かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

竹内産婦人科(愛知県刈谷市)

2012-12-04 | 失われた建物の記憶

旧上天温泉とは通りを一本挟んですぐ斜め向かい側にも大中肇の設計による医院が現存しています。
大中肇は刈谷市を中心に学校建築に代表される公共建築や個人住宅、医院など生涯70棟以上の建物を設計しています。
刈谷市内でも数件の病院・医院を設計していますが、現在残っているのは竹内産婦人科だけになってしまいました。

この建物は近代建築総覧やガイドブックなどには記載がありませんが、平成17年に刈谷市郷土博物館開館25周年記念展でいただいた資料に大中肇の作品として紹介されていました。
昭和3年竣工という以外建物の構造など詳細は不明ですが、上天温泉で見せた表現主義風の大中スタイルはぐっと押さえ、医院らしい歴史様式を加味したクラッシクなおちついた外観にまとめています。
玄関車寄の破風は古典様式建築に見られる立派な三角ペディメント風で、妻の中央に円形の装飾が施されています。
ただ三方向に開く車寄入口上部が、表現主義風のゆるやかな半円アーチなのは、上天温泉と同様大中肇流のこだわりが感じられるところです。


◆竹内産婦人科/愛知県刈谷市御幸町1丁目77
 竣工:昭和3年(1928)
 設計:大中肇
 撮影:2012/10/08
※2015年ブログをご覧の方から取り壊し情報をいただきました


■玄関車寄の柱とペディメント中央に幾何学模様の装飾があしらわれています




 

 



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3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (矢野、現在松本)
2024-10-26 16:27:53
娘、かぐやが産まれた病院です。
残念です。
時代の流れ、悲しいですね!
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なぎさん (shortwood)
2015-05-26 22:20:33
なぎさん、はじめまして。
竹内産婦人科、取り壊し情報ありがとうございます。
旧上天温泉は健在のようで、ほっとしています。
最近はブログをご覧になった皆さんから、取り壊し情報を多数いただきます。
戦後70年、現在までなんとか取り壊しを免れた建物たちが消えてゆくのは非常に残念です。
これからも皆さんの記憶に残る建物を紹介して行きますので、よろしくお願いします。
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残念ながら (なぎ)
2015-05-26 15:53:31
突然のコメント失礼します。
いつも楽しく拝見しております。
竹内産婦人科と旧上天温泉の前を通って通勤している者です。
竹内産婦人科の建物ですが今年に入って取り壊されてしまいました。
今は新しい建物の基礎を作っているところです。
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