雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
2019年~Instagramへ移行しました 

水無月

2009年06月30日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 一年のちょうど半分がすぎようとしています。夏越の祓に今年も「水無月」をつくりました ^^ 


 流し缶で蒸したままの状態で主人の実家まで持参し、義父母といっしょに無病息災を願いつつ食べました。

 氷室から切り出した氷に見立てた白色のういろうは、小麦粉とお砂糖を水で溶いて蒸すだけの簡単お菓子ですが、小麦粉の代わりに葛粉を使えば、透明感が出て氷らしくなるそうなので、来年は葛粉でつくってみたいです。


 明日から七月。雨のない日は真夏日になるので、梅雨明け後の猛暑がおもいやられますね。ご自愛ください。
 

一筆箋から

2009年06月26日 | たまゆら ‥日々是好日(随筆)
 
 ブログを開設してまもなく四年。これまでたくさんの有難いご縁に恵まれてきました。今日は、最近いただいたおたよりから、うれしかったお知らせと、なつかしいおたよりをご紹介します。


 「尾形光琳の櫛で検索していたら、こちらのHPにたどり着きました」とおたよりをくださったのは、東京のうさぎさん。旅先の信州木曽・奈良井宿の漆器店で見つけた「金の蒔絵に銀の鷺の絵が描いてある櫛」をたいそう気に入って購入されたそうです。うさぎさんは、漆職人である店主のお話から、櫛は尾形光琳の「鷺文様蒔絵櫛」の構図をもとにつくったこと、東京・青梅の櫛かんざし美術館にその「鷺文様蒔絵櫛」があることなどを知り、購入された櫛の写真まで添付して、わたしにお知らせくださったのでした。
 わたしが光琳の「鷺文様蒔絵櫛」について書いたのは、三年前のこと。光琳の蒔絵櫛は、わたしの知るかぎりこの一点しかなく、しかも意匠が秀逸で、光琳にしかできない仕事とおもわせる逸品です。琳派ファンにも、この櫛を知る人は多くないとおもわれるのに、光琳の櫛に惹かれ、その写しを制作された方が木曽の山里にいらしたなんて、ほんとうにうれしい驚きです。

 うさぎさんは、これから芝木好子著『光琳の櫛』(新潮社、絶版)を読み、青梅の櫛かんざし美術館まで「鷺文様蒔絵櫛」を見にゆかれるとのこと。わたしは何度も足を運びましたが、お話をうかがって久しぶりにまた光琳の櫛に会いたくなりました ^^ 奈良井宿の漆器店も、訪ねる機会があるといいなとおもいます。うさぎさん、有難うございました。



 もうひとつは、京都の円山公園内にある片泊まりのお宿さろんはらぐち 天青庵」のオーナー、原口さまからのおたよりです。一時期ひんぱんに使わせていただいたお宿で、ブログでもご紹介させていただきました。当時は、お宿のいっさいを奥さまが切り盛りされていたのですが、三年前から奥さまの体調がすぐれず、現在はお知り合いの女性に「天青庵」をお任せしているとのことです。
 陶芸家のご主人のご趣味が随所にゆきとどいたインテリアと青磁器、奥さまの生け花やおいしい朝ごはんなど、思い出はたくさんあるのですが、運営のかたちは変わっても、あの場所に「天青庵」があるかぎり、たいせつな記憶の数々は不変ですし、またきっとお訪ねする機会もめぐってくるでしょう。台所に立つ元気な奥さまのお姿を、また拝見できたら‥と願ってやみません。

 ご主人さまは国内はもちろん、海外でもご活躍中で、最近フランスで収録された映像をご覧いただけます →

 また、当ブログで「天青庵」をご紹介した記事はこちらです →

 すぐそばの円山公園や知恩院境内がそのままお庭のような、東山のふもとにひっそりとたつ閑静な町家でゆるりとおすごしになりたい方に、おすすめです ^^



 「一筆箋は、長文でも届きますか?」というご質問を時折いただきますが、かなり長い文でなければ問題なく送信されます。これからも、ブログに書きつづったことなどについて、メールでみなさまと楽しいおしゃべりができたらいいな、とおもいます ^^ 
 

