先月下旬からずっと不安定だった空もようが、昨日から一変しました。秋晴れ、というにふさわしい高く清んだ空、輝きを増すお月さま。萩の花がこぼれるように咲き、風にゆれています。ふりしきる雨に夏を惜しむ間はなく、気がつくと秋がみちていました。
日ごろお世話になっているお店に、週に二回、産直野菜と果物の市が立ちます。新鮮でおいしく、割安なことはもちろんだから、午前中に売り切れてしまうものも。市の日はできるだけ早くお店にゆきます。
桃はそろそろ終わりかな‥とおもうと、つい買ってしまう。先日も、甘いよ、とすすめられるまま大粒の桃をふたつ大事に持ち帰りました。
ずっしりと重く、いかにもジューシーで甘そう。そのまま食すのが惜しくて、コンポートにしています。
皮を湯むきしたあと、砂糖を溶いた白ワイン水に落としてしずかに煮ていると、部屋いっぱいにワインと桃の香りがひろがります。煮詰めながら、まるで桃の実に夏の思い出をゆっくりと閉じこめてゆくような、みちたりた気分。しあわせなひとときです。
皮に浅く切れ目を入れ、しばらく熱湯につけて(写真左)冷水に放すと、皮は手でつるりとむけます‥のはずが、なぜか今回の桃はちがいました。湯につかっている間に白桃のように白くなって、実と皮がぴったりとくっついてしまったんです。不思議だわ‥とおもいながら、包丁で丁寧に皮をとりました。 湯につかると、桃ってこんなに色っぽいんですよ。発見でした ^^ |
水中になお水はじく水蜜桃 (桂 信子)
思い知る女心や水蜜桃 (雪月花)
桃は、じつは秋の季語。晩夏に入れている歳時記もあるのですが、大方は初秋の果物に分類するようです。
子どものころは、夏休みに母が桃、バナナ、ハチミツ、ヨーグルト、氷をミキサーにかけてジュースをつくってくれました。そのジュースのつめたくておいしかったこと。以来、わたしにとって桃は夏の味覚であり、母の愛情につながっています。
さて、冷蔵庫でひと晩ねかせたら、ぷるぷるの甘~いコンポートのできあがり。冷蔵庫で三か月くらい保存できます。
昨夜も桃のコンポートをつくりました。今日これから実家へ持参して、母と味わうつもりです。
※ ご紹介した桃のコンポートのレシピは、飛田和緒さんの 『私の保存食手帖』 (扶桑社)にあります。おすすめの本です ^^