東直己著『スタンレーの犬』角川春樹事務所 2005.8.8 1,900円+tax
不思議な小説だ。同氏の「俺シリーズ」や「畝原シリーズ」とは明らかにテイストが違う。
19才のユビと呼ばれる青年がいる。彼の過去は彼が中学生の時に両親がそろって死んだということから何やら決定的に不幸な状況にあったことが伺い知れる。
そんな彼を雇っているこれまたわけのわからない「事務所」があり、ある日ユビはこの事務所の責任者である折井から仕事をうける。
それは札幌のある大手の食品会社の女社長を一週間札幌から遠ざけろ、というものであった。
遠ざける手段は“暴力的”なものではけっしてない。ユビには暴力を使わずに人間をその気にさせる“ある能力”があるようだ。
女社長を札幌から遠ざけ電話もさせない理由とは女社長が不在の間に取締役会で彼女を解任しようというものだ。
ユビは巧みな計画の下彼女をオホーツク海に臨む僻地に誘うことに成功したかに思えるのであるが、そんな彼らの後をもうひとり“ある能力”を持った男が追うのであった。
「スタンレーの犬」という表題からどこか犬を主人公にした東直己初の「動物小説」か?と思って読み始めたのだがまるで内容は違った。
「スタンレーの犬」のスタンレーとは?ま、ネタバレにならない程度に述べるがスタンレーとは人名ではなく地名だ。それも香港の。
主人公は19才のユビであることは間違いないが、僕にとっては女社長である58才になる香奈の心の移ろい、描写のほうが興味深かった。
彼女が札幌を蒸発するように離れ、はるか香港のスタンレーで出合った犬とは?
その犬の存在は彼女の人生で一体何を感じさせたのか?ひとつのミステリーではある。
不思議な小説だ。同氏の「俺シリーズ」や「畝原シリーズ」とは明らかにテイストが違う。
19才のユビと呼ばれる青年がいる。彼の過去は彼が中学生の時に両親がそろって死んだということから何やら決定的に不幸な状況にあったことが伺い知れる。
そんな彼を雇っているこれまたわけのわからない「事務所」があり、ある日ユビはこの事務所の責任者である折井から仕事をうける。
それは札幌のある大手の食品会社の女社長を一週間札幌から遠ざけろ、というものであった。
遠ざける手段は“暴力的”なものではけっしてない。ユビには暴力を使わずに人間をその気にさせる“ある能力”があるようだ。
女社長を札幌から遠ざけ電話もさせない理由とは女社長が不在の間に取締役会で彼女を解任しようというものだ。
ユビは巧みな計画の下彼女をオホーツク海に臨む僻地に誘うことに成功したかに思えるのであるが、そんな彼らの後をもうひとり“ある能力”を持った男が追うのであった。
「スタンレーの犬」という表題からどこか犬を主人公にした東直己初の「動物小説」か?と思って読み始めたのだがまるで内容は違った。
「スタンレーの犬」のスタンレーとは?ま、ネタバレにならない程度に述べるがスタンレーとは人名ではなく地名だ。それも香港の。
主人公は19才のユビであることは間違いないが、僕にとっては女社長である58才になる香奈の心の移ろい、描写のほうが興味深かった。
彼女が札幌を蒸発するように離れ、はるか香港のスタンレーで出合った犬とは?
その犬の存在は彼女の人生で一体何を感じさせたのか?ひとつのミステリーではある。