雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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秋 二題 秋桜 と 秋茜

2009年09月28日 | 筆すさび ‥俳画
 
 シルバーウィークが明けて九月も残りすくなくなりましたが、秋霖もなく行楽日和がつづきました。みなさまいかがおすごしでしたか。

 わが家はお仕事半分、お遊び半分の連休でしたけど、萩の花咲く古寺や木の実がいっぱいの山道を歩きながら、深まりゆく秋を楽しみました。今年は柿の実の色づきが早いですし、義父母の畑では栗の実の収穫が始まっています。まもなく新米の季節、栗ごはんを炊かなくちゃ ^^


 さて、俳画は秋の画題をふたつ。ひとつは風の友だち、「秋桜」です。


 主人の実家の庭は、毎年夏の終わりごろからコスモスの花でいっぱいになります。義母が、刈っても刈っても出てくるのよ、と少々うんざりしていますけど、コスモスがそよそよと風にゆれるのを見るのは楽しいものです。


 ふたつめは、近くの畑上空でたくさん見られる赤とんぼ。この画題は、俳画のお稽古を始めてまもないころに一度いただいたものですが、当時うまくできなかった運筆が、三年後のいまではできるようになっていて、うれしかったです ^^


 とんぼの生態は稲作と密接な関係があり、稲作にたずさわる人間と共存してきた生きものだそうです。頭上のとんぼの群れに指をのばすと、ツイと指先にとまって羽を休めるその姿に、人のくらしに長い間親しんできたんだな、とおもいます。田んぼがすくなくなって、とんぼたちも生きにくくなっているのでしょうか。


 まもなく中秋の名月ですね。
 

悲しみの日に

2009年09月16日 | たまゆら ‥日々是好日(随筆)
 
 すこし不謹慎なお話です。

 おだやかな秋晴れのひと日、主人の伯父(義母の長兄、享年85歳)の葬儀に参列しました。亡くなる数日前まで、毎朝夕の犬の散歩と日中の畑仕事を欠かさず、ふた月ほど前に行われた地域のシニアゴルフ大会では優勝したそうですから、家族や親族にとってほんとうに突然のお別れだったようです。わたしは生前にお会いする機会がなく、ためらわれたのですが、主人の親類ならわたしの親類とおもいなおして出かけました。


 お香典袋にうす墨で主人の名をしたため、喪服とお数珠を用意しながら、ふと生前にお会いすることのなかった伯父との縁について考えてみたのですが、主人と義母をとおして、ようやくうっすらと浮かんでくる影のようなものしか感じられませんでした。

 じっさい、葬儀会場の遺影や、お棺の中のきれいなお顔を目の前にしても、影は変わらず具体的存在にはならなかったけれど、参列者に見送られて荼毘に付され、ひとつ、ひとつと骨上げされるのを見ながら、死を見つめるということが、何かとてもたいせつなことのようにおもえてきて、不思議なきもちになりましたのです。


 もちろん、(人にかぎらず)死に目にあう機会なんてできるだけ無いほうがよいし、遺族のきもちは察するにあまりあるので、大きな声ではいえないのですけど‥ きれいさっぱりと灰になり、骨になり、やがて土に還り、遺された人々のこころにのみ生きることをおもうと、人もまた美しいな、とおもえたのです。

 そして、死をむかえるということが、例外なくみなに与えられた条件であり、誰もそこから逃れられないということ。そのことを身に感じつつ、精進落としをしながら故人をしのび、互いの安否について語り合い、しめやかにお酒を酌み交わすひとときというのもまた美しいな、とおもったのでした。


 ご冥福をお祈りしつつ。
 

染と織をたずねて

2009年09月08日 | くらしの和
 
 朝晩の風がすっかり秋めいて、お月さまのきれいな季節をむかえました。少々いそがしい日々をおくっていますが、スケジュールの合間を縫って出かけたい場所がたくさんあって、それが励みになっています。