ほたる

2009年06月23日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 今月に入り、「和菓子の日」を検索してこのブログを訪れてくださった方がたくさんいました。みなさまは、16日に嘉祥菓子を召し上がりましたか。


 ほたるのたよりがちらほら届くころ、友人とあるお茶席にうかがう予定でしたのに、前日から発熱して欠席せざるをえなくなりました。がっかりしていたら、主人がとらやさんで「初蛍」(写真左)と「夏の野」(同右)というお菓子を買ってきてくれました ^^


 6月16日の和菓子の日から半月間、とらやさんで販売される生菓子です。解説書によれば「初蛍」は黄餡を葛生地で、「夏の野」は紅餡を道明寺羹でつつんだもの。どちらも、夏にふさわしい涼感あるお菓子ですね。熱の下がった日の夜、薄茶を点てて主人と有難くいただきました。


 同じ日に友人がお茶席のお菓子の写真を送ってくれたのですが、偶然こちらもほたるをイメージしたお菓子でした ^^ 来月はきっと出席しなくちゃ。

友人の写真です。ご亭主のご家族によるお手製とか。左がほたるをイメージしたわらび餅、右のそら豆をかたどったお菓子には、そら豆が入っていたそうです。菓子皿も、涼しそう~ ^^


 そういえば‥ このところ食べものの話題ばかりですね ^^ゞ
 

梅仕事

2009年06月19日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 花の季節をすぎ、梅林の枝にあずき粒ほどの青い実を見つけてから、主人とその成長を見守りつづけてきました。主人の実家の庭の梅は、春から幾日もつづく強風にあおられ、実がほとんど落ちてしまったので、わたしの母が楽しみにしていた義母の煮梅は期待できず、その分わたしの梅仕事が増えて、先日つくりたての南高梅のジャムを母に届けました。

フルーティな南高梅(黄梅)のジャムが好きです。
梅シロップ用に漬けた青梅でもジャムをつくってみたのですが、こちらは苦みが勝って失敗。シロップの甘さの分だけお砂糖を控えたのがいけなかったかしら。


 ひと雨ごとに実が熟してゆくのを見ていると、少々手間はかかっても、やっぱり梅仕事をしましょうという気持ちになります。下戸のせいでしょうか、梅特有の甘酸っぱい香に酔いそうになりながら、なり口(へた)をとりのぞき、水や湯につけたり煮たりしていますと、これからひと月あまりつづく雨もよいの日々も楽しみになります。

今年はじめて梅酒を漬けました。三ヶ月後の、秋になるころからいただけるそうですが、冬まで待って、冷えた体を梅酒で温めたいなぁと楽しみにしています。一年ものや二年ものも、つくってみたい ^^


 梅雨のうっとうしさに疲れを感じたとき、まぁるい青梅の甘煮をひと粒口に入れたり、梅シロップをつめたい炭酸水で割っていただくとき、今年も梅仕事をがんばってよかった、とつくづくおもうのです。
きもので外出した日、帰宅後にこの梅シロップの炭酸水割りでほっとひと息つくのが習慣です。シャンパンゴールドの液体の美しさ、さわやかな酸味と甘味が、ほてった体を冷ましてくれます。何ものにも代えがたい、夏のひととき。
残った青梅はシロップ煮にして、食後にひとつ、お茶うけにひとつ‥といただきます。日本橋三越内のカフェレストラン「雪月花」の青梅煮に出合って以来、ずっとつくってみたかった一品。一年中常備したいおいしさです。


 二週間がかりの梅仕事を終えるころ、ふた晩つづけて悪夢にうなされ、発熱して寝こんでしまいました ^^; 「体調のすぐれないときに、梅に触れてはいけない」といいますが、梅の気ってかなりつよいのかもしれません。みなさまも、ご注意を。
 

さくらんぼ

2009年06月13日 | 筆すさび ‥俳画
 
 先月の画題「さくらんぼ」です。いまがちょうど旬ですね。みなさんはもう召し上がりましたか?

