かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

岡崎の取り壊された近代建築(1)~犬頭館

2012-05-27 | 失われた建物の記憶

 今回の岡崎訪問は2006年以来6年ぶりになりますが、数件の近代建築の取り壊しを確認しました。古い建物の取り壊しは良くあることですが、JR岡崎駅東口の大規模な再開発には驚きました。それまで駅前の街並みを形成していた古い商店や工場、住宅はほとんど取り壊され、これが同じ通りだとは思えないくらいの街並みの変わり様でした。地方都市によくある、ちょっとさびれた昭和の駅前通りが、地域ごとほとんど建て替えられ、駅前一帯が新築ピカピカのニュータウンに生まれ変わっていました。
 
 歴史のある建物によって醸し出される街並みの重みと落ち着きは、その都市特有の記憶として後世に受け継がれていきます。すべてがリセットされた岡崎駅東口の街並みは、明るく現代的ですが、これまでの人々の営みの歴史が全て抜け落ちてうすぺっらな印象になってしまいました。まあこれは、私のようにふらっと訪れる旅行者だから言えることで、実際にそこで暮らす地元の方は、再開発されて新しく便利になった町を歓迎する方がほとんどなのでしょうが。

 犬頭館は岡崎駅東口の駅前通りにあった洋館で、白く塗られてよく手入れされた木造下見板張りの古さを感じさせない建物でした。レトロでおしゃれな外観は現在でも十分再活用可能で、岡崎駅前の歴史を語る建物として保存活用する道があったのではと思うと非常に残念です。リセットされた街並みだからこそ、それまでの街の記憶を留める歴史的建造物が必要なのではと感じました。
 
◆犬頭館/愛知県岡崎市羽根町東荒子
 竣工:昭和2年(1927) 
 構造:木造2階建
 撮影:2006/05
 取り壊し確認:2012/04 
 

■在りし日の犬頭館~玄関ポーチの妻飾りとバージボード(軒板飾り)がおしゃれで洋館らしい雰囲気のある建物でした

犬頭館というネーミングが前から気になっていたのですが、建物は姿を消し名前の由来は謎のままです