min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

ザ・ジョーカー

2005-10-12 18:14:08 | 「ア行」の作家
大沢在昌著 講談社文庫 648+tax 2005.9.15文庫化

六本木に棲息し、警察や通常の探偵には相談できない事件やトラブルを高額な金と引き換えに解決するという「便利屋」あるいは「トラブルシューター」の主人公。本名は使われず、ただジョーカーと呼ばれる男。かってはアフリカで傭兵稼業をしていたらしい。
六本木、元傭兵、といえばかなり前の作品ではあるが大沢氏の「野獣駆けろ」という作品があった。内容や主人公のことはあまりよく覚えていないが、随分とスーパーヒーロー的主人公であった記憶がある。
今回の主人公ジョーカーはそんなスーパーヒーローとまでは行かないまでもかなり現実離れした存在であることに変わりはない。
東直己の「俺シリーズ」の便利屋を超ハードボイルドに変身させたらこうなるのか?どうかは判らない。ちょっと比較の対象を誤った気がする。

本作は6編の短編からなり、1993年から2001年に書かれた短編を集めている。小説現代などの月刊雑誌に発表されていたらしいがこのシリーズの存在は知らなかった。
ジョーカーは殺しの請負はけっして受けないが、自らの身を守るための殺しは躊躇しない、ということでその思考と行動はしっかりハードボイルドしている。また時折みせる人間臭さもまた魅力となっている。
この「ザ・ジョーカー」シリーズ、実はまだ続きがあるそうで第二集の刊行が予定されているようだ。肩肘張らず気楽にハードボイルドの世界を楽しむにはかっこうの作品だ。