老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

電力自由化と再生可能エネルギーの選択

2016年02月26日 20時15分17秒 | 原発関係
 この4月から始まる電力小売完全自由化に伴い、私も含めて“できれば再生可能エネルギーを、それが難しい場合でも非原発電源を選択できれば”と考えておられる方が多い様です。

 「今回の自由化に伴いどのような電力会社を選びたいか」というあるアンケートによると、殆どの人が“安い電力”と答えていますが、“再生可能エネルギーを選択したい!!”との声も結構あったようです。
私も何とかこのような希望に添える電力会社を選びたいとの気持で、知人と相談しながら色々と調べているのですが、私の様な電力行政に疎い人にはなかなか判りにくいです。

 そんな中で眼にしたのが、EGパワー㈱のホームページ(http://egpower.co.jp/)です。
この中の「電力システム改革」という全5章にわたる項目で、今回の電力自由化に伴う色々な経過や問題点が素人にも判り易く説明されております。

 そもそも、今回の電力自由化は経済産業省が、“電力システム改革が創り出す新しい生活とビジネスのかたち”というパンフレットを作成し、その中で、「どんな電気を使うか、自分で決められるようになります、“再生可能エネルギーで発電された電気を買いたい”そんな声にも応えます」という鳴り物入りで主導したのです。
しかし、その後既存の電力会社などの圧力により当初目指したものとはかなり歪められた形になってしまった様です。

 確かに太陽光や風力発電による電力は、時間帯や自然条件に左右され、需要と供給の「同時同量」が難しいのは事実で、また送配電という技術的な問題もあるでしょうが、それは当初から判っていたことでしょう。
消費者の再生可能エネルギーの電気を求める努力をあきらめさせるような規制が色々と実施されています。

 チョット難しい話になるようなので、さらに詳細を知りたい人は上記のホームページを見て頂くとして、大まかに概略を述べますが、消費者が再生可能エネルギーだけを選ぶのが難しい障害は3つあります。

(表示問題)
再生可能エネルギーの電気だけを選ぶのは難しそうです。
「固定価格買取制度(FIT)」により太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、電力会社が一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけられていますが、この制度による買い取り費用の一部は電力の利用者すべてが負担する「再生可能エネルギー賦課金」から補填されることから、原子力や火力を含めた電源全体のCO2排出量と同等とみなされることになり、「グリーン電力」「クリーン電力」「きれいな電力」といった表現は認められないことになっていました。
その後、消費者団体等が猛反発し、「FIT(Feed-In-Tariff)電気」という曖昧な名前での再生可能エネルギー表示はできることになりましたが、CO2排出量は「全電源平均」ということになりました。即ち、取扱い上では再生可能エネルギーは天然ガスよりCO2排出量の多いエネルギーということになるわけです

(仕入価格問題)
上述通り、再生可能エネルギーは発電者より電力会社に売却されますが、その時に電力会社には消費者の支払っている「再生可能エネルギー賦課金」により補填されています。
この電力会社の仕入れ価格を決めているのは政府ですが、2016年度からは完全自由化されることになり非常に不安定になっています。

(託送料金問題)

送電網(系統)の使用料金である託送料金は、家庭用と高圧、特別高圧で極端に違っています。
各電力会社ごとに異なり、需要家や電源ごとにも細かく違っているのですが、大雑把に1kWhあたりで見ると、家庭用で9円、高圧で4円、特別高圧で2円です。送電部門の費用の大半を家庭部門に押し付けている構図が明らかです。

 更に、厄介なのはFIT電気の買い取り義務者変更問題でしょう。
これまでは電力小売事業者が買い取ることになっていたFIT電源からの電気を、すべて送電会社が買い取る方式に変更することになりそうなのです。
これが実行されると、いきなり送電側で石炭や天然ガスと混ぜられてしまうことになり、再生可能エネルギーの電気としての分離はできなくなり、小売事業者が「再生可能エネルギーを売る」という道はほとんどこれで閉ざされました。
あるとすれば「非FIT」の再生可能エネルギー電源からの調達だけ。相対取引の道は残されますが、採算性を度外視して非FIT価格であえて販売する発電所がいったいどれだけあるでしょうか?

 また、FIT電源を表面に出している新規参入の電力小売会社への風当たりは非常に強い様で、その代表格として“FITでんきプラン(再生可能エネルギー)”をうたっているソフトバンクの新メニューに対しては、“それは技術的にも物理的にも不可能なのだ(唯一できる手段があるとしたら、再エネ発電設備から専用線を需要地まで敷設して受電することだ)”などという厳しい反対意見がネット上でもかなり展開されています。

 現在では再生可能エネルギーが電力供給の50%を占めるようになっている、ドイツでもスペインでも、同じような困難な過程を経て、現在にたどり着いたようで、消費者側から「これでは選択権がない!」「もっと再生可能エネルギーの電気を選べるように!」という声を上げることで、供給側の大胆な変化を求めることが必要になってくるようです。(まさ)

 ※ なかなか判りにくい制度で、しかも刻々と状況が変わっているようなので、私の理解が間違っている、あるいは勘違いしていることもあろうかと思いますが、お気づきになったことがありましたら、コメントででもお知らせ下さい。

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