旧暦の8月15日は「十五夜(中秋の名月)」、9月13日は「十三夜」と呼ばれ、共に古来より日本では「お月見」を楽しんできた。
旧暦では太陰暦で暦を数えていたため、1年は約354日。そのため今の閏年(うるうどし)の2月29日のように、閏月を3年に1度入れて1年を1ヶ月増やし13ヶ月にすることで暦と季節のズレを調整していた。
しかし、閏月は2月29日のように決まった月を増やすわけではなく、月の周期に合わせて入れられるので変動する。
たまたま、今年2014年は、天保14(1843)年から171年ぶりに旧暦の9月と10月の間に閏9月がもうけられる年である。それゆえ、9月13日の「十三夜」が2度ある。ミラクル・ムーンと呼ばれる由縁である。


1843年といえば、アヘン戦争が終わった翌年、異国船打払令を緩和せざるを得なくなるほど欧米列強の圧力が高まり、開国か攘夷かで大騒ぎになる前夜である。
うまい具合に雲も切れてきた。歴史に思いを馳せながら、懐かしの榎本美佐江の歌でも聴いてめったにないミラクル・ムーンを楽しもう。

十三夜 榎本美佐江