雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
2019年~Instagramへ移行しました 

とうもろこし

2011年08月31日 | 筆すさび ‥俳画
 
 今月の画題は「とうもろこし」でした。
 本日は八月尽、831で「野菜の日」です ^^

 とうもろこしの実は秋の季語、花は夏の季語だそうです。

 唐もろこし焼く火をあふり祭の夜 (菖蒲あや)

 先月の「ひまわり」も、「とうもろこし」も、いかにも俳句的な題材ですね。
 

『幸田家のきもの』

2011年08月26日 | 本の森
 
 大長編歴史小説を読むかたわら手にした、青木奈緒さんの『幸田家のきもの』。作家・幸田露伴の美意識を継ぐ幸田家の女性三代の、汲めども尽きぬきものがたりです。

 著者によれば、幸田家のきものは身の丈の範囲のやりくり上手。大枚をはたいてもとめた工芸品でなく、蒐集家のコレクションでもない、あくまでたつきに根ざした着手の心意気の表れであり、未練や執着はあってもいざとなればあっけないほど潔く、その清々しい決断はあっぱれです。

 幸田文さんの文体は少々苦手だけれど、孫娘の奈緒さんのそれは親しみやすい。けれど幸田家の文才の流れをしっかりくみ、本の中で露伴も、文さんも、青木玉さん(奈緒さんのお母上)も生きています。

 出色は、奈緒さんがフランスのクラシック音楽祭に着て出かけ、特別待遇を得たという個性的な濡れ描きのきもの。その艶やかな着姿を見ると、あふれんばかりの色の交響曲こそ、きものの真骨頂ではないかしら‥とおもえてくるのです。
 

お能 夢とうつつのあわい

2011年08月23日 | 雪月花のつぼ ‥美との邂逅
 
 能楽にとりこになりつつあります。これまでにぽつぽつ読んできた能楽関連の本をあらためて読み返しつつ、能楽堂へ出かけています。


 「熊野」「隅田川」「杜若」「小督」「鉄輪」につづき、先日ははじめて薪能へ。演目は夏の夜にふさわしい五番目物「紅葉狩」です。

 急ごしらえの舞台を秋たけなわの戸隠山と自らに言い聞かす間もなく、橋掛を世にも美しい上臈が次々に現れると、舞台は一瞬にして満目の紅葉山です。

 上臈たちの宴もたけなわ、そこを過ぎようとする平維茂の袂にすがる女の、なんと艶やかなこと。やがて序破急の舞とともに、あたりはすさまじい紅の嵐となって悪鬼が正体を現じ、神託と護身の太刀を得た維茂と対峙したまさにそのとき、遠雷がゴゴゴ‥と鳴り渡ったのは偶然ともおもえません。岩壁にとりすがる鬼をひきずり下ろし、その背に情け容赦なく太刀をふり下ろす維茂。「あっ」とおもった瞬間、紅葉錦秋も悪鬼も跡形なく消え失せていました。


 夜空へ拡散するお囃子の響き、通奏低音のごとく間のびする地謡が何よりの演出である薪能。遠雷が鳴り響き夜風が頬をなでる野外では、堂内で観る印象とまるでちがいます。

 舞いおさめた後、突如おとずれる寂。と同時に味わうむなしさ。いったい夢だったのか現実か。自分だけがとり残され、夢うつつの“あわい”に無理矢理つき落とされるこの感覚! それが忘れられなくて、今後も能楽堂へ通うことでしょう。
 

和菓子の音

2011年08月19日 | くらしの和
 
 きものの友だちと立ち寄った虎屋さんのギャラリーで“和菓子の音”を見つけました。

 三種の虎屋製和菓子の菓銘、意匠、味わいから連想される情景を、音楽家の大友良英さんが音で表現しています。曲目は菓銘のまま「夜の梅」「水の宿」「残月」。ちょっとおもしろい試みです。

 わたしのCDケースに「307/500」と印字されていますから、限定500部かも? 気になる方は、お早めにとらや東京ミッドタウン店へどうぞ ^^
 

鎮魂の日々

2011年08月17日 | たまゆら ‥日々是好日(随筆)
 