 そんな中から、今日はこの秋おすすめの三つをご紹介したいとおもいます。美しい染と織を生みだす作家さんたちの作品にふれることのできる場所ばかりです。


 明後日10日(木)から伊と忠GINZAにて開催される「小枝かすみ展 きれいさび」。小枝さんのお仕事については、ここでお話するより、ご本人のブログ を見ていただいたほうがよさそう。
 最近はシックな色柄のきものや反物が目につくけれど(東京だけでしょうか?)、草木染めに代表される日本の伝統色って、こんなにきれいな色だったんだ‥って、ぜひ再確認してほしい、そんなおもいでこの展示会をご紹介します。


 10月15日(木) から四日間だけ銀座で開催される「色のコンポジション 志村ふくみ・志村洋子展」。紬織の重要無形文化財保持者・志村ふくみさんと、ご長女の洋子さんの新作約60点の発表会です。さらに、おふたりの代表作の展示も同時にあるようです。
 琵琶湖やその周辺の自然の色と刻々とうつろう表情を、きものをとおして語る志村さんの作品を見るのは今回で二度目。一度目は古い民家の中での展示会でしたが、風にゆれる志村さんのきものから、静かな音楽が聞こえてきました。


 東京の奥座敷・あきるの市にある真木千秋さんの工房のご案内です。
 真木さんは、素材や糸をもとめて世界中を旅するテキスタイル・デザイナーです。真木さんの布に出合ったのは、もうずいぶん前のこと。真木さんがあきるの市(当時は五日市市)にテキスタイルスタジオを開いてまもないころでした。色も、織も、風合いも、これまで手にした布と何かがちがう‥ そう感じたのがきっかけで、以来真木さんの手がける布に魅せられています。
 → スタジオのホームページは こちら です。

 最近手にした日本の美しいものづくりをされている人たちを紹介した本に、真木さんも登場していて、十数年前に購入した真木さんの布二枚を、久しぶりにじっくりと見つめなおしました。


 この布も、真木さんがデザインして、おそらくインドで織られたもの。日本の染織品とは趣がまったくちがうのだけど、ふれるとあたたかで、ここちよいのです。それはきっと、布の生まれた場所に関係なく、つくり手のこころがストレートに伝わるから。そんなことわざわざここで言わなくても、染と織のあやなす美しい布にいちどでもふれたことのある人なら、知っていますよね。

 真木さんの工房にはカフェ「竹林 Cafe」も併設されています。あきるの市まではちょっとした小旅行ですが、異国情緒あふれる美しい布に会いにゆきませんか。
 

半衿付け

2009年09月04日 | きもの日和
 
 きもの好きの仲間に和裁士さんがいます。お仕立てやお直しの面倒をみてくれるだけでなく、長年の経験を生かした着付けの指導をしてくれるため、日ごろからみんなで甘えています。

 先日、和裁士さんならではの“こだわりの半衿の付けかた”を教えていただきました。着付けたとき、シワにならない半衿の付けかた‥といえば、あたり前のことなのだけど、お針仕事に慣れないわたしには手ごわい。「簡単なのよ」と言われたけれど、なんのなんの、教わってみたら、これまでの(テキトーな)付けかたより何倍も丁寧で、手間がかかるのです。半衿付けにも王道なし、なのですね。


 きものって車の運転とおなじだわ、といつもおもいます。ともかく、恐れずに着て外に出て、慣れるしかない。半衿付けも同じだってこと、分かっているんですけど。

 習うより慣れよ。その日の翌日、すべてのお襦袢の半衿を、教わったとおりに付けかえました。あ~たいへんでした‥
 

お気に入りのレシピから (2) キウイと白ワインのコンフィチュール

2009年09月02日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 半年ぶりに高校時代の友人ふたりとランチを楽しみました。手みやげは、キウイと白ワインのコンフィチュール。キウイ色の瓶を見つめていると、しあわせなきもちになります ^^

 でも‥ レシピどおりにつくっても、キウイならではの酸味が十分に生きないんですよね。どうしたら、すっきりとしたお味になるのかなぁと、(友人たちにはナイショだけれど)じつはまだ試行錯誤中‥


 日々仕事と子育てに忙しい友人たちですが、他愛のないおしゃべりをしていると、二十数年前(!)とすこしも変わらない、楽しい時間がすぎてゆきます。また会う日まで、体に気をつけてがんばってね。