素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

霞ヶ関ビルのこと、少しなつかしくなったので

2010年07月27日 | 日記
The KASUMIGASEKI building narative 1/5

 霞ヶ関ビルの建設をとりあげた「プロジェクトX」がYou Tubeにあったのであらためて観た。まだ途中だが東京スカイツリー建設に関わる話と映像を観た後では、観る視点が深くなっているように思った。それはちょうど油絵を描くのと似ているように思えてきた。父親が描いているところや名画を科学的に解析したものを見ると、本当に絵の具を塗り重ねていくという表現があてはまる。そうすることで絵に深みが増すのである。

 以前読んだ本を読み返したり、同じ社寺を訪れたりするのも意義のあることかもしれない。八一さんの講義は人気があったらしいが、しめくくりの決め言葉が「理屈をならべずに、奈良へ行って来い!」だったらしい。季節や自分を取り巻く状況の変化などの中で、同じものを何度も見ることで自分自身が深まっていくということがわかっていたのだろう。 

井沢元彦さんの歴史の本を読んでいても、同じような感じがする。同じ話が微妙な色合いをつけられて繰り返し語られるのである。繰り返しを避け、整然と書いたならば半分ぐらいのページ数になるのではと思う。しかし、この繰り返しが苦にならず、むしろ理解を深めさせてくれる。不思議な文章力だと思う。脳みそに分厚く色をぬられていくのである。

 霞ヶ関とスカイツリーの共通点は五重塔の心柱の役割りを取り入れていること、大きな違いは鉄骨の形状。霞ヶ関は平板の鉄骨を垂直に積み上げていく積み木タイプである。でも、これがどれだけ大変なことだったかということを、今回初めて認識した。スカイツリーは管をつないでいくプラモデルタイプである。分厚い鋼板を規定された太さの管にする技術にも感心するが、さらに、スカイツリーは三角形の土台から円筒状に組み上げていくため管につける継ぎ手のつけ方が1つずつ異なり、角度は32.35度というように百分の一までの精度を求められるという代物である。現場の映像を見た時は驚嘆の一語。

 それらを風、雷などの自然現象と戦いながら吊り上げ、接合していく作業はそれぞれに見ごたえがあった。
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