Sightsong

自縄自縛日記

マクイーン時田深山@下北沢Apollo

2020-03-08 00:18:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

下北沢のApollo(2020/3/7)。

マクイーン時田深山 Miyama McQueen-Tokita (十七絃箏)

ファーストセットは即興。深山さんの師匠・沢井一恵さんの楽器庫の引っ越しがあってもらって来たという木の楽器を左手でからからと鳴らしつつ、右手で爪弾きはじめた。真ん中あたりを強く鳴らしては客席側の低音を混ぜてくる。ここからさまざまなヴァリエーションがみられた。左右で弱めに鳴らしたり、右手で掻き鳴らしては左手でノイズに近い音を出したり、また左の掌底や腕でとつぜん音を殺したり。急に到来する静寂の中でまた鳴らす音はなおさら存在感を高めている。柔らかく左右で弦を撫でるハープのような使い方もあった。このとき、アポロ独特の水が流れる音や、外の路地で子どもが叫ぶ声が介入してきて、サウンドがなんとも言えず開かれた雰囲気になった。音が強くなるとその残響がサウンド全体を覆い、また、強い弦の音はスティールパンのように金属的にも響いた。

次に木の楽器で弦をこすり、それが四方八方に拡がってゆく。ここで右手で柱をずらしては音色を変える方法は、とても新鮮に思えた。強く爪弾くために、それによる響きが別のレイヤーを成した。

セカンドセットは曲。「海へ」(栗林秀明)にはポップながら邦楽の匂いがあり、まだタイトルがないというオリジナル曲では低音の歪みが印象的。3曲目は、最近デュオを出したライアン・ウィリアムスの「Promise of Summer」。本来はベースラインをリコーダーが担うところ、箏では和音の積み重ねがとても美しく聴こえる。

そして「ああセリム」(齋藤徹)。徹さん、鈴木ちほさん(南ちほさん)と一緒に演ったことがあるという。この、徹さんらしく色の濃淡が支配するような微妙な曲を、深山さんは歌ってみせた。静かな雰囲気の中で繰り返しては発展するあり方がとても良かった。

やはり深山さんの箏は一音一音が強い存在感を持ち、音の出し方に感じられる覚悟のようなものがサウンドに大きな力を与えていた。

終わったあと、深山さんや来場していたダンスの深堀絵梨さん、映像の近藤真左典さんらと、この4月にドイツで上演される「私の城」の話など。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●マクイーン時田深山
アンノウン・ミラーズ『Your Ten Is My Twelve』(-2020年)
『今・ここ・私。ドイツ×日本 2019/即興パフォーマンス in いずるば』(JazzTokyo)(2019年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)


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