雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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瑞穂の国のきもの

2015年05月28日 | きもの日和
 

渓流の音に雨添ふ田植かな
(渡辺 水巴)

田んぼの水が空の色を映すみずみずしい季節。整然とならぶ若苗を眺めていて、ふとひらめいたことがある。それは、これは蚊絣のきものと同じ景色だ。蚊絣って、この田んぼの景色の写しなんだ、ということ。

ずいぶん唐突な思いつきだったけれど、それから精緻な蚊絣のきものを見るたび、どうしてもこの田んぼの景色と重なってしまう。蚊絣をさいしょに織った偉大な人も、絣の技法を継ぎ展開してきた人たちや身にまとってきた人たちも、もちろんそんなことを考えなかったろう。でも、その無意識の底流に、きっとこの景色があったはず。 ‥そう思わずにいられない。



微細な藍の薩摩絣。

人はこれを“技術”というけれど、“無意識に湧出するもの”ととらえたら、これこそこの国の個性であり、文化なのだとおもう。

 

早苗唄

2015年05月11日 | 季節を感じて ‥一期一会
 

機織りの稽古場へ向かう道中に出合った風景。

ひと苗、ひと苗、腰を曲げて手植えするときの水音や鳥の声が、早苗唄になる。

おもわず、手を合わせる。