かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

ジュリエットはボイン!~ロミオとジュリエット(1968年)

2014-08-06 | 映画

 1971年は『小さな恋のメロディ』と『ある愛の詩』の2本を地元の映画館で見たと記憶していたのだが、ほかにもう1本見ていたことを思い出した。これが1968年に公開された『ロミオとジュリエット』という映画なのだが、わざわざリバイバル上映を見に行った記憶がないので、どうやらどちらかの映画の併映作品として見ていたらしい。当時はメインのロードショー作品と一緒に、ちょっと昔の作品やB級作品をセットにして必ず2本立て以上にして上映していた。リバイバル上映では3~4本立てなんていうのもあり、当時ビートルズの全作品4本立てなんてのを名古屋の映画館まで見に行った記憶がある。
 
 あまり期待もせず2本立ての併映ということで見た『ロミオとジュリエット』だったが、これがなかなか素晴らしい作品だった。もちろんシェイクスピアの原作は読んでいないので、どれだけ原作に忠実かは知る由もなかったのだが、中学生でも世界で一番有名な古典的ラブストーリーの作品世界を十分楽しむことができた。当時主演を務めたレナード・ホワイティングは16歳、オリビア・ハッセーは15歳という若さで、とにかくふたりともイキがいいのだ。シェイクスピアの作品なのに全裸のベット・シーンがあったのも驚きで、ウブな中学生は15歳とは思えぬオリビアのボイン(もはや死語)に完全に魅了されたのだった。


■DVD再見
 45年前の映画ということを考慮すれば、画像の色彩は良好で十分鑑賞に耐えうるレベル。物語の背景になっているヴェロナの町のシーンは、トスカーナとローマ郊外で撮影され、その当時とほとんど変わらない古い建物や風景は、映画の舞台になった15世紀半ばのイタリア(原作は1570年代エリザベス朝のイギリス)の雰囲気を伝えてくれる。衣装や美術も映画的な視覚効果が最大限に引き出せるよう、監督フランコ・ゼフィレッリのこだわりが画面に伝わってくる。キャスト・美術・音楽が高度の次元で融合した『ロミオとジュリエット』映画の決定版で、ぼくたちの世代にとって、『ロミオとジュリエット』といえば「やっぱりこれでしょう!」というくらい、このシェイクスピアの古典的名作のイメージを決定づけた映画と言えるだろう。
 
 主役の若いふたりは、この映画1本でぼくたちの記憶に永遠に残ることになった。とくに当時15歳のオリビア・ハッセーの美しさは鮮烈で、少女らしい清楚で可愛らしい顔立ちと、成熟した女性の肉体を持つ新しいタイプのジュリエットは、ぼくにとっての永遠のジュリエット像を決定づけてくれた。またニーノ・ロータによる音楽も素晴らしく、キャピュレット家の祝宴で切々と歌うグレン・ウェストンのテーマ曲はあまりに有名で、今聴いても思わず引き込まれる。個人的にはもう一度大きなスクリーンで見てみたい作品のひとつである。


■1972年リバイバル上映時のパンフレット

 

■有名なバルコニーのシーン
やっぱり今でもジュリエットの胸元に目がいきます
 


■当時購入した4曲入りドーナツ盤のサントラ(¥700)
ニーノ・ロータによるキャピュレット家の祝宴で歌われるテーマ曲はあまりに有名



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