の咆哮とも言える文章の表現力に自らの魂も根こそぎ揺さぶられる快感に酔いしれたかも知れない。
だが、もう還暦を目前とした今の自分にはこれらの文章を味わう「体力」が失われてしまったのを自覚する。(著者の丸山氏のエネルギーにただただ感服するのみ)
「海鳴り、遙か」「夢の影」と読み進めるに従い疲れの度合いが増し、「牙に蛍」で多少息を継いでほっとしたものの、もう次からいけない。
「自分はこのような純文学を受け付けない体質になってしまったのか」と独りごち、ほとんど丸山健二氏の世界に浸って味わおうという姿勢ではなくなっている、いやむしろ執拗なまでに抉られる人間の魂の奥底の表現に疲れ果てる。
最後の「落雷の旅路」を読んでがっくりと疲れを感じ、「ああ、こんな読み物はこれだけにしよう」と思う自分がいるのを発見する。
短編集の出来不出来から言えば十分に秀作なのであろうが、他人様に敢えて「読んでみて!」とは言えない気持ちが正直なところであろう。