雪月花 季節を感じて

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『花の日本語』

2007年05月31日 | 本の森
 
 梅雨のはしりのような空模様のつづく東京です。散歩の道に、蛍袋、金糸梅、鉄砲百合が咲き、紫陽花はすこしずつ色づいて大きくなっています。でも、降雨量がすくないので水不足が心配ですね。雨の季節に、全国の水瓶が十分に水をたくわえてくれるとよいのですけど。


 「君影草(きみかげそう)」と聞いて、何の花だか分かりますか? そう、初夏に咲く鈴蘭のことですね。信州の高原や北海道に自生しますが、鑑賞用としてお花屋さんの店先にも並びます。蘭といってもラン科でなくユリ科の植物で、英語では「谷間の姫百合」、フランスは「聖母マリアの涙」、ドイツは「五月の小さな鐘」の美称で呼ばれ、世界中の人々から愛されている花なのに、なんと毒草なのだとか。先々週まで、住まいのそばの花壇で鈴蘭がたくさん花をつけていたのですけれども、暑い日がつづいたせいか、いまではすっかりドライフラワーの様相になっていて、なんだかかわいそう。美しき五月の栞として、俳画にしておきました。

 「君影草」という呼称は、山下景子さんの『美人の日本語』という本で知りました。それにつづく『美人のいろは』ともにこのブログでご紹介してまいりましたが、第三弾の『花の日本語』が今年の三月に出版されています。(三冊とも幻冬舎から ※) この本には、身近な花の和名がたくさん紹介されていて、花にまつわるエピソードや物語、花を詠みこんだ詩文が添えられています。でも、花の和名の異称って、案外知られていないのではないでしょうか。

 たとえば、次は何の草花だかお分かりになりますか?

 花一華(はないちげ)
 懐草(なつかしぐさ)
 三味線草(しゃみせんぐさ)
 玉章(たまずさ)
 山下草(やましたぐさ)
 有実(ありのみ)
 夏雪草(なつゆきそう)

 上から、アネモネ、撫子、なずな、からすうり、荻、梨、卯の花(空木)です。撫子は、「撫でいつくしむ子どものようにかわいい花」の意味で、異称の「懐草」の「懐かしい」も、「なつく(こころ惹かれ、馴れ親しみたい気持ち)」が変化した語だそうですから、和歌では目に入れても痛くないほど愛する人にたとえられました。梨は「無し」に通じるのを嫌って「有実」と呼んだそうですが、ずいぶん慎重な言葉使いですよね。そして、春に舞う雪が桜なら、夏に降る雪は卯の花です。

 撫子が花見るごとに少女(をとめ)らが笑まひのにほひ思ほゆるかも
 (『万葉集』 大伴家持)

 をきかへし露ばかりなる梨なれど千代ありのみと人はいふなり
 (『相模集』)

 卯の花のよそめなりけり山里の垣根ばかりに降れる白雪
 (『千載和歌集』 賀茂政平)

美しい和名にこめられた先人たちの思いが伝わってくるようです。


 いまベストセラーになっている『女性の品格』(坂東真理子著、PHP研究所刊)という本に、品格ある女性の条件のひとつとして「花の名まえを知っている」が挙げられていますけれども、一般に知られている花名だけでなく、和名の異称とその由来まで知っていると、さらにワンランク上の女性になれそうです。 ‥あ、女性だけでなく、男性のみなさまも『花の日本語』をぜひどうぞ。あなたのご家族やたいせつな人に「この花の別名はね‥」なんて、ちょっと花物語をすれば、一目置かれますよ、きっと ^^

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さくら書房 で山下景子さんの『花の日本語』・『美人の日本語』・『美人のいろは』を
  紹介しています。

