素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

名作サイレント映画を活弁とピアノ演奏で楽しむ!

2023年12月16日 | 日記
 前々からサイレント映画を観たかったのだが、やっとタイミングがあって実現した。

会場の中央電気俱楽部へはJR東西線一本で行くことができる。寝屋川公園駅12:33発の区間快速に乗れば最寄り駅の北新地に12:58に到着する。そこから堂島地下街を突き抜けて四ツ橋筋へと上がる。フェスティバルホールへ行く時のルートでここ5年ほどは行っていないので懐かしく思いながら歩いた。地下道の出口を出て一つ目の辻の右手に、周囲の現代的なビル群の中にポツンとレトロなビルが見えた。堂島沿い界隈には大大阪の頃に建てられたレトロなビルが多い。「中央電気俱楽部」という名前を見た時、「そうじゃないかな?」と期待したがその通りだった。
 防御フェンスとクレーンが目に入ったので、一瞬解体工事中のビルかな?と思ったが、近づいてみるとそれらは隣に立つ高層マンションの工事用のものだということがわかった。古色蒼然としたビルは堂々と建っていた。
 
入口でチケットを渡し、エレベーターで5階のホールへ向かう。この本館は、昭和5年竣工で、3代目の建物で、初代は焼失・2代目は狭隘で建替え、
戦禍には会っていないとのこと。シックな造りで歴史を感じた。開演20分前だったが9割がた座席が埋まっていた。
 
映画に先立って30分間、山口モモエさんのアコーディオンの弾き語りで「大正昭和レトロ歌謡ショー」。♪裏町人生♪など懐かしい曲を6曲。「山口モモエ」というのは本名とのこと。親の付けた名前で損をしたか?得をしたか?は語らなかった。これからは、山口を外して「momoe(ももえ)」で活動していくと話していた。

 映画は、およそ90分。弁士の大森くみ子さん、最盛期には全国で7000人余りいたが今や15人ほどの絶滅危惧種となったと自虐ネタで笑いをとった。基本的には活弁の台本は、活動写真弁士の自作で、今回は新作で、初めてのお披露目とのこと。ピアノ伴奏の鳥飼りょうさんは、即興で90分間画面に合わせて演奏するという離れ業の持ち主。1935年(昭和10年)の作とは感じることなく映画に没入できたのは両者の力量だろう。

 演者と語りと伴奏が三位一体となって創り上げる空間は、能から始まり、歌舞伎、人形浄瑠璃へと形を変えながら綿々と続く日本の芸能文化を感じた。また、琵琶法師、浪曲、講談、落語などの語り文化の深さもあらためて思い起こされた。

 お千を演じた山田五十鈴は17歳と知って驚愕。晩年で、鬼平犯科帳で出演していた得も言えぬ色香と凄ご味の片鱗が垣間見えた。とにもかくにも大いに楽しめたひと時であった。

 帰り道では、自然と(^^♪ブギウギ(^^♪♬を口ずさんでいた。



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