min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

フェイク

2007-05-04 20:49:47 | 「ナ行」の作家
楡周平著『フェイク』角川文庫

読み終わって二週間くらい経ってからあまり気が進まないまま感想を書こうと思ったら、何と作品内容を忘れてしまった。
そのくらいインパクトが無い作品とも言える。『Cの福音』でみせた著者のあの切れ味はどこへ行ってしまったのであろうか?
もう数年前からこの著者を見限ってしまった私であるが、たまたま友人から借りて本編を読んだ次第。
正直、心を揺さぶるシーンが出てこない。三流私大を出て銀座の高級クラブでボーイをする主人公がひょんなことから犯罪に組しのし上がって行く様をあまり深刻ではなく軽妙なタッチで描く“コン・ゲーム”小説である。
一箇所だけ感心したのは脅迫した金を「競輪」に賭けさせる下り。ああ、競輪ってこんな仕組みで掛け金が決まっているんだぁ、とそんな仕組みを巧妙に利用した著者のアイデアに感心。ま、そのくらいか。
後はなんかあまりに小説的すぎて何の現実感も緊迫感も湧かない凡庸な作品となっている。