雪月花 季節を感じて

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2011年11月30日 | 雪月花のつぼ ‥美との邂逅
 
 染色家・吉岡幸雄先生(「染司よしおか」五代目ご当主)による日本の色についてのお話会に参加するため、紫野和久傳丸の内店へうかがいました。

 テーマは「藍」。吉岡先生が収集された、日本のみならず世界中のたいへん貴重な藍染めの布や紙などを拝見しました。


 ジャパン・ブルーとも呼ばれる藍は、日本ならではの色と思われがちですが、紀元前ものむかしから世界各地で藍染めが行われており、それぞれの風土に適した藍の研究がなされてきました。

 わたしも、先日「世界の絣」展でナイジェリア(アフリカ)の木綿の紺絣を目にしたとき、それが日本のものに酷似していて驚きました。絹が中国を出発点にシルクロードを経て世界へ流通したように、もしかするとかつて「藍ロード」なるものが存在し、どこかの国を拠点に世界各地へ普及していったのかしらとそのときは考えましたが、先生の研究によれば、どうやら藍染めは自然発生的らしいです。

 また、藍には高貴な藍と庶民の藍というふたつの系統があるという先生のご主張も興味深く、たとえば「辻が花」や「茶屋辻」といった将軍家にのみゆるされた美しく清んだ藍と、麻や木綿の紺絣の、濃くしっかりと染められた庶民の藍という、この日本に見られるふたつの藍の流れが、どの国にもみられるそうです。

 「紺地銀泥経」(東大寺二月堂焼経。奈良期)、「紺地金泥経」(神護寺経。平安期)、茶屋辻の帷子(徳川家大奥のご婦人の夏衣。江戸元禄期)といった国宝級の残欠などをじっさいに手にふれ拝見しながら、数千年ものあいだ世界中の人々を魅了してきた「藍」という色の不思議と底知れない魅力に、ますますひきこまれたひとときでした。


 このお話会への参加者は当選者のみの10名で、和久傳さんのお土産付きという、なんともぜいたくな丸の内イベントでした。藍を意識した和装で参加しました ^^


和久傳さんのお持たせ


 12月20~25日に日本橋高島屋にて「王朝のかさね色 吉岡幸雄の仕事展」が開催されます。期間中毎日、吉岡先生の解説があります。
 

オリジナルの利休バッグ

2011年11月25日 | きもの日和
 
 雑誌の付録だったウィリアム・モリス(英国の詩人、デザイナー。1934-96)の木綿布で、利休バッグを誂えました。通年使えるよう明るいお色で‥とお願いしたら、こんなステキな仕上がりに。和装はもちろん、洋装にも使えそうです。

 優美な曲線を描く柳の葉の柄名は「ウイローボウ」。モリス自身がたいへん気に入っていたモチーフで、自宅近くのテムズ川沿いに繁茂する柳が川面に映るさまを表現したのだそう。
 じつは、モリスの付録の図柄は全6種類あったため、主人にたのんで書店でこの柄をわざわざ選んできてもらったのです。主人に感謝です ^^

 製作をお願いしたのは、京都の二条丸八のお店です。とても丁寧な仕上がりに大満足。次は更紗の古布でつくってもらいたいな。

 緑は大好きな色だけど、きものや帯には取り入れにくいので、こうして小物で楽しんでいます。
 

かぶとにんじんのサラダパスタ

2011年11月22日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 週末に主人の里の畑で収穫したお野菜で、サラダパスタをつくりました。

 かぶとにんじんがごろごろ入ったパスタは、わが家の定番料理です。お野菜とパスタを時間差でいっしょにゆがくため、短時間でできておいしい♪ とれたてのかぶはとってもジューシーだし、にんじんは歯ざわりもお味もしっかりしているから、パスタというよりサラダ感覚です。

 もともとは「春野菜のサラダパスタ」という名のお料理で、これにスナップえんどうを加えるレシピになっています。春は彩りよく仕上げるのがコツなのでしょうね。

 いっしょに収穫した柚子とだいこんは、ハチミツを加えていつもより甘めに漬けてみました。お味はどうかな ^^


 

搗返し

2011年11月17日 | きもの日和
 
 主人の羽織用に購入した米沢紬の反物。精緻な入れ子菱の地紋にひかれたものの、青味の勝つ藍色が主人の気に入らず、思案の末、京都の悉皆屋さんに色かけ(引き染め)をお願いしました。

 「深みのある、黒に近い濃紺に」とお願いしてから、およそひと月。染め上がった反物は主人の希望どおりの色に生まれ変わりました。写真の手前がもとの色です。


 「濃紺」? それとも、これ以上深く染まらないという「留紺(とめこん)」でしょうか。横文字なら「ミッドナイト・ブルー」と呼びたいこの色にふさわしい表現はないのかしら‥と調べるうち、興味深い色名に出合いました。

 それが「搗返し(かちがえし)」です。
 「搗返し」は四十八あるという藍の色名のひとつで、かつては「別の色に染めた上から、さらに藍を染め重ねた色」(参照サイトはこちらです)を言ったのだそう。とすれば、まさに藍の上から藍を重ねたこの反物にふさわしい色名といえそうです。

 搗返しの色を羽織る主人の姿を想像しながら、羽裏を探しています。
 

からすうり、とうがらし

2011年11月11日 | 筆すさび ‥俳画
 
 立冬の候となり、ひと雨ごとに寒さが増します。
 先月の画題は「からすうり」と「とうがらし」でした。

 からすうりもとうがらしも色あざやかで、遠くからでもそれとすぐに分かりますね。じっさいに外で見かけるからすうりは、あたりが枯れるころ、木の枝などにからみついたつるからぶらさがる朱赤色の実ばかり目立つので、夏の夜に純白のレースを広げたような小花を咲かせることも、その葉の存在も、つい忘れがちです。

 烏が好むというからすうりは、古名を「玉章(たまずさ=手紙のこと)」といって、その種子が結び文に似ているからだそう。(以上、水原秋櫻子著『俳句小歳時記』より) なんだか気になるので、見つけたら実を割って調べてみようとおもいます。

 とうがらしは、お手本では朱色だったのですが、先日収穫した実物を見ながら臙脂と赤で色を出してみました。


 ひとびとに寒さ来る地ぞ唐辛子 (村越化石)


 今月は新年の干支の「たつのおとしご」と龍の字の「凧」を描き、賀状の準備を始めています。
 

みのり

2011年11月04日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 昨夜のお菜は里芋の鶏そぼろ煮 ^^
 材料の里芋もしょうがも柚子も、主人の里の畑やお庭から収穫したものです。お義父さん、お義母さん、ごちそうさまです。

 そのほかに、ねぎ、にんじん、かぶ、とうがらしも、帰省した折にたくさんいただいてきました。冬にそなえて、しょうがの甘酢漬けや柚子茶をつくっておくのも楽しみ。


クリスマス・カラーのとうがらし

 今年は山のみのりも豊富なのでしょうか、畑にイノシシが出没することはなかったそうです。

 町ではちょうど「そばまつり」も開催されていて、秋のみのりを満喫した週末でした。