min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

無頼の掟

2006-05-14 12:31:30 | 「ハ行」の作家
ジェイムズ・カルロス・ブレイク著『無頼の掟』 文春文庫 810円(税込み)


生まれついての犯罪者とも言える主人公ソニーの奔放でありながらも真摯な生き様がなんとも魅力に溢れている。
ソニーが幼くして“悪党”としてのニオイを嗅ぎつけた2人の叔父のあっけらかんとした悪人ぶりも面白い。
だがなんといってもそんな彼らに途中から加わるベルという女性の存在が俄然光芒を放ち始める。
本作品を読むにつれ主人公たちのあっけらかんとした悪党ぶりはS.ハンター著『ダーティホワイトボーイズ』のラマー・パイを想起させるし、最後の最後にぞっとさせる執拗かつ老獪な退職警官はトム・フランクリン著『密猟者たち』の残虐な動物保護監督官を彷彿とさせる。全編を流れる単なる虚無感とも違うアナーキーさは一体なんだろう?この作家の他作品を是非もっと読んでみたい。


この感想は昨年3月に当blog以外で書いたものです。邦訳最新作『荒ぶる血』に関連して載せてみました。