雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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足袋入れ

2009年11月30日 | きもの日和
 
 三年あまりを経て、この秋新装オープンした根津美術館。装いも新たなミュージアム・ショップで、すてきな足袋入れを発見しました。

 好みの柄の足袋入れが見つからなくて、自分で縫ってしまおうかな‥とおもっていた矢先のこと。ちいさな朱の花がきれいにならんだ更紗模様です。同じ柄の数寄屋袋やカードケースなど、数種類の小物が販売されていました。


留め具も工夫されています


 ちなみに、写真の足袋は、呉服店のご主人がすすめてくださった「文楽足袋」製です。右と左を別々に注文でき、綿100%なのに伸縮性があって、洗濯をしてもシワがほとんど出ません。以前、文楽足袋さんの足型計測器で左右それぞれの形とサイズを測定してもらいました。履きごごちは抜群。以来、愛用しています。
 

用と美と

2009年11月25日 | 雪月花のつぼ ‥美との邂逅
 
 漆作家・戸枝恭子さんの作品展へ出かけました。赤坂見附駅至近のホテル内のささやかなスペースに、朱、紅殻、黒、白、緑などの色漆をきせたやわらかな質感の漆器がならび、うつわのところどころにゆれる季節の草花に出合い、ほぅっとひと息。しばしその場が高層ビルの林立する都心の一角であることを忘れました。ほんものの漆は、にぶいけれど濃密な時間をはらんだ光を放つということを、あらためて実感しました。


 ふと、漆器は用と美を兼ね備えることができるけれど、いまわたしが身につけているきものは?という疑問が頭をもたげました。わたしのように、週に一、二度だけおしゃれ着として着るきものは、「美」のみが残り、「用」から完全に切り離されている‥と。

 「用の美」だったものが、いつのまにか「用と、美」になり、さらに「用」という機能を失ってしまった現実につきあたり、少々くらくかなしい気持ちになりましたものの、ふたたび目の前のうつわに視線をもどすと、そこにはしずかに用を待つ姿のたしかな美が横たわっていました。


 作品展をすすめてくださった Aさまは、ごく淡い桜色の結城紬の似合う女性。わたしにとって、あこがれの“結城のひと”です。上の写真はいただいた案内状。このたびは有難うございました。
 

「はつ雪」

2009年11月20日 | 季節を感じて ‥一期一会
 
 お姑さんがお茶の先生という Kさんが、毎月二種のお菓子をつくってくださいます。今月のお菓子は何かしらと想像したり、こっそり名まえをつけるのを楽しみながら、いつも主人とおいしくいただいています。ブログに載せるのが先送りになっていたのですが、このたびようやくご紹介できました。

 上の写真は、いちじくの餡を道明寺でつつんだもの。Kさんの実家のお母さまが炊いたいちじくの甘煮を使っています。つぶつぶ感と独特の甘みがお口の中でとけ合う逸品です。

 まわりに散らした色とりどりのまるい粒は、何だかお分かりでしょうか。この春、京都の錦市場を訪れた Kさんは、さまざまな色や形のぶぶあられ(お茶漬け用のあられ)を見つけて、すぐにお菓子の意匠が頭に浮かんだのだとか。こうして、紅、緑、黄のあられを紅葉に見立てた晩秋のお菓子ができあがりました。斬新な発想に感服!です。


 菓銘を「はつ雪」とさせていただきました。白いあられを、京都・嵐山に降りつもる初雪に見立てて。松風に耳をかたむけつつ、お茶の時間がひっそりとすぎてゆきます。


 もうひとつは、「紅葉」。香ばしいごま餡の黒と、葉の紅の対照がみごとなお菓子です。


 Kさん、いつもごちそうさまです。
 

もみじ麩

2009年11月17日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 金沢の加賀麩です。近所に住む友人が分けてくれました。パッケージをあけると‥ ちいさなもみじ麩がころころ、いっぱい ^^ 日本人って、こんなかたちでくらしに季の色どりを取り入れてきたんですね。

 おかげさまで、わが家のお味噌汁まで秋色に染まっています。初冬の金沢の旅がますます楽しみになりました ^^
 

亥の子餅

2009年11月11日 | 季節を感じて ‥一期一会
 
 主人が買ってきてくれたとらや製の亥の子餅です。中はほんのり甘い、上品なこし餡。この日、友人から炉開きのお茶会の様子を伝えるメールがとどきました。

 あたたかな立冬の候ですが、旧暦十月のはじめの亥の日(11月26日)には炬燵開きをして、わが家も冬をむかえます。



もみぢ色のお茶碗で、一服

 

ジャムづくり

2009年11月06日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 秋の実りのジャムづくりを楽しんでいます♪

 アップルパイ用の紅玉りんごのフィリングと、柚子ジャムです。柚子は、主人の実家の庭から収穫した無農薬です。昨秋ようやく20個ほど実りましたが、今年は鈴なり!でした。ジャムを炊く間、柚子の香につつまれてとっても幸せな気分。母やお友だちにも、おすそ分け ^^


 明日は立冬ですね。
 

東北の手仕事(五) 北限の絣

2009年11月02日 | きもの日和
 
 「置賜紬(おいたまつむぎ)」といえば、山形県南部の米沢市、長井市、白鷹町で織られている紬の総称です。1976年に東北で初めての伝統的工芸品指定を受けました。中でも日本の北限に位置し、古くから養蚕のさかんだった白鷹町の産する紬は「北限の絣」と呼ばれ、白鷹特有の板締め技法によるミリ単位の精巧な絣柄が特徴です。


 反物を目にしたとたん、ひと目惚れしてしまった白鷹紬。白鷹といえば、お単衣向きの「白鷹お召」が有名ですが、これはお召ではありません。矢車とくるみで先染めされたつややかな糸で、細かな「亀甲綾」を織り出しています。しなやかな風合いと適度な落ち感から、まるでやわらかものをまとっているよう。時おり、このきもののもつ底知れない力と魅力に負けてしまいそうになりますが、袖をとおしていくうちに、いずれ身もこころもしっくりとなじむときがくるといいな‥と願っています。


直接お礼を述べたくて、呉服屋さんに織元を調べていただきました。この反物を織ったのは、「白たか織」のS氏。白鷹お召でもよく知られる伝統工芸士です。数度袖をとおしてから、お礼の手紙をしたためました。