 
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絵付けを体験する

2007年05月24日 | 筆すさび ‥俳画
 
 今年の三月末に、漆器の産地・輪島で木地業を営んでいる輪島キリモトさんのご指導のもと、朴(ほお)の木地のコースターに墨で絵付けをする体験講座がありました。3月25日の朝、最大震度6強の地震が能登半島を襲ったことは、みなさまのご記憶にも新しいことと思います。その直後の日程だったにもかかわらず、ご当主の桐本泰一氏とスタッフの方々は予定どおり会場に現れ、およそ二時間にわたって漆のお話や絵付けの指導をしてくださいました。

 ご存知のとおり、漆は英語で “japan” と表現される日本を代表する伝統工芸のひとつです。わたしは、この講座で初めて生漆(きうるし)を見ました。密封された缶から漆を容器に移し入れますと、漆が空気に触れてみるみる褐色に変化するのを見て、漆は生きている、と実感しました。
 もちろん、漆に触れますとかぶれる恐れがあるため、参加者が直接漆に触れることはなく、木地に絵付けをしただけです。コースターに拭き漆をする作業は、桐本氏とスタッフの方々が工房で数日かけて行い、その後さらに数日間かけて気温25℃、湿度75%の室(むろ)の中で漆を乾かしてから、参加者に郵送されました。でも、すぐに使うことはできません。届いてからおよそ一ヵ月の間、自宅の湿気の多い場所に放置しておき、五月も中旬になってようやく使えるようになったのです。そんなわけで、ようやくこうしてご紹介することができました。漆とのおつきあいは、ゆっくり、ゆっくり‥なのです。

 わたしが木地に付けた絵は、「波に千鳥」「武蔵野(すすきに月)」「鵜飼舟」「柳に鷺」の四つと、あと一つは「お地蔵さま」で、計五枚です。いままでに学んだ俳画や尾形乾山の絵付けなどを参考にしました。絵付けの際には木地の木目もたいせつにします。「柳に鷺」は、縦に流れる木目を雨の降る景色に見立てるようにし、ほかの四枚は木目を横にしています。
 上の右四枚の画像は、木地に絵付けする直前に半紙に試し描きしたものです。左の写真を見ていただきますと分かるように、拭き漆で仕上げたものは下絵が見づらくなっています。でも、ふふふ、ここからがお楽しみ。使いこむうちに漆にツヤが出て透明度が増し、下絵がだんだんと浮き出てくるのだそうです。一枚一枚のコースターに触れながら、そのことを想像するだけでワクワクしています♪ 漆とすごす時間もまた、ゆっくり、ゆっくり‥なのですね ^^


 大地震の当日、桐本氏は東京に出張中で無事だったそうなのですが、輪島キリモトの工房は被害を受け、桐本氏と一緒に絵付けの指導にあたるはずだった蒔絵師の方の工房は全壊したとうかがいました。そんな状況にもかかわらず、漆の良さと可能性をわたしたちに教えてくださった輪島キリモトのみなさまに感謝しています。また、被災地にお住まいの方々にあらためてお見舞いを申し上げますすとともに、一日も早い町の復興を祈念しています。この輪島拭漆のコースターとともに、未然に防ぐことのできない自然災害の恐ろしさを忘れません。

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 ◆ 俳画習作展のお知らせ ◆◆◆
 下記の日程で、香雲会の俳画習作展が開催されます。
 浅草界隈にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

 日時 5月26日(土)~28日(月) 午前10時~午後5時
     5月29日(火) 午前10~12時
 場所 台東区立浅草公会堂  ※ 案内図は こちら です。

 
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文様印

2007年05月17日 | 和楽印 めだか工房
 
 今日は朝から雨音を聞いています。沖縄は昨日16日、平年より八日遅く梅雨入りしたそうですね。これからだんだんと梅雨前線が近づいてきます。みなさまの雨の季節のお楽しみは何ですか。

