雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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栗仕事

2008年09月29日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 義父母からまるまるした大粒の栗が届きました。大ざるに、たっぷり二杯分も ^^

 今年は、いがの中に大きな栗がひと粒ずつ入っているものが多かったそうです。半分はご近所の奥さまと母におすそ分けです。


 栗は新鮮さがたいせつ。さっそく栗仕事にかかります。栗ごはん用は、熱湯にくぐらせて渋皮まで取り除き、食べやすい大きさに切っておきます。お菓子用は、ゆで栗にして渋皮をつけたまま保存。

 熱湯にくぐらせ、皮のやわらかいうちにひとつひとつ丁寧に除いてゆきます。手間だし、時間のかかる作業だけど、自然光のもとで、風の音や鳥の声を聞きながら手を動かしていると、自然のサイクルの中で生きていることを実感します。
 栗ごはん三回分は小分けにして冷凍保存します。

 母に届ける分は、主人が鬼皮とりを手伝ってくれました。「鬼退治は得意だから」ですって。鬼って?いったい誰のこと??

 ふぅ~。栗仕事に半日かかりました‥ ^^; でも、ゆで栗をひとつ口に入れたら、さっくりとして淡い甘みがあって、疲れを忘れます。


 届いたばかりの新米で栗ごはんを炊きました。いりごまを散らして香ばしく。
 お芋料理にきのこ汁‥ 食卓は、すっかり秋です ^^
 

 

おはぎ 三種

2008年09月25日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 お彼岸の中日から清々しい天気がつづいています。時折遠くから蝉の忘れ音が聞こえますものの、陽光も雲も風の色もすっかり秋になりました。これから行楽のシーズンですね。
 お散歩も楽しい季節。畑に赤い彼岸花が列をなして伸び、萩がほろほろとこぼれて散歩道を紅く染めるころ、ほととぎすが咲いて柿の実が色づきはじめます。咲き残りの朝顔は白露にしおれて。近所に水浅葱色の美しい朝顔が咲くので、種がついたら分けてもらおうかしらとおもっています。


 あんこ、きなこ、黒ごま。三種のおはぎをつくりました ^^ 萩模様のかな書き料紙にならべ、しばらくお供えしました。
 

 季節の花の姿に見立てたおはぎやぼたもちは、邪気を祓う食べものとして江戸時代から食されてきました。本来、おはぎは粒あん、ぼたもちはこしあんで、忌明け(彼岸明けや法要の後)に食べていたようです。春の「ぼたもち」、秋の「おはぎ」のほかに、なんと夏と冬の異称もあるんですよ! 詳しくは こちら を見てくださいね。


 お彼岸には、母が大きな木箱いっぱいにおはぎをつくってくれました。口もとをきなこでパフパフさせながら食べるのは楽しかったし、できたてよりも、時間がたってすこしおもちが固くなったころに食べるのが好きでした。大人になったいまもそうです(笑

 便利な世の中で、生協さんの「おはぎセット」は、おはぎ10個分のもち米、うるち米、北海道小豆のつぶあんが1セットになっていて、使い切りできるようになっています。わが家のように、ふたり分ならこれで十分すぎるくらい。


 お彼岸はご先祖さまに思いをはせるとき。すこし前に、叔母から「○○(わたしの旧姓)の系譜をきちんとまとめたものを、あなたに見せたいから」と連絡がありましたのに、そのままになっています。機会をつくって見ておかなくては‥とおもっています。

 きなこのおはぎがいちばん好き♪ ごまも、いりごまを半ずりにしてたっぷりとまぶします。小豆あんは甘めにつくったほうがおいしいですね。

 牡丹と萩の花の大きさに合わせて、春のぼたもちは大きく、秋のおはぎはちいさめにつくるのだそうですが、生協さんのレシピどおり10個つくったら、ずいぶん大きくなってしまいました。食いしん坊にはうれしいサイズですけど ^^ゞ


 今日は義父母の畑の栗が届く予定です ^^
 

記念切手と三人展のお知らせ

2008年09月22日 | くらしの和
 
◆◆◆ 『源氏物語』 一千年紀記念切手
 本日22日より、『源氏物語』 一千年紀記念特殊切手が販売されています。
 さっそくお散歩がてら郵便局まで行ってまいりました ^^ 切手シート(800円)と切手帳(1,200円)の二種が発行されていますが、切手帳のほうは指定の郵便局のみの扱いになっていますから、事前に確認してくださいね。
 わたしは「宿木三」(左の切手)の絵が大好きなのですけど、トリミングのために前栽の秋草が切り取られてしまい、場面のよさが半減しています。残念ですが、しかたないですね。

