かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

岡崎市水道局六供浄水場ポンプ室・配水塔(愛知県岡崎市)

2012-05-19 | 西三河の近代建築

岡崎建築散歩~その5

 八丁味噌カクキューを後にして市の北部へ向かい井田町の北部公会堂へ。ところが到着してみると公会堂は跡形もなく、きれいさっぱり更地になっていました。う~ん、やっぱり6年の月日は町の姿を変えるには十分ですね。今回早くも3件目の取り壊し確認になってしまいました。

 公会堂跡の更地を確認後南へ戻り、次に目指すのは水道局の六供浄水場です。浄水場は小高い丘の上に建っているので自転車での登りはかなりきついです。前回訪問はちょうど6年前、平成18年5月3日の連休中の祭日にもかかわらず正門は開いていて、インターホンで見学希望の旨を伝えると、事務所で所定の書類に住所氏名を記入した後、自由に敷地内での見学撮影ができました。今回もひょっとしたらという淡い期待もありましたが・・・
 
 浄水場入口に到着してまず目に入ったのは、前回訪問時にはなかった正門に続く坂の下の新たなゲートと、関係者以外立ち入り禁止の看板です。最近はどこの浄水場でも一般人の立ち入りを禁止していて、6月の水道週間など期間を限定して一般公開している施設がほとんどなので、今回はあまり期待をしていなかったのですが、やっぱりダメでした。六供浄水場も他の浄水場同様、ゲートにしっかりと鍵をかけ、とても入れる雰囲気ではありません。今回は早々に敷地内の見学はあきらめ、配水塔とポンプ室の現存を敷地外から確認して浄水場を後にしました。
 


■新たに設けられたゲートと立入禁止の看板~ゲートにはしっかり閂がかけられ人の気配もありません



■敷地外からポンプ室(向かって右)と配水塔を撮影



■時代とともに変わり行く町並みを見守り続けた古い配水塔、これからも市民の日常の風景としてずっと変わらずにいてほしいものです
 (撮影:2012/04/29)


◆岡崎市水道局六供浄水場ポンプ室/愛知県岡崎市六供町西二本木28
 竣工:昭和8年(1933)
 設計:市臨時上水道部(担当・黒木)
 施工:伊藤正次(請負人) 田中昌司(ステンドグラス)
 構造:RC造平屋建、一部地下1階
 撮影:2006/05/03

※今回は敷地内での撮影ができなかったため、前回訪問時に撮影した画像を使用しました


■ポンプ室全景
 外壁は薄茶色のタイル貼り、コーナーや軒先はすべて丸みがつけられ、窓の両脇の柱型やコーニスが垂直性や水平性を強調した表現主義的デザイン


 
■出入り口両脇の窓に設けられたステンドグラスと窓上部の葉紋のレリーフの装飾テラコッタ



■西側正面出入り口



■出入り口上部のテラコッタ


◆岡崎市水道局六供浄水場配水塔/愛知県岡崎市六供町西二本木28
 竣工:昭和9年(1934)
 設計:市臨時上水道部直営
 施工:伊藤正次
 構造:RC造
 撮影:2006/05/03


■配水塔全景
 屋根はドーム形で外壁下部は花崗岩板貼り付け、その上部はモルタル仕上げで大石貼りに見せた目地を切っています
 円筒形の塔の正面には角形の階段室が取り付き、最上部は半円形にして塔の上まで突出して垂直性を高める表現主義的意匠
 軒回りはコーニスをめぐらし、最上階には縦長の窓が一周して外観の特徴になっています



■配水塔出入口



■出入り口上部の銘板
 昭和9年4月28日 内務大臣山本達雄の銘が入る
 「汪水沾洽」は水が十分に潤うようにという意味らしい