 消しゴムはんこで日本の伝統文様をつくっています。今回はその中から四つをご紹介します。浅紫に銀の「宝尽し」、伽羅色に江戸紫と蘇芳(すおう)の「隈取(くまどり、歌舞伎の化粧法のこと)」、苔色に柿渋の「つぼつぼ」、そしてもうひとつ、右上の甕覗(かめのぞき)にうちわのような文様(この文様の名が分かりません。ご存知の方は教えてください)です。 原寸はいずれもハガキ大で、唐紙(からかみ)、手ぬぐい、和紙おりがみの文様を参考に図案を起こしました。
 
 「宝尽し」は、如意宝珠・宝鑰(ほうやく、宝庫を開ける鍵のこと)・打出の小槌・金嚢(きんのう)・隠れ蓑・隠れ笠・花輪違い・丁字・巻物‥などを意匠化した吉祥文です。もともとは中国の「八宝」(法螺・法輪・宝傘・宝瓶・白・蓮花・金魚・盤長)に由来しており、これが日本に伝わって、室町時代に和様化されました。ちなみに、わたしのきものと名古屋帯の柄に、この「宝尽し」があります。
 「つぼつぼ」は、茶の湯三千家の替紋で、お茶の道具にもよく見られる意匠です。千宗旦(1578~1658年、千利休の孫)が、京都の伏見稲荷の門前で、初午の日に売られていた直径一寸ほどの素焼きの壺型土器「つぼつぼ」(田宝)を意匠化したものといわれています。正確には、三千家それぞれ、つぼの組み方がちがいます。 ‥いわれはどうあれ、とってもかわいいデザインでしょう? わたしはこの「つぼつぼ」の意匠が好きで、あちこちにはんこを押して楽しんでいます。
 歌舞伎でおなじみの「隈取」は、多色刷りにするともっと迫力が出るでしょうね。これは、いずれ試してみようと思っています。


 唐紙には忘れられない思い出があります。
 もう五年も前のことでしょうか、京からかみの工房を訪ねた折のことです。以前から江戸からかみにも関心をもっていたわたしは、京からかみと江戸からかみの違いなどについて、ご当主に直接たずねてみました。ご当主は黙って何もおっしゃらなかったのですが、そばで聞いていたご夫人が急に顔色を変えて怒り出しました。「江戸からかみは、歴史と伝統ある京からかみの意匠を盗んでいる」というのです。また、京からかみは一貫作業であるのに対し、江戸からかみは分業制をとっていることもお気に召さないようでした。わたしの質問がいたらなかったのでしょう。お話を聞くうちに、夫人のお顔が般若の面に見えてきて、とても悲しい気持ちになりましたのです。
 伝統を守るためには、わたしの想像など及ばないご苦労があるのでしょう。そのことに思いをいたすことなく、営利目的をもって利用するようなことはあってはならないと思います。ですが、古くから伝わるそれぞれの唐紙文様のひとつひとつは、どちらも劣らず美しく、その意匠においては、京のみやびと江戸の粋がみごとに妍(けん)を競っています。さらに、江戸時代の版木がいまも大切に使われているという共通の事実を見ても、二都間にどのような過去があれ、歴史がその美を認めてきたことは明白です。わたしは、先人の生んだこの国の美しいものを守ろうとする気持ちに、京と江戸のちがいはないのだろうと思っています。

 この話はずっと封印してきたのですけど、そろそろ時効かなと思いつつ書きました。みなさまにも、唐紙の文様に興味をもっていただけましたらうれしいです ^^


 文様印は、今後すこしずつ増やしてゆきます。

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新茶を五倍楽しむ

2007年05月10日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 立夏の候となり、暑い日がつづいています。これからは、紫外線と暑さ対策をしっかりしてお出かけくださいね。

 さて、今年の新茶はもう召し上がりましたか。今年は例年よりお茶の生育が良いそうですね。わたしは、先日緑茶の味わい方を学ぶ教室に参加しまして、新茶をたっぷりといただきました。そこで、今回はその備忘録といたしまして、「新茶を五倍!楽しむ方法」をご紹介します。せっかくの新茶の季節ですもの、ペットボトルのお茶はやめて、ゆっくりと緑茶を味わうひとときをつくってみませんか。お茶が美味しくはいりますと、お菓子はもっと美味しくなりますよ ^^


