min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

雷桜

2008-05-08 18:03:54 | 「ナ行」の作家
宇江佐真理著『雷桜』角川文庫 2008.3.15 第七刷 552円+tax

オススメ度★★★★★

僕は宇江佐真理さんのファンだ。特に「髪結い伊三次捕物余話」が好きである。そのほかの作品もそうであるがほとんどが江戸深川の下町人情、情緒を描いて我々を魅了してきた。
ところが本作品はそれらの作品とはかなり趣を異にしているのだ。

ストーリーを紹介すると何かつまらない物語にしか映らないような気がするので敢えて詳細は紹介しないが、幼児のときに誘拐された少女が十数年ぶりに帰還し、“狼少女”と呼ばれるほどワイルドな育ち方をした。そんな少女が江戸幕府の御三郷と呼ばれた清水家の殿様と出会い、ありえない恋に陥る様がスリリングに描かれる異色の恋愛時代劇?なのだ。

巻末の解説で、あの冒険小説を語らせると天下一品の評論家「北上次郎」が熱く語り絶賛する、といえば僕ががなりたてる必要など何もない。
この少女の凛とした生き様と、彼女を支える両親、兄弟の深い肉親愛は最後に最高の感動を与えてくれるであろうことをお約束する。是非一読あれ!