南青山のZIMAGINE(2020/3/2)。
Midori Kurata 蔵田みどり (vo, recorder)
Kosetsu Imanishi 今西紅雪 (箏)
Masami Sakaide 坂出雅海 (b, ocarina)
Kazuto Shimizu 清水一登 (p, key, perc)
蔵田さんと紅雪さんが澄んだ鐘を鳴らし、清水さんがもうちょっとこっち側の世界のがちゃがちゃした金属音を鳴らすところから始まる「数ゑ歌」。鐘に続いて澄んで通る歌声の蔵田さんは響きを身にまとっている。とはいえアメノウズメの歌だというからそこにはどこかに笑いがある。
宮沢賢治の歌を清水さんがアレンジした「剣舞の歌」は囃し立てるよう。ベースのうねり、弦をつまむようにする紅雪さん、それだけでなく全員で気持ちのプラトーを創り上げる。
ここで清水さんが、モンクの「エピストロフィー」とウェーベルンの「ピアノのための変奏曲作品27」とをちょいちょいと弾き比べてミックスし、その高度な遊びのまま「乳房のボンジュール」に突入した。変なコードと変な歌詞(「私の靴を脱がせて/紅い唇を舐める」って何?)。官能とユーモアが波のように寄せたり引いたり。
続く「エチオピアハガーレ」ではさらに斜め上に悪ノリし、蔵田さんは照れくさそうに居直り「お前のメンタマ」と叫んだりする。いえーい、人間は正直がいちばんである。
セカンドセットは「サクヤコノ花」から。ピアノと箏が春のようだけれど、一方で曲が複雑に進んでゆき、それにもかかわらずしっとりとした良い曲。
「沙羅双樹」。紅雪さんは金属片を使って自律的に弦を鳴らさせ、坂出さんはスプーンを使って模索する。いつまでも音を試行する人たちなのである。スペイン風のコードを使った「A Word Is Dead」はまたさらに逸脱し、オカリナと口笛と細い棒。ここで坂出さんと清水さんがみせるグルーヴはさすがなのだった。
そして「ティラッタ」からアンコールの「タスマニアフロート」になだれ込み、蔵田さんのスキャットでサウンドと気持ちは浮揚しまくる。
落ち着いたり興奮したりして、実は演っている当人たちが愉しみたくてうずうずし続けているようなグループ。そんなわけでずっとどこかのシナプスに妙な信号が到来してきておもしろい。この先もシリーズとして続くみたいだし、聴きにいったほうがいいですよ。
Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4
●蔵田みどり
障子の穴 vol.2@ZIMAGINE(2019年)
●今西紅雪
トム・ブランカート+ルイーズ・ジェンセン+今西紅雪+田中悠美子@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2019年)
今西紅雪+S.スワーミナータン@葛西レカ(2019年)
August Moon@浜町August Moon Cafe(2019年)
障子の穴 vol.2@ZIMAGINE(2019年)
今西紅雪「SOUND QUEST 2019 〜谺スル家〜」@千住仲町の家(2019年)
タリバム!+今西紅雪@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2019年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)(2018年)
●坂出雅海
障子の穴 vol.2@ZIMAGINE(2019年)
クリス・ピッツィオコス+ヒカシュー+沖至@JAZZ ARTせんがわ(JazzTokyo)(2017年)
ヒカシュー@Star Pine's Cafe(2017年)
●清水一登
長沢哲+清水一登+向島ゆり子@入谷なってるハウス(2019年)
障子の穴 vol.2@ZIMAGINE(2019年)
クリス・ピッツィオコス+ヒカシュー+沖至@JAZZ ARTせんがわ(JazzTokyo)(2017年)
ヒカシュー@Star Pine's Cafe(2017年)