 さくらんぼは明治の初期に渡来しました。仲夏の季語で、桜桃(おうとう)または桜桃の実とも。昨年は「アメリカン・チェリー」を描きましたけど、色づかいもまぁるい実の描きかたも、さくらんぼのほうがむずかしいです。


 桜桃のみのれる国をまだ知らず (三橋鷹女)

 ちょっぴり贅沢をして、山形の佐藤錦を予約しています。月末に届くのを楽しみ♪にしています ^^


 これからの季節、各地のくだもの畑に泥棒が入りませんように。
 

新橋色のこと

2009年06月09日 | たまゆら ‥日々是好日(随筆)
 
 写真は新ばし「東をどり」のお茶席でいただいた菓子箱です。開けると、蓋裏に「この小函の地色は、『新橋色』と言い日本画の顔料の一種で、特に美人画の衣装に好んで使はれた‥云々」とあります。新橋色とは、明るい緑みの青。そういえば、上村松園や鏑木清方の美人画にしばしば効果的に使われた色です。明治のころ新橋芸妓の間で流行し、きものや小物に競ってこの色が用いられたようです。


 芸妓さんの色だからと、いまは気にする人もないでしょう。東をどりの衣装も舞台も、すべてこの色を基調として色数は抑えられ、紫も青みのつよい江戸紫とくれば、すっきりと粋な感じになるのは当然です。

 祇園「都をどり」の舞台は満開の桜の艶やかさ、対して、東をどりは新橋色の地に浮かぶ老松の風情で幕開けという、まったくみごとな対照でしたが、黒羽二重のふりからチラリとのぞく襦袢の色のあふれるごとく、新橋花街の“裏勝り”の心意気に気づかぬ観衆はいないでしょう。


 さらにいえば、東をどりの行われるこの季節こそ、新橋色がもっとも目に鮮やかに映る季節なのだから、こころ憎いかぎり。余韻の中で、そんなおもいにふけるのでした。案内してくれた友人に、あらためて感謝です。


箱の中に入っていたお菓子です。絵は、あやめでしょうか。
箱の新橋色を水ととらえれば、蓋表に螺鈿で燕子花を、中に流水文を描いた尾形光琳の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」(国宝)と逆の発想ですね ^^

 

びわのコンポート

2009年06月04日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 幼いころ、ご近所の庭になったびわを分けていただいて、弟といっしょにたくさんほおばったものでした。「枇杷の木を植えると、家運が傾く」という言い伝えにもかかわらず、当時枇杷の木のある家はたくさんあって、子どもごころにいくらでも食べられる果物とおもっていましたのに、いまではすっかり高級品です。

 店頭にならぶのはわずかの間ですし、買ってすぐに食べるのがよいことはわかっていながら、いつまでも保存しておきたくなる魅力的な色と形と、そのなつかしいお味。


 それならと、こうしてコンポートにして、毎朝保存ビンからこっそり宝ものを取り出すように食べよう。 ‥なんて、食いしん坊のつまらない感傷でしょうか。



 新ばし「東をどり」にお誘いいただいた、きもの美人のお友だちに。今日から、食べごろです ^^
 

甘夏マーマレード

2009年06月01日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 生協さんの無農薬甘夏みかんでマーマレードをつくりました ^^
 マーマレードの皮の苦みが好きなので、そのままついつい口にしてしまいます。

 3こ分の皮と、1こ分の実を、お砂糖と水でじっくりと煮こんだシンプル・コンフィチュール。水を使わないレシピもありますが、水とともに炊いたほうがやわらかく、いくらかソース状になるので扱いやすいです。


 無農薬のせいか、見た目はとっても不美人な甘夏みかんだけど、マーマレードをつくるようになったら、皮は捨てられません。



お友だちに おすそわけ♪