 では、まず上の写真を参考にして、茶さじ一杯強の新茶(一人分の分量です)とお好きなお菓子、湯ざまし器、100ccのお湯が入る小さめの茶碗(できれば内側が白いもの)をご用意ください。この方法は、最後に茶葉まですっかり食べてしまいますので、写真のように茶碗に新茶の茶葉をそのまま入れます。

 【一煎目】
 茶葉がひたひたになるくらいの少量の水(水道水などの軟水)を茶碗に注ぎ、ラップなどでフタをして二分間蒸らします。このとき、茶葉が浮くほど水を入れないこと。茶葉が水を吸って湿る程度にしてください。水が甘み成分だけを抽出してくれます。
 二分後、フタをすこしだけ開けて、まずは立ち上ってくる新茶の香を存分にお楽しみください。それから、フタを開けたその隙間からお茶をすすって飲みます。(勢いよく吸ってください) ほんの一滴か二滴ですが、甘みのある深い味わいのお茶を楽しめます。


 注意!
 お菓子は一煎目をいただいた後に食べます。一煎目はお茶の甘みを楽しみますので、
 甘いお菓子は控えます。


 【二煎目】
 湯ざまし器で人肌(30~40℃)まで冷ましたお湯を一煎目の倍量(茶葉がいくらか浮く程度の量)を注ぎ、フタをして二分間蒸らします。お湯は一度沸かしたものを冷まして使ってください。熱湯に水を足すのは×。一煎目よりも、いくらか渋みを感じるお茶になります。

 【三煎目】
 湯冷まし器で70℃程度にしたお湯を、茶碗の深さ四分目まで注いで、蒸らさずにすぐいただきます。三煎目から、甘みより渋みの勝つお茶になります。

 【四煎目】
 熱湯を茶碗の七分目まで注ぎ、すぐにいただきます。かなり渋みが出ます。

 【五煎目】
 茶葉を食べます。そのままでは食べにくいという方は、ポン酢を数滴たらしてみください。たくさん入れてしまうとポン酢の味が勝ってしまいますので、注意してください。
 茶葉は食べずに、料理などに使ってもよいでしょう。(天ぷらの衣に混ぜるなど)


 ‥ごちそうさまでした。
 茶葉を蒸らしたり、お湯を冷ましたりしながら、清々しい新茶の香と味をゆっくりとお楽しみくださいね。お菓子とともにお茶を五煎もいただきますと、かなりお腹いっぱいになります。五煎も要らないという方は、一煎目+三煎目+四煎目で十分でしょう。


 お次は、「日本茶クイズ」に挑戦していただきましょう! 一問正解につき10点、全問正解で100点満点です。あなたは何点とれるでしょうか。

 ① 「八十八夜」とは、立春から数えて八十八日目のことである。 ○ or ×

 ② 日本茶の生産量の第一位は静岡。では、二位と三位はどこ?
   1. (鹿児島と三重) 2. (埼玉と鹿児島) 3. (京都と福岡)

 ③ 緑茶、紅茶、ウーロン茶。同じ茶の木から作ることができる。 ○ or ×

 ④ お茶の木は「バラ科」の植物である。 ○ or ×

 ⑤ かつて日本でも紅茶を作って輸出していた。 ○ or ×

 ⑥ お茶の成分であるカテキン、カフェイン、アミノ酸。それぞれのお味の素は?
   1. (甘み、渋み、苦み) 2. (甘み、苦み、渋み) 3. (渋み、苦み、甘み)

