東京湾からジェット船で南へおよそ120km、母といっしょに
(伊豆)大島の椿まつりへ出かけました。
「大島」と言うものの、島一周道路を車でひとめぐりしても二時間足らずのちいさな島です。雨上がりの道路をゆけば、まるで紅色の雨の降ったごとく、つらつら咲きのやぶ椿の落花でいっぱい。まさに“椿ロード”です。日曜日の昼下がり、前方も後方も車は無し、島を終日借り切ったような静けさ。レンタカーに乗りこんだ母とわたしは、時速30km/hの速度でゆるゆると旅しました。椿のトンネルを入ったり出たりの繰り返し、ところどころ、すでに花の盛りをすぎつつある大島桜が、さわやかな緑葉を見せながら明るさを添えていました。
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大島公園内にある椿園は、およそ450種、8,700本の椿を管理しています。係の方が、毎日園内の落椿をていねいに集め資料室にも飾っています。母は愛媛出身ですが、愛媛の霊峰・石鎚山(いしづちやま)にちなんだ「石鎚」という名の特大(!)の紅椿を見つけ、大喜び。もちろん、そこで記念撮影をしました。
園内の石碑にあった句です。
受けとめる大地のありて椿落つ
毎春大地にこぼれる数えきれないほどの椿が、やがて土に還り、大島そのものを形成しているのではないかしら‥ とおもえます。大島は、まさに椿の島。
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島の中央にそびえ、いまも活動をつづける三原山を、島の人たちは畏怖の念をこめて「御神火(ごじんか)さま」と呼びます。山頂口から火口まで徒歩で一時間足らずの山ですが、24年前の噴火の爪あとはいまも生々しく残っており、山すそから海まで島全体をつつむように咲き乱れる紅椿の群落は、荒らぶる山の神の鎮守の森なのでしょう。椿まつりの期間中、島の人たちは毎夜「御神火太鼓」を打ち鳴らし、あんこさん(島の女性たち)がしっとりと舞を奉納して、わたしたち観光客の旅の無事を祈ってくださるのです。
温泉につかり、鮮魚と加工魚、島の野菜、乳製品、豆腐、椿油をつかった料理などなど、きびしくもゆたかな島の大自然のもたらす幸を、たくさんいただきました。心身ともに、ひと足早い春を満喫してまいりました ^^
運転中に見つけた洋菓子店「シャロン」の「大島桜かすてら」。春の香がふんわり、大島桜の葉をたっぷり入れた焼菓子です ^^(ご存知とおもいますが、桜餅をつつむ桜の塩蔵葉は大島桜の葉なんですよ)「あしたばかすてら」やプリンも買いたかったな~。 | |
母が「大島の椿、大島の椿。」と言うのを聞いて、ようやく気づいたのです‥ わたしの椿好きは、母ゆずりだったのだと。数日間留守しただけなのに、出立の日は満開だった自宅そばの梅林が散りそめていました。
3月10日は、
桜と椿の花道家・安達瞳子さんの命日です。