 八月に入り、原爆忌、終戦の日、盂蘭盆、それに東日本大震災から五か月の節目と、六月に他界した祖母の四十九日と新盆が重なり、文字どおり鎮魂と追想の日々をすごしています。

 里帰りした友人と久しぶりに会食をしたり、夏休み中の友人と連絡を取り合うのは例年どおりだけれど、あいさつの言葉や話題がいつもとすこしちがいます。さまざまなおもいの交差する夏です。

 ブログをすこし休みました。
 震災後の新聞記事から、パソコンで検索を二回すると、やかん一杯分のお湯を沸かすエネルギーが消費されると知りました。誰もがこのことを知っておくべきだし、パソコンから離れてすごす時間をもちたい。


 主人の里の庭に咲いた桔梗のひと群れの、空の藍や草の緑に染まらない純白が目にしみました。

 堪ふることいまは暑のみや終戦日 (及川 貞)
 

麻が好き

2011年08月05日 | くらしの和
 
 蒸し暑い夏を快適にすごすために、麻は欠かせない素材ですよね。

 写真左は小千谷麻の長襦袢。何度も洗ううちに風合いがこなれて、おろしたてのころより着ごこちよくなりました。もうすこしへたってくれるとますますよくなりそうなので、せっせと酷使しています。

 右は数年越しの願いがかない、この夏ついに購入した麻の夏掛けふとんです。これで一日のおよそ三分の一を麻とすごせるのですから、とってもしあわせな気分 ^^


 もともと麻が大好きで、夏のあいだ中はできるだけ麻にふれてすごしたい。そうおもうとつい和装も麻のものが増えてしまい、たまに絹物にふさわしい場に出かけるときになってあわててしまいます。それでも麻を着たい、麻で出かけられないかなぁ‥と、分かっていながら堂々めぐりする始末。来夏までにはこの課題を解決したいものです。

 来週はふた月ぶりに紬塾の友人たちと出かけます。きものだけでなく、趣味や嗜好の近い友と語らうひとときは格別。さらにドレスコードは麻のきもの、「小千谷縮」です。こんなにうれしいことはありません ^^(‥進歩がないなぁ)


 紬塾の中野みどり先生がブログで「涼しげ」について綴られています。ぜひご覧ください。
 

メロンシャーベット

2011年08月02日 | 季節の膳 ‥旬をいただく

 愛媛の叔父がりっぱなメロンを送ってくれました。

 でも、主人は瓜系の野菜やくだものが苦手。わたしひとりで食べるには大きすぎるし、ご近所に差し上げるのはもったいないし‥で、四分の一を食べた後、のこりをシャーベットにしました。写真は白っぽく写っていますが、もっときれいなメロン色をしています。

 いつも最寄の駅で手にするフリーペーパーに、とってもカンタンなレシピが載っていたんですよ。おいしくて、食感も◎。アイスクリームとシャーベットの中間くらいのなめらかさです。マンゴーでもできそう♪

 レシピをこちらに写しておきますね。レシピどおりですと甘みがつよかったので、若干お砂糖の量を控えてレモン汁をたせばさわやかになるかな?とおもいます。

メロンシャーベット

【材料】できあがり容量600ml分

メロン 1/2個(正味300g)
グラニュー糖 80g
キルシュ(サクランボの蒸留酒) 大さじ1

【つくりかた】
(1) メロンは種を除いて皮をむき、3~4cm角に切り、グラニュー糖とキルシュをまぶす。
(2) (1)をフリーザーパックに入れ、冷凍庫で一日冷凍する。
(3) 凍ったメロンを砕いて、フードプロセッサーかミキサーにかける。空気を含ませて、果肉がすこしのこる程度までとろとろにする。
(4) 深さのある金属製容器(バットなど)に入れてラップをかけ、冷凍庫で3~4時間冷やし固める。
(5) 大きなスプーンで薄くそいで器に盛る。

(『東急沿線スタイルマガジン SALUS』7月号より)