雪月花 季節を感じて

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縫い取り(二) 八寸名古屋帯

2017年07月19日 | はたおと ‥織りものがたり
 縫い取りの技法を時間をかけて習得した後、仕上げにお太鼓柄の八寸名古屋帯を織ります。お太鼓の柄を縫い取りで表現するのですが、じっさいに着付けるときに苦労しないように、自分の体形に合わせた帯の長さ、お太鼓と帯前部の柄の位置、柄のデザインや色、レイアウトまで、しっかりと設計します。

 下はお太鼓柄のデザイン図。手持ちの帯を参考にしながらレイアウトを決めました。着付けるときに柄を出しやすいよう、縦長のデザインに。



 柄以外の部分は単純な平織りですが、八寸帯だから巾を一定に保つだけでなく、左右の両端がきれいに仕上がるよう、緯糸の折り返しに十分気をつけながら織りすすみます。
 まずは無事にお太鼓部分の縫い取りが完成。ところどころにわずかに金糸を入れて、アクセントに。下の写真は仕立て上がり後のもの。



 そして、もっとも苦労するのが半巾に折って着付ける帯前部の柄のレイアウトです。左右向かい合わせのデザインにするのですが、鏡合わせでなく、中心をすこしだけずらします。ここで、上下左右のレイアウトをまちがえてしまうと、着付けたときにタイヘンなことに!?なってしまいます‥。でも、このころには縫い取りにすっかり慣れていましたから、すこしずつ、デザインどおりに柄が織り出されてゆくのを楽しむゆとりがありました ^^

 帯前部を織ってしまえば、あとは手先までひたすら平織り、平織り‥。そうそう、経糸はかなり太めの糸ですが、緯糸の玉糸は3色(空色、黄色、桃色)に染め分けて、3色の糸をねじりながら1本に束ねて入れています。

 帯前部の柄のレイアウトと、仕立て上がり後に着付けてみたときの写真です。思いのほか柄出しがうまくいって、気分は上々です ^o^



 きれいに仕立て上がってきたときは、13メートルを織った縞木綿の着尺のときより、何倍もうれしかった~ 縫い取りって、楽しいです♪ もうひとつ、濃い色の地の八寸帯を織ってみたいな~ ^-^

 

縫い取り(一) ヘッドレストカバー

2017年07月03日 | はたおと ‥織りものがたり
 
 ブログをお休みしていた間に織り上げた作品を、ひとつずつご紹介してゆきます。

 高等科の最終課題である縞木綿のきものを織り上げると、いよいよ専修科。まずは「縫い取り」の技法を学びます。平織りの緯糸に色とりどりの刺繍糸を織り込んで自由に絵柄を描きます。大好きな鳥の絵をデザインして、ヘッドレストカバーをつくりました。鳥たちの音楽隊です ^^

 地は平織りだから、経糸と緯糸が垂直に交差するため、刺繍糸で曲線を描くのがちょっとむつかしい。さらには機にかけた経糸の下側に下絵を当てて、下絵のとおりに上から刺繍糸を入れてゆき、踏み木の踏み方によって刺繍糸の出かたを変えるのですが、下側のほうが布の表になるよう織りすすむ‥という、なんともはや、やりにくい織りかた!なのです。それでも練習を重ねるうちに、刺繍糸を入れる織目に検討をつけながらうまく表現できるようになります。織り上げた後、裏にインド更紗の布をつけてリバーシブルにしています。

顔と胴体部分で、刺繍糸の出かたがちがいます


 さて次の課題は、この縫い取りの技法でお太鼓柄の八寸名古屋帯を織ります。
 さすが専修科‥ 難易度高すぎます ^^;