◆◆◆ 京都・祇園で三人展 「和の美」
 お友だちで截金(きりがね)作家の齋藤一陽さんの作品展が、10月9~15日の七日間、京都・祇園のギャラリーであります。「和の美」をテーマに、一陽さんとお仲間の蒔絵師・十亀英也氏と古典絵画を手がける月虹庵さんのお三人による力作ぞろいです。11日(土)にはパーティが開かれます。詳しくは、左の「小魚庵よりお知らせ」を見てくださいね!
 

梨のコンポート

2008年09月20日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 20日午前6時現在、雨台風は千葉県沖にぬけつつあるようです。大雨にみまわれた地域のみなさまにはお見舞いを申し上げます。今日から彼岸入りですが、わが家は帰省する予定を延期しました。


 みなさまに好評だった桃のコンポートも、のこりすくなくなりました。さみしいので、梨のコンポートをつくり、冷蔵庫にコンポートのあるよろこび♪をつなげています。保存容器にたっぷり‥のコンポートを見ますと、しあわせな気持ちになります ^^ しばらくは切らさないようにつくりつづけます。


 桃よりも手間入らずですし、数個の梨でたっぷりできますから重宝します。よぅく冷やしたコンポートに、朝食時はプレーンヨーグルト、おやつにはアイスクリームを添えていただきます。主人は生の梨のシャキシャキ感が苦手なのですが、さっくりとした食感のコンポートは好んで食べます。

 砂糖を溶かした白ワイン水で煮るのは桃と同じ。さらに、バニラエッセンスで香りづけをし、レモン汁を足してさっぱりとした風味にします。お味にアクセントがほしいときは、シナモンを加えても。
 レシピは こちら とほぼ同じですが、わたしは25~30分くらい煮ています。できあがり時は不透明ですが、冷蔵庫でひと晩ねかせますと、きれいに透きとおったコンポートに仕上がります。


召し上がれ ^o^


 梨の歴史は古く、万葉の持統天皇の御代から栽培されていたのだそうです。

 もみぢ葉のにほひは繁ししかれども妻梨の木を手折りかざさむ
 (『万葉集』 作者不詳)

 梨は「無し」に通じるため、「ありの実」と言い換えられることも。名は“なし”でも、果汁たっぷりの実には、みのり豊かな秋の香がありますね。

 ありの実を煮て今日の日を佳しとせむ (雪月花)


 今日は終日雨もようかしら。おはぎをつくらなくちゃ ^^
 

きちかうの花

2008年09月17日 | 筆すさび ‥俳画
 
 きちかうの花
 秋ちかう野はなりにけり白露のおける草葉も色かはりゆく
 (『古今集』 紀友則)

 「きちかう」の名で桔梗の花を詠んだもっとも古い和歌です。物名歌のひとつで、「秋ちかう野はなりにけり」に「(あ)きちかうのはな(りにけり)」が詠みこまれています。白露の候にふさわしい歌ですね。

 桔梗を詠んだ歌はすくないのでしょうか、『春夏秋冬 和歌・短歌歳時記』(佐々木幸綱監修、三省堂)に「桔梗」の項は見当たりません。

 むらさきの桔梗のつぼみ割りたれば蕊(しべ)現れてにくからなくに
 (斎藤茂吉 『赤光』)

 主人も、子どものころはこの歌のように、庭に桔梗のつぼみを見つけては割って遊んだそうです。大人になったいまも、つぼみを見つけますと目を輝かせるので、手を伸ばす前に引き止めています ^^;


 俳画教室に通うきっかけになったのが桔梗の花でした。立ち寄ったカルチャーセンターの窓口に飾られていた桔梗の俳画。その絵の涼しさに引き寄せられるように、絵筆をもつことになったのでした。
 あれから二年。ようやく憧れの花と向きあうときがきたのです。お手本を繰り返し臨書し、書き損じを身のまわりにいっぱいにしながら、乾山の「花籠図」を意識した二枚目の短冊に、やっとのこと新涼を得たような気がします。


中陰桔梗
(消しゴムはんこ)

 かたまりて咲きて桔梗の淋しさよ (久保田万太郎)

 桔梗にかぎらず、秋草は群れ咲いても束ねても、風の吹きすさぶ淋しさがあります。山桜がやまとごころなら、秋草は、もののあはれの代名詞でしょう。

 吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ
 (若山牧水)
 

待宵

2008年09月13日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 銀彩月明半月皿に、うるう年の今年は13個のお月見だんごをのせて。待宵の膳は、十五夜のお月さまのように、まぁるくまぁるくととのえます。

 芋名月にちなみ、里芋のそぼろ煮も、まぁるくまぁるく‥ ^^


 おだんごもお芋も、今年の収穫を神仏に感謝するためのお供えものですね。でも、おだんごをまるめたり、里芋を調理していたら、ふと、これはお月さまを食べちゃおう~ってことなんだわ、と思いあたりました。


 月読命(ツクヨミノミコト)は豊穣をつかさどる神さまですし、満ち欠けを繰り返すお月さまは、死と再生、不老不死の象徴です。古くから月には変若水(おちみず)があると伝えられて、若水信仰と結びついています。お酒をみたした盃に、月を宿して飲み干したりするのも、常若(とこわか)を意識してのことでしょう。

 待宵やだんご丸める手の白さ (雪月花)

 宮中の月見の風習が、やがて庶民に広まるとともに、お供えものを月に見立てて体に取りこむことで、月の霊力を身にそなえ、若返りを願ったのかもしれませんね。食いしん坊の、都合のよい解釈ですけど ^^ゞ


 東京の十五夜は、予報では残念ながら無月か雨月になりそう。待宵の今夜、ひと足早く主人とお月見をするつもりです。

 みなさまも、どうぞよいお月見を ^^



 

名残の夏(二) 桃のコンポート

2008年09月09日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 先月下旬からずっと不安定だった空もようが、昨日から一変しました。秋晴れ、というにふさわしい高く清んだ空、輝きを増すお月さま。萩の花がこぼれるように咲き、風にゆれています。ふりしきる雨に夏を惜しむ間はなく、気がつくと秋がみちていました。


 日ごろお世話になっているお店に、週に二回、産直野菜と果物の市が立ちます。新鮮でおいしく、割安なことはもちろんだから、午前中に売り切れてしまうものも。市の日はできるだけ早くお店にゆきます。
 桃はそろそろ終わりかな‥とおもうと、つい買ってしまう。先日も、甘いよ、とすすめられるまま大粒の桃をふたつ大事に持ち帰りました。


 ずっしりと重く、いかにもジューシーで甘そう。そのまま食すのが惜しくて、コンポートにしています。

 皮を湯むきしたあと、砂糖を溶いた白ワイン水に落としてしずかに煮ていると、部屋いっぱいにワインと桃の香りがひろがります。煮詰めながら、まるで桃の実に夏の思い出をゆっくりと閉じこめてゆくような、みちたりた気分。しあわせなひとときです。


 皮に浅く切れ目を入れ、しばらく熱湯につけて(写真左)冷水に放すと、皮は手でつるりとむけます‥のはずが、なぜか今回の桃はちがいました。湯につかっている間に白桃のように白くなって、実と皮がぴったりとくっついてしまったんです。不思議だわ‥とおもいながら、包丁で丁寧に皮をとりました。
 湯につかると、桃ってこんなに色っぽいんですよ。発見でした ^^

 水中になお水はじく水蜜桃 (桂 信子)

 思い知る女心や水蜜桃 (雪月花)

 桃は、じつは秋の季語。晩夏に入れている歳時記もあるのですが、大方は初秋の果物に分類するようです。

 子どものころは、夏休みに母が桃、バナナ、ハチミツ、ヨーグルト、氷をミキサーにかけてジュースをつくってくれました。そのジュースのつめたくておいしかったこと。以来、わたしにとって桃は夏の味覚であり、母の愛情につながっています。


 さて、冷蔵庫でひと晩ねかせたら、ぷるぷるの甘~いコンポートのできあがり。冷蔵庫で三か月くらい保存できます。


 昨夜も桃のコンポートをつくりました。今日これから実家へ持参して、母と味わうつもりです。


※ ご紹介した桃のコンポートのレシピは、飛田和緒さんの 『私の保存食手帖』 (扶桑社)にあります。おすすめの本です ^^
 

名残の夏(一) ゆかた

2008年09月05日 | きもの日和
 
 墨色にちかい濃紺の、無地綿麻のゆかた地に正絹の角帯。この夏、主人が選んだものです。

 夏の陽射しの照りつける京の町で、主人がふと「ゆかたを着る」と言い出しました。学生のころは剣道部で、毎日道着に袴をつけていた人だから、日ごろからきっときものが似合うから、とすすめておいた甲斐がありました ^^ お盆になれば求めやすくなっているかも‥と、ふたりで期待に胸をふくらませて買物に出かけましたものの、男物のゆかたやきものって値下げしないのですね。おかげさまで、わたしのゆかたを新調する余裕はなくなりました。(来年に期待します)

 ゆかた着で鎌倉散策でも、とふたりで準備万端ととのえましたのに、それからというもの週末はことごとく雨にたたられて、とうとう機会を逸してしまいました。ゆかたを着けた主人の姿は、「よ、若旦那。」と声をかけたくなるほどステキでしたのに‥残念(笑。 来年は後ろ姿を写真におさめてココに載せてあげるから、と約束しています。

 主人の巾着は日本橋浜町の高虎商店製で、仙台平の生地をつかっています。仙台平は、正しくは精好仙台平織袴地(せいごうせんだいひらおりはかまじ)といって、独特の絹の光沢としわになりにくいなめらかさが特徴です。
 わたしの手提げバッグは、大好きな染司よしおかのもの。久しぶりにつかうのを楽しみにしていましたのに。


 話が変わるようですけど、主人もわたしもJリーグの横浜F・マリノスを応援しています。中でも山瀬功治選手のファンで、山瀬選手のブログは欠かさず見ています。すると、最近 こんな記事 が‥

 「山ちゃん(山瀬選手のこと)に先を越された!」と、主人はたいそうショックだったようです。(キュウリ嫌いなことも、山ちゃんと同じ ^^)


 袖をとおすことのなかった主人のゆかた。来夏を期して、防虫香とともに畳紙につつみました。
 

文様印(14) 露芝文

2008年09月02日 | 和楽印 めだか工房
 
 先週から各地でゲリラ雨の被害が相次いでいますが、みなさまのお住まいの周辺は大丈夫でしょうか。東京は三日三晩豪雨や雷雨がつづき、多少の被害がメディアで報道されたため、みなさまから温かいお見舞いのメールをいただきました。有難うございました <(_ _)>
 雨は激しく屋根をうち、雷神さまは地響きをともなって何度も駆け抜けてゆきましたが、幸い交通機関のダイヤが乱れる程度で済みました。これから台風の季節と重なりますから、まだしばらく油断は禁物です。みなさまもお気をつけておすごしくださいますように。まもなく収穫期を迎える農作物への影響も心配です。


 今月は「露芝(つゆしば)文」です。芝の葉に露がおりたようすを意匠化したもの。季節を問わない模様ですが、とくに涼感を添えるため夏の和装に取り入れられることが多いようです。また、色をおさえて不祝儀としても使われます。
 「露芝文」のカレンダーは こちら です。

 「しば」「しばふ」という言葉は万葉の時代からあるそうですから、露芝は古くから親しまれた身近な模様だったのでしょう。雨上がりのあと、露にぬれた芝や草叢の美しさは格別です。日常のささやかな美を愛で、ここまでみごとに単純化し意匠化した先人のセンスに脱帽です。


 折しも、7日から白露の候。「陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也」(暦便覧)。

 草木まで秋のあはれをしのべばや野にも山にも露こぼるらん
 (『千載集』 法印慈円)

 白露の宿る芝草の風情も、昨今の豪雨では台無しですね。



 最近ご注文をいただいて制作した四季の消しゴムはんこです。春「さくらさくら」、夏「うちわ」、秋「月にすすき」、冬「雪輪」。彫り上げたはんこには、サクラ材の持ち手をつけて仕上げます。

 めだか工房は、ご依頼主と相談をしながら制作してゆきますので、納期は長めです。ご注文品のはんこや小物に簡単な解説書をつけて発送します。手もとを離れてゆくのを少々さみしくおもいつつ、送り出しています ^^