 ⑦ 空腹時に飲むのは、番茶やほうじ茶より煎茶がよい。 ○ or ×

 ⑧ 「宵越しの茶は飲むな」という意味は?
   1. 真夜中に茶を飲むな 2. 購入したらすぐ茶缶の封を切れ
   3. ひと晩寝かせた茶葉でいれた茶は飲むな

 ⑨ 「やぶきた茶」は、籔(やぶ)の中の北側で採れた茶のことである。 ○ or ×

 ⑩ 一般に、「深蒸し煎茶」は関西人の気質に合うといわれる。 ○ or ×


 ‥お疲れさまでした。答えはコメント欄を見てくださいね。


 それではみなさま、すてきなお茶のひとときを‥

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子どもの日に寄せて

2007年05月03日 | 筆すさび ‥俳画
 
 行楽日和のつづく大型連休、みなさまはいかがおすごしですか。

 子どもの日小さくなりし靴いくつ (林 翔)

 先月の俳画の画題は、子どもの日にちなんで「わらべ」でした。手にもつ風船は子どもの夢かな、と思いつつ描きました。色とりどりの風船を見て、食いしん坊なわたしはつい「三色アイスクリーム!」を想像してしまいましたけれども‥ ^^; そういえば、街頭で子どもたちに風船を配る光景を、最近はとんと見なくなりました。


 「夢は何?」「将来は何になりたい?」‥ 子どものころにこう聞かれたとき、あなたは何と答えましたか。
 絵を描いたり、文字を書いたりするのが好きだったわたしは、「漫画家になりたいけれど、学校の先生もいいな」と思っていましたら、そのまま公立校の教員になっていました。でも、せっかくつかんだその夢も、自らの力不足でまもなく手放すことに。夢をかなえても、そのよろこびを持続してゆくことのほうが何倍もたいへんなのだと、そのとき思い知らされました。二十代半ばに経験した挫折でした。

 ところで、大人のあなたは夢をおもちですか。
 ひねくれ者のわたしは、「夢の無い人生なんてつまらない」とか、「いまの子どもに夢がないのは、大人が夢をもたないからだ」なんていう言葉を聞きますと、「夢の無い人生に価値は無い」と言われたような気持ちになってしまって、辟易します。そういうことを言える方は、たいてい自己実現に成功して、その後もさらなる目標達成をめざして努力を惜しまず生きているのでしょうけれども、しょせんそれは自分のことにすぎないということに気づいているでしょうか。もちろん、自己実現の結果として、自分以外の人たちに夢や希望を与えるというケースはあります。スポーツ選手などはその好例でしょう。でも、いさぎよく夢をあきらめたり、あるいは夢をもたなくても、立派に生きている人はたくさんいます。大人なら、夢や目標のために奔走する自分の姿を冷静に省みる余裕がなくてはいけないでしょう。それに、大人には、自分のことはさておいても、すべきことがたくさんあるはずです。困難を乗り越えて自己実現をめざすより、「自分のことはさておく」ことのほうが、勇気の要ることではないでしょうか。

 子どもが夢をふくらませることができないのは、自分のことで精一杯な大人のせいではないかと思えてなりません。大人のほうに余裕がなければ、子どももまたいっぱいいっぱいになってしまうでしょう。子どもが夢をふくらませて、それを持続するための環境づくりをできるかぎりすることは、大人の責任と思います。子どもが風船のように夢をふくらませても、それはとつぜん壊れてしまったり、手を放したとたんに風のいたずらでどこかへ飛んでいってしまいます。せっかくふくらませた風船を、そのまま手放さずにもちつづけることは、子どもにとっては大人よりむつかしいことでしょう。


 大人というものはどんなに苦労が多くても、
 自分のほうから人を愛していける人間になることだと思います。

 (いわさきちひろ著 『ちひろのことば』 より)

 自分を愛する大人ばかりが目立つ世の中ですけれども、ほんとうの大人は、自分が誰かを(あるいは何かを)支えるべき存在であることを自覚し、行動する人だと思います。

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