かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

オーデン大門ビル/旧四日市銀行津支店(三重県津市)

2015-06-24 | 三重の近代建築

津市は三重の行政と教育の中心地として、明治の近代化とともに多くの公共建築が建てられました。戦災を免れた近代建築の中では、なんといっても、地元の大工清水義八が手がけた県庁舎(明治12年)と尋常師範学校(明治21年)が白眉の存在でしたが、現在は明治村に移築され現地には残っていません。津の中心街にはもう横綱級の物件はありませんが、戦前から繁華街として賑わった大門地区の商店街には、奇跡的に戦災を免れた数件の近代建築が現存しています。

大門商店街は国道23号線の東側を通る旧伊勢街道沿いに発展した商店街で、現在は津観音の南からフェニックス通りまでが「だいたてアーケード街」として昔ながらの昭和の商店街の風情を残しています。フェニックス通りに面したアーケード南口から入り、100mほど北へ進むと左手にクラッシクなファサードを前面に押し出した石張りの建物が見えてきます。

この建物は当初は大正11年に四日市銀行津支店として建てられたもので、現在はオーデン大門ビルと言う名称で、文化教室や多目的ホールとして利用され、市街活性化運動の拠点になっています。端正な古典様式の外観は、大正~昭和期に見られる銀行の定番で、かつては地方都市の商業地として栄えた地区でも良く見かけたものですが、最近は現存する建物も少なくなってきています。


■正面にオーダー(列柱)をどーんと構えて玄関にペディメントをいただく造りは、まさに古典様式銀行建築の王道!
アーケードに隠れてファサード全体が見えないのが残念なところ。



■柱に継ぎ目がありますが、これが大都市の大手銀行本店クラスだと大理石削りだしの一本柱になります。


■オーデン大門ビル(旧四日市銀行津支店)三重県津市大門10-21
 竣工:大正11年(1922)
 構造:RC造2階建
 撮影:2015/05/03


■同時期に建てられた旧名古屋銀行一宮支店(一宮市役所西分庁舎)/大正13年竣工
こちらの方が様式は簡略化されていますが、オーダーが4本でファサードの印象もそっくりです。
ちなみに設計は中部の近代建築の雄、鈴木禎次。



 



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