日蓮正宗 正林寺 掲示板

法華講正林寺支部 正林編集部

富士の立義いささかも

2016-02-03 | 御住職指導

正林寺御住職指導(H28.2月 第145号) 

 日蓮正宗では毎年2月7日に第二祖日興上人の祥月命日に当たる日には興師会が奉修されます。
 昨年、平成27年3月8日に日興上人御生誕770年をお迎えし奉祝申し上げました。

 日興上人は御年35歳の時、宗祖日蓮大聖人(聖寿59歳)から、
「本因妙の教主本門の大師日蓮謹んで之を結要す。
 万年救護写瓶の弟子日興之を授与す云云。」(御書1685)
唯授一人の直授結要付嘱を授与されました。 

 日興上人が授与された『百六箇抄』には、
「白蓮阿闍梨日興を以て総貫首と為し、日蓮が正義悉く以て毛頭程も之を残さず、悉く付嘱せしめ畢んぬ。」(御書1702)
と大聖人が日興上人に毛頭程も残されず、すべての教えを授けられたとの御指南であります。
 さらに『百六箇抄』に、
「上首已下並びに末弟等異論無く尽未来際に至るまで、予が存日の如く、日興が嫡々付法の上人を以て総貫首と仰ぐべき者なり。」(御書1702)
と御指南のように、日興上人から後に付嘱された嫡々付法の上人を異論無く尽未来際に至るまで、予が存日の如く仰ぐべきことを御示しであります。
 そして、大聖人は日興上人が「結要付嘱の大将と定むる者」と仰ぐべき由縁を『百六箇抄』に、
「又弘長配流の日も、文永流罪の時も、其の外諸所の大難の折節も、先陣をかけ、日蓮に影の形に随ふが如くせしなり。誰か之を疑はんや。」(御書1702)
と五老僧とは異なり、影の形に随ふが如く師弟相対された常随給仕の御振る舞いをもってしても疑う余地がないことを仰せであります。「弘長配流の日」とは伊豆配流のことであり、「文永流罪の時」とは佐渡流罪のことであります。
 大聖人御入滅の時『身延山付嘱書』に
「釈尊五十年の説法、白蓮阿闍梨日興に相承す。」(御書1675)
と最期に御遺命あそばされました。
 
 さて「富士の立義いささかも」とは、日興上人が『日興遺誡置文』に、
「富士の立義聊も先師の御弘通に違せざる事。」(御書1884)
と遺誡あそばされたお言葉です。富士門流の宗義は少しも先師日蓮大聖人の御弘通せられた御法門に相違してはならないとの御指南であります。
 その後、富士の立義は「日興が嫡々付法の上人を以て総貫首と仰ぐべき者なり。」と日蓮大聖人の御指南に随従されて『日興跡条々事』に、
「日興が身に宛て給はる所の弘安二年の大御本尊は、日目に之を相伝す。本門寺に懸け奉るべし。」(御書1883)
と大聖人から相承された究竟の大御本尊は第二祖日興上人から第三祖日目上人へと受け継がれました。
 さらに約四百年後、第二十六世日寛上人が『文底秘沈抄』に、
「而して後、法を日目に付し、日目亦日道に付す、今に至るまで四百余年の間一器の水を一器に移すが如く清浄の法水断絶せしむる事無し、蓮師の心月豈此に移らざらんや、是の故に御心今は富山に住したもうなり。」(六巻抄65)
と御示しであります。
 
 富士の立義が正確に伝えられている処に、弘安二年の大御本尊である本門戒壇の大御本尊が在すのであります。つまり『百六箇抄』に、
「日興が嫡々相承の曼荼羅を以て本堂の正本尊と為すべきなり。」(御書1702)
と御教示であります。
 
 現在は第六十八世御法主日如上人猊下に相承あそばされ、総本山大石寺の奉安堂に正本尊である大御本尊が厳護されております。 
 
 日興上人は御年37歳の時、大聖人が『日蓮一期弘法付嘱書』に、
「日蓮一期の弘法、白蓮阿闍梨日興に之を付嘱す、本門弘通の大導師たるべきなり。国主此の法を立てらるれば、富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり。時を待つべきのみ。事の戒法と謂ふは是なり。就中我が門弟等此の状を守るべきなり。」(御書1675)
と御示しのように法体の血脈の上から「血脈の次第 日蓮日興」との富士の立義はいささかも先師日蓮大聖人の御弘通に相違せず、法水は断絶することなく清浄に総本山富士大石寺に伝えられております。
 
 末法の五濁悪世の様相が明白な現代、日蓮正宗の血脈相承に群盲象を評する見解や一水四見沙羅の四見が惑乱していても、日蓮正宗総本山大石寺は富士の立義いささかも先師日蓮大聖人の御弘通に違背していないことは厳然であります。
 群盲象を評する輩に対して大聖人は『立正観抄』に、
「当世の学者は血脈相承を習ひ失ふ故に之を知らず。相構へ相構へて秘すべく秘すべき法門なり。」(御書770)
と御示しであり、さらに『御義口伝』にも、
「秘すべし秘すべし、唯授一人の相承なり、口外すべからず。」(御書1796)
とも仰せであります。
 以上のお言葉を拝信申し上げていくことが富士の立義には大切であります。

 さらに『日興跡条々事』の偽作説が、まことしやかにささやかれている現実があり、信じている方がいます。偽作説を主張する方には、第五十九世日亨上人の『富士宗学要集』に収録の『富士史料類聚』「第二僧俗譲状置文及び官憲文書等」(富要8巻17~18頁)を確認頂き、さらに高橋粛道御尊師の著書『日蓮正宗史の研究』の「日興跡条々事」(278~291頁)を一読され、偽作説を改められることを望みます。

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