Sightsong

自縄自縛日記

「飴玉☆爆弾」@座・高円寺

2020-03-08 22:28:39 | アート・映画

座・高円寺(2020/3/8)。

Taketeru Kudo 工藤丈輝 (舞踏)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Akira Sotoyama 外山明 (ds)

場内の奥には天蓋付のベッドのような、あるいは鳥の巣のようなものが置かれ、中に死へと近づくミイラのようでも赤子のようでもある舞踏家が座っている。かれはそこから新たな生命を得て、あらためて死にながら生きる。力が頂点に達したときの動きは凄まじく速い。だが運命のごとき風船が頭上に迫り、かれは自ら斧でそれを破裂させる。降ってくるのは芥ばかり。それらを食べ、のたうち、狂う。そしてまたしても何者かに束縛されるように巣に戻ってゆき、巣を破壊する。

林栄一のアルトは地獄も生命も、表も裏も、抉るように往還する。外山さんのパルスが舞踏を励起する力も素晴らしく、いつもよりバスドラを含め低音を強調して舞踏とシンクロしていた。最後は「ナーダム」へと突入した。

●林栄一
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
<浅川マキに逢う>ライブ&上映会@西荻窪CLOPCLOP(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年)
林栄一+小埜涼子『Beyond the Dual 2』(2014-15年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
早川岳晴『kowloon』(2002年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999-2000年)
高瀬アキ『Oriental Express』(1994年)

●外山明
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2020年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+細井徳太郎@下北沢Apollo、+外山明+大上流一@不動前Permian(2019年)
藤原大輔『Comala』(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年)
西島芳 trio SONONI@下北沢Apollo(2018年)
松風鉱一カルテット@西荻窪Clop Clop(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年)
西島芳 trio SONONI@下北沢Apollo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
Shield Reflection@Ftarri(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
『SONONI, Laetitia Benat』(2016年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
渋谷毅+市野元彦+外山明『Childhood』(2015年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
纐纈雅代『Band of Eden』(2015年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
纐纈雅代 Band of Eden @新宿ピットイン(2013年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)


マクイーン時田深山@下北沢Apollo

2020-03-08 00:18:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

下北沢のApollo(2020/3/7)。

マクイーン時田深山 Miyama McQueen-Tokita (十七絃箏)

ファーストセットは即興。深山さんの師匠・沢井一恵さんの楽器庫の引っ越しがあってもらって来たという木の楽器を左手でからからと鳴らしつつ、右手で爪弾きはじめた。真ん中あたりを強く鳴らしては客席側の低音を混ぜてくる。ここからさまざまなヴァリエーションがみられた。左右で弱めに鳴らしたり、右手で掻き鳴らしては左手でノイズに近い音を出したり、また左の掌底や腕でとつぜん音を殺したり。急に到来する静寂の中でまた鳴らす音はなおさら存在感を高めている。柔らかく左右で弦を撫でるハープのような使い方もあった。このとき、アポロ独特の水が流れる音や、外の路地で子どもが叫ぶ声が介入してきて、サウンドがなんとも言えず開かれた雰囲気になった。音が強くなるとその残響がサウンド全体を覆い、また、強い弦の音はスティールパンのように金属的にも響いた。

次に木の楽器で弦をこすり、それが四方八方に拡がってゆく。ここで右手で柱をずらしては音色を変える方法は、とても新鮮に思えた。強く爪弾くために、それによる響きが別のレイヤーを成した。

セカンドセットは曲。「海へ」(栗林秀明)にはポップながら邦楽の匂いがあり、まだタイトルがないというオリジナル曲では低音の歪みが印象的。3曲目は、最近デュオを出したライアン・ウィリアムスの「Promise of Summer」。本来はベースラインをリコーダーが担うところ、箏では和音の積み重ねがとても美しく聴こえる。

そして「ああセリム」(齋藤徹)。徹さん、鈴木ちほさん(南ちほさん)と一緒に演ったことがあるという。この、徹さんらしく色の濃淡が支配するような微妙な曲を、深山さんは歌ってみせた。静かな雰囲気の中で繰り返しては発展するあり方がとても良かった。

やはり深山さんの箏は一音一音が強い存在感を持ち、音の出し方に感じられる覚悟のようなものがサウンドに大きな力を与えていた。

終わったあと、深山さんや来場していたダンスの深堀絵梨さん、映像の近藤真左典さんらと、この4月にドイツで上演される「私の城」の話など。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●マクイーン時田深山
アンノウン・ミラーズ『Your Ten Is My Twelve』(-2020年)
『今・ここ・私。ドイツ×日本 2019/即興パフォーマンス in いずるば』(JazzTokyo